○『神亀二年(７２５)三月十七日常陸国の百姓に賑恤を加え給ふ』
＜三月十七日 常陸国の百姓で、蝦夷の裏切りで家を焼かれ、財物の損失が九分以上の者には、三年の間、租税負担を免除し、四分以上の者には二年間の、二分以上の者は一年間の租税負担を免除した。＞
＜続日本記 宇治谷孟 上 ｐ．２６８＞
「常陸国で蝦夷たちが反乱した。」朝廷は関東より以北を平定できていない。「蝦夷の裏切り」ということは先に何かの「約定」がある。「相互不可侵」の協定なり、約定であろう。
藤原宇合・小野朝臣牛養・高橋安磨呂の報告と提案は、ここによりその意味を問い直す。
聡明な天皇は先祖の用いた方法論に疑問を抱いておられる。
「何故か。何か他に方法があるのではないだろうか。」そう考えられた。
そして他に方法をとることを考え行動なされた。
後に思いがけない果報として、その施策の効果が出る。「産金の瑞祥」は、その賜物である。
「常陸国の百姓に賑恤を加える。」何らかの救済策。あるいは救援活動を加えたということである。
それは百姓のみならず、蝦夷にも「何らかの賑恤」を与えられたのだろう。
この後に「続日本記」などに「蝦夷」の語の見えるのは、聖武天皇が崩御されて後となる。それは聖武天皇の存命中は天皇が「平和路線」を踏襲したからに違いない。
この後に「続日本記」などに「蝦夷」の語の見えるのは、聖武天皇が崩御されて後となる。
★【 武から聖へ 】★
聖武天皇の目には「傷病兵と家族」の姿が、目に焼きついていた。捕らえられた蝦夷の、卑しめられた奴隷達の姿も、豪族に隷属させられた貧しい農民の姿も重なって、そこにはある。
「威力・武力」から「慈悲」への転換は不可能なのだろうか。
それが聖武天皇の
それは聖武天皇の存命中は「平和路線」を踏襲したからに違いない。
★ ★ ★ ★ ★
○『是月 天皇、恭仁離宮に行幸し給う。』
ここは橘諸兄の勢力下にある。
○『是歳 五月 天皇、芳野の離宮に行幸し給う。』
「芳野」は吉野のことである。遊びにいかれたのか、他に目的があるのか
○『是歳 五月二十二日 遣新羅使、土師宿爾豊麻呂帰還す。』
新羅より土師宿爾豊麻呂が帰還する。
この頃、新羅は朝鮮を代表する国家となっていた。
（６６３）白村江の戦い、日本は百済と組んで、唐は新羅と組む。大敗する。
（６６８）先に高句麗は滅ぶ
（６７２）新羅は百済を併合する。
（６７４）唐による新羅討伐するが失敗
（６７５）新羅は唐に謝罪する
（６７６）新羅は、唐により、朝鮮半島の盟主となる。新羅―唐の蜜月時代
６７２ 日本は壬申の乱による天武朝時代で余韻を持つ
６９８中国東北部（満州）に震国が建てられる。後に渤海国と改められる。大サク栄
新羅情勢を検討する。
新羅よりもたらされた報告は
『大仏開眼』 上田正昭 国民の歴史４ ｐ１６２〜１６３
≪「六月六日 和徳史竜麻呂ら参拾八人に大県史という氏姓を賜った」≫
≪「六月二十日 太白（金星）が、昼に見えた」≫
≪「秋七月五日 河内国丹比郡の人、正八位下の河原の椋人子虫ら四十六人に河原史という姓を賜った」≫
加筆用
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