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2019年06月22日08:45

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プレトニョフ ピアノリサイタル

6月17日(月)19:00 東京オペラシティコンサートホール。
プレトニョフを聴くのは3回目、5年ぶりです。
半年以上前にプログラムを見て「重たい」と迷ったので保留。
でも次いつ聴けるかわからない! こんなプログラム二度と聴けない!
1週間前にチケット取りました!

★ベートーヴェン ロンド 作品51-1 ハ長調
ソナチネアルバムに載っていて有名ですが、小学生のころは「つまらない」と思った曲。
大人になって作品51-2とともに良さがわかりました。
味わい深い小品で、かわいらしい宝石箱のようでした。

★ベートーヴェン ピアノソナタ第23番 ヘ短調 作品57「熱情」
世界超一流のピアニストがどう弾くか、プレトニョフの解釈はどうなのか、興味津々。
一言で表現すれば「神域に達している世界観」
決して独りよがりではないのに、並のピアニストとは雲泥の差。
聴かそうとか表現しようとか、まったく感じない。
ごく自然にピアノに触れるだけで、崇高な音楽が紡ぎ出されていく感じ。
2楽章をすべて繰り返し弾いたのも意外でした。

ここまで35分で、20分休憩。いよいよ後半が始まります、重たいプログラムが!(笑)

後半を聴き始めてすぐ感じたのは「前半はすべて弱音ペダルを踏んでいた?」疑問。
激しく弾くのが当たり前の「熱情」でさえ、ヴェールが掛かった印象で・・・
内に秘めた熱情を表現したのかと気付きました。
それほど、後半から音が明らかにクリアになりました。

★リスト 詩的で宗教的な調べ 作品173-7「葬送曲」
楽譜を持っているので譜読みだけ。録音でも聴いたことがない曲。
中間部の鎮魂歌がきれいです。

★リスト 忘れられたワルツ 作品215-1
何曲あるのか不明ですが、この1番が有名です。
普通に弾くと良さがまったく出せない、まさにピアニストの力量に依る曲。

★リスト 巡礼の年 第2年「イタリア」 作品161-5「ペトラルカのソネット第104番」
ルネサンスの文学者ペトラルカが書いた定型詩ソネットから3曲作曲されたもの。
私は47番、123番が好きで弾きますが、104番のほうがむしろメジャーかも。

★リスト 夜想曲「眠られぬ夜、問いと答え」 作品203
母校の大学図書館では楽譜を見たことあります。
もんもんと悩むような、不協で不穏に満ちた曲。

★リスト 3つの演奏会用練習曲 作品144-2「軽やかさ」
2番を選ぶあたりがプレトニョフらしいというか・・・
短調なのに、光の粒が無数にコロコロと流れていくような印象を受けました。

★リスト 凶星!(不運) 作品208
これまた超マイナーな。でも大学図書館では見たと思います。
晩年のリストは宗教生活に入り、ド派手な演奏活動をしなくなりました。
作風も前衛的な無調で、同じ人とは思えないほど。
若いころのリストの演奏はルックスも手伝って、女性ファンが卒倒したそうなので真逆です。

★リスト 2つの演奏会用練習曲 作品145-1「森のざわめき」
                      作品145-2「小人の踊り」
これらはかなりメジャーで、聴衆もほっとしたのでは?
今まで聴いたどんなピアニストの演奏とも違います。
奇をてらったり、勝手な解釈ではないのに、世界が違う。

★リスト 暗い雲 作品199
これも大学図書館で見ました。
音符が少なく静かで抑揚がなく、無調でどこまでも不吉な雰囲気。
聖職者リストが死と向き合ってしたためたような曲。

★リスト ハンガリー狂詩曲 第11番 作品244-11
11番を選ぶことで、後半プログラムで浮かないよう配慮したのかなと。
もの悲しい、美しい暗さに民族的な響きが満載。
最後は輝かしく明るく転じますが、信じられない速さで上り詰めました!

★リスト 葬送前奏曲と葬送行進曲 作品206より 「葬送行進曲」
不協和音でこれでもかと執拗に繰り返されるのは、もはやメロディーを感じないフレーズ。
荒れ狂う怒涛の海なのか、全身で感情を爆発させる慟哭なのか。
ラストのトレモロなんて、ホール全体が大地震かと思うほど轟き渡っていました。

後半50分、ものすごいプログラムでした。
割れんばかりの拍手がホール全体を支配。

ppでも響き渡る。スタッカートの切れ味に鳥肌が立つ。
ダブルトリルは寸分の狂いなく、すべての音がクリアに聴こえる。
テクニックがすごすぎて、まったく感じないけど、実は超難曲ばかり。
テクニックは包み込まれて一体化したうえで、音楽性が全面・前面に出るというか。

前半も後半も、途中の拍手は一切なし。
プレトニョフの集中力に圧倒されて(それでも、感じない不思議な空間)
拍手で遮るのはタブーという雰囲気がホール暗黙の了解のようでした。

★リスト 愛の夢 第3番
アンコールは言わずと知れた超有名曲。
プレトニョフはところどころ自由なアレンジを加えていました。
オクターブで深く弾いたり、即興的な装飾音を加えたり。

実に落ち着いていて、舞台を歩く姿も小さな動作も、どこまでも静か。
歳をとった(今年62歳)というのと違って、派手さが一切ありません。
鳴り止まない拍手に対しても、なかなか舞台に出てきません。
客席全体をゆったり見回して、とても丁寧なお辞儀をします。
最後は胸に手を当てて「終わりだよ」と言っているような挨拶をしてくれました。

聴きにいけて本当によかった! またひとつ、人生でかけがえのない最高の夜でした。
帰りがてら、大学時代の音楽仲間に感動をメールで伝えました。
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