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2019年09月24日20:07

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仲代さんの件(その2)



自分と仲代さんとの邂逅は黒澤明作品。前回、そう申し上げた。
なんとなれば、まずは「七人の侍」。そのプレビューを。https://youtu.be/AxKjtAONFz0



世界に冠たる本作品。戦国時代、山間の村人は野武士集団に日々襲われ、女や食い物を強奪されて辟易。長老混え対策を相談す。議論渙発の末、村長(むらおさ)は一言。
「侍を雇うだ」

かくして村の若者(土屋嘉男)は町に行き、土下座しながら道行く侍に頼む。情にほだされ話を聞く侍も、いざ「ギャラ無し。ただ、白い飯を腹いっぱい食わせる」の条件を聞かされた途端、「あり得ねー」と去る。現代同様である。
木賃宿で同宿の多々良純さんは、そんなクソ貧乏な百姓を嘲り揶揄する。
「アホかお前ら。今時そんな奴がいるわけないっしょ」

しかし、いざ木賃宿に入ってきた侍が断ったとき、多々良純は激怒す。「このドン百姓どもが、どんな思いでアンタたちを請うているのか。こいつらは、自分らは稗を食い粟(クリじゃないですアワです)を食い、白米を貯めてアンタたちのギャラにしようとしている。そんなこと、君達は少しでも考えたことがあるのか」

彼は馬鹿にしつつも、土屋嘉男さんたちをずっと見ていたのだ。同じ貧乏人だから。

仲代さんの件を書くんだっけ。ちょっと待ってくださいね。
七人の侍は、そんなエピソード集だ。七人の来歴ー 志村喬さんが水戸黄門でお馴染み東野英治郎さんの誘拐犯を退治する逸話は、剣聖・塚原卜伝 の実話に基づく ーはじめ。

そしてクライマックスは、野武士集団との戦闘シーン。雨中、泥濘の中。
詳しくは本作を見ていただきたいが、この戦術は優れて秀逸(優れて秀逸・笑)。映画の公開は1954(昭和29)なので、旧軍OBは全然健在。日帝および指導層はクズながら、現場の軍人は優秀で、彼ら現場の意見具申を無視あるいは拒否したことも、先の大戦で負けた要因のひとつ。
※こっそり申し上げますが、ワタクシ実は旧参謀本部編「日本戦記」なども読みまくりました。
※そして「七人の侍」や「ゴジラ」が公開された昭和29年は、四方田犬彦さん曰く「再軍備の年」。自衛隊の前身である警察予備隊が、同年発足。

リアルは菊千代(三船敏郎)が刀を何本も土饅頭(※)に刺しておいて、敵を斬りまくる場面。なぜリアルなのか。
※土饅頭とは一般に、土を盛っただけの墓を指します。ここでは土で盛り上げた饅頭の謂です。
一般的な時代劇では、侍あるいは渡世人がひとつの刀で何人も斬る。しかし現実は、刀は刃こぼれするし血脂で、すぐ斬れなくなっちゃう。こと、昭和刀(できの悪い、大量生産の刀)では。

自分がなぜ、そんなことを知っているかと言うと、時代劇好きである以上に、例の南京に出征した大叔父の話を聞いたからだ。
彼は砲兵だったので、あの“百人斬り“に参加したかどうかは分からない。大叔父自身、南京の話は、それ以上しなかったから。
※生前、もひとつしてくれたけれど、本件に関係ないから措きます。

で、仲代さんの映画デビューも「七人の侍」。ただし十杷一絡げのエキストラ、道行く侍の一人。
黒澤さんからダメだしに次ぐダメだし。「俳優座は歩きかたも教えないのか」。志村さん加東大介さん、三船さんらお歴々を待たせながら、そう罵倒。
朝8時から午後3時まで、当然昼飯抜きで、仲代さんの「歩き」を撮ったとか。

続く。

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