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2019年05月26日19:40

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小説 サングラス (姉妹)26

小説 サングラス (姉妹)26
「東京どうだった?」
「どうって・・何か意図があって連れ出されたようだったわよ。母さん、わたしを連れ出すだけが目的だったみたい・・・」
 帰りを待ちかねていたように顔を出した尚子に、美穂はそっけなく答えた。単なるカンでしかないのだが、用があるからと拒否したわたしを強引に車に乗せた母は、多分尚美に頼まれたのだ。尚美の目的はひとつ。今日の撮影にわたしが来れなくし、マスターとふたりきりになること。二人きりになって、マスターを誘惑することだったに違いない。そう思うと皮肉の二つや三つは言いたくなる。
「あなたこそどうだったの?助手がいなかったけど、スムースに撮影出来た?マスターはもともと助手なんて必要としないけど・・」
「それがね、偶然、マスターの知り合いのカメラマンさんがロケハンに来てたの」
「ロケハン?」
「県庁マンでね。県庁写真クラブの運営をしている人。女性ポートレートを得意としているカメラマンなのよ。月末に撮る予定のモデルさんから菅沼さんのレストランの雰囲気が良いと聞いて、下見に来たらしくてね。マスターと親しくしてるようで、互いに偶然顔を合わせたことを驚いていたけど、結局、そのカメラマン・・佐々木さんって言うんだけど、一緒に撮影してくれたのよ。小杉さんと違って、わたしが撮って欲しい写真を聞いてくれてね。さすが上手ね。撮った写真を見せながら撮影してくれたのだけど、わたしのイメージ以上の出来栄えなのよ」
「佐々木さんって、ひょっとして鹿児島の人?マスターから聞いたことがある・・県展などでいつも入賞してる人よね。わたしは会ったことが無いけど、お店に来たこともあるらしいわよ。ジャンルは違うけど、一緒に写真展を観にいったり、時々会っているとか・・」
「そんな話し、してたよ。マスターはいつもコンテストでマスターはいつも入選止まりなんだって?佐々木さんはレベルが違うって言ってた。佐々木さん、女性しか撮らないけど、風景やスナップを撮っても入賞するはずだって・・」
「マスターと2人きりになるはずだったのに、残念ね」
「ふふ、最初はそう思ったわよ。でもさすが県庁マンね。繋がって損のない人よ。鹿児島だけでなく、県外の県庁マンにもパイプをもっているの・・」
 美穂は思った。やっぱり尚美は政治家の資質を持っている。価値判断の基準は自分に役立つか役立たないかにあるようだ。ずっと前にわたしの彼を奪ったのも、彼が官僚を目指し、そうなるだろうと予測したからなのだろう。結局彼は志望校に入ることが出来ず、挫折から立ち直れないまま尚美に捨てられた(続く)

獅子座クウネルのつぶやき獅子座
 今日も暑かったですね。宮カメで写真をプリントする必要があったので出かけ、帰りにどこかで撮影と思ったのですが、暑さに負けてそのまま帰宅(笑)なんとなくテレビを見てだらけました。淳仁がまだまだ続きそうです。皆さま体調管理にご注意を目がハート
 今日の写真は油津からの帰りに長田峡を覗いて撮ったものです。
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