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2019年07月21日22:00

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「エリザベート」(帝国劇場)7/13マチネ

久しぶりの帝劇。前回の帝劇って新演出になったばっかりのエリザベートだったかな。そして、再演のエリザベートを観劇できました。いや、ほんとチケットほんとにとれるのか??ってくらいに激戦でしたもの・・・。

今回の再演は、ちょっとずつ修正が入っているということで、音楽もちょっと変わってるみたいですが、あんまり細かいところはわからないながらも、ちょっと違う?って思うところも時々。それにもちろん続投の役者さんだって変わっている部分だってあるわけで。
そうして今回見たエリザベートの世界は、ルキーニとトートが支配する空間という印象が強かったです。そのくらいに芳雄トートと成河ルキーニの存在感が抜群でした。とくに、物語冒頭、ルキーニが語るエリザベートという構造はそうなんだけど、そこにものすごくルキーニの意思を感じるというか、すべてはルキーニの手のうち、というのが強く感じられて、ルキーニが語ろうとしているものが明確に示されていき、それで物語の輪郭が鮮明になっていくような、そんな印象を受けました。そのへんは、やっぱり成河さんの演劇的手法なのかしら。だったらそれすらも成河さんの手のうちってことなんだろうか。とか考えてると、今回のルキーニというか、成河さんは特に面白い。
でも、そんな風に世界を支配しているようなルキーニだけれど、トート閣下降臨で一気に世界が変わるのがまた面白かったです。トートがいるとやっぱり世界の中心はこっちのような気もするし、そして何よりもトートへ向けるルキーニのまなざし、まるで恋焦がれてでもいるかのような。しかも完全に片想い。トート=死とするならば、百年間毎晩首をくくり続けているルキーニにとってのその存在とは?って考えるとなかなか興味深いものではありますが、そんなふうに考えるようになったのって今回初めてかも。そういう意味でも、今回すごく面白かった。
もちろん主役はエリザベートなんですが、周りが強烈すぎたせいか、私の中では若干印象が弱くなってるような。はじめましての愛希れいかさん。バイエルンの田舎でおおらかに育てられたお嬢さんが皇后になってしまった悲劇というか、あのまま自由に生きられてたら幸せだったんだろうな、なんて思わせてくれる雰囲気でした。そういう意味ではわりと等身大な感じかな。

トートの井上芳雄さん。とにかく声量が桁違いで、2階席までゆるがすかのような圧倒的な迫力でした。芳雄トートは前回も見ましたが、前はもっと感情が表に出るような印象だったのが、今回はちょっとそういうところ抑えめかな?そうして静かに空間を支配しながら、歌では一気にもっていくところがすごいな。「最後のダンス」なんか、ほんとにトート閣下オンステージな感じで。プリンスから皇帝の風格が備わってきたようでした。

ルキーニの成河さんは、とにかく暴れまわっていましたねー。いろいろ引っ掻き回しているようにいえて、でもちゃんとその世界からはみ出さないで、見せるべきものを明確に見せてくる感じ。語り手として、常に高貴な方々へ向けるまなざしは冷ややかなのが、精神病院あたりでエリザベートを見る目が少し変わってきたように見えて、「悪夢」で狂気じみたテンションがマックスなところから、裁判官の声で一気に覚める落差の激しいこと。「悪夢」ってトートとフランツがエリザベートをめぐって対立する構図だとずっと思ってたけど、違うな、ルキーニだな、ここ。って思いました。成河さんがここまでやってるので、育くんは果たしてどうなっているのか?が気になってしょうがないです。

フランツは、平方元基くん。ルドルフから今回父上に。ルドルフやってた頃から、フランツ似合うだろうなあと思ってたからこんなに早く見られるのは嬉しい。平方くんのフランツはすごくまじめな印象。皇帝としての義務とかそんなものが強く出ているようで、エリザベートのことも愛しているんでしょうけれど、皇后として必要としているみたいな。そんな感じに見えました。そんな平方フランツだから「悪夢」でトートと対決するどころじゃなくて、その前にルキーニにいいようにあしらわれてるのがなんだか気の毒に見えてきました。最後までエリザベートを救いたいってあがいてるのにね。「悪夢」って象徴的にいろんなことが表現される場面なだけに、見たいところがいっぱいあって目が足りません。

ルドルフの京本大我くん。前回見たときにとても素敵なルドルフだったのでまた見たいなと思ってて、とくにこの人ネットの舞台映像だとかに一切出てきてくださらないので、なおさら舞台で見ないと見られないから。前回見たときは儚げな印象のルドルフだったのが、芯の通った若き皇太子の風情になっているように思いました。「闇が広がる」であの芳雄トートと対等にわたりあってるように見えたのもすごいと思ったし、何よりこの曲の中で次第にルドルフの気持ちが変化していくのが伝わってきてはっとさせられました。ああ、そうだった、この曲ってそういう内容の曲だったわと改めて。歌の終わりのルドルフのまなざしの強さがとても印象的(2階席だったのに)。だからこそ、最期のシーンは魂が既にここにないような生気のない雰囲気をまとっているのが際立っていました。トートとのキスは、最近のルドルフってみんなどちらかというと積極的にキスしにいっているような印象だったのが、今回の大我ルドルフは受け身に見えたので、なんだか新鮮な感じがしました。死を求めるというよりも、死をありのまま受け入れているような。

ゾフィーの涼風真世さんは、印象としては厳しい皇太后さま。厳しいんだけど、国の将来を憂えているあたりは、平方フランツと親子だなあ、なんて思いました。この物語、互いに相手のことを思っているはずなのに気持ちがすれ違って哀しい結末になっていくことのなんと多いこと。

あともう一回観劇できます。トート以外はキャスト違いなので、どう変わるか見られるのがとても楽しみ。ってことで、古川トートが見られないのが残念すぎる。
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