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2018年11月27日19:45

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『遥かなる山の呼び声』

週末にNHK-BSでドラマ『遥かなる山の呼び声』が放映されました。
物語の舞台は北海道の中標津。夫を亡くし義父と二人で完全放牧の酪農を営む民子のもとに、謎の男性田島が働かせくれとやってきます。民子は男に不信感を持ちますが、実直な様子に惹かれていきます。

謎の男性田島を演じるのは、阿部寛。なにをやってもあの大きな体を使ってとても上手に演じる俳優ですが、今回も陰のある男をうまく演じています。民子は常盤貴子、完全放牧という手間のかかる酪農を凛と続け、時々弱さを見せる女性を演じています。
原作と脚本は山田洋次で、TV作品は珍しいでしょうか。

この作品は1980年に山田洋次監督、高倉健・倍賞千恵子主演で公開された『遥かなる山の呼び声』のリメイク作品となっています。
あらすじはそのままで、設定を現代に合わせて変えています。
例えば民子は零細酪農家というオリジナルの設定でしたが、今回は完全放牧にこだわる小規模酪農家です。また、高倉健は馬を乗りこなして家族と交流していましたが、阿部寛はバイクでした。
二人とも秘密を抱える男を好演していますが、殺人を犯すという説得力は高倉健の方があるように感じました。
ただ田島は誠実な男なのに、どうして罪を犯して逃げ回るのかそこは二つの作品とも謎です。

ラストの名シーンがオリジナル作品では印象に残りました。刑務所に護送される田島の乗る急行に民子が乗ってきて、それとなく自分が出所を待っていると知らせ、ハンカチを渡します。
今回のドラマでは、裁判のあとにそのシーンを持ってきて、田島が法廷で聞くことになります。こちらは民子が酪農を軌道に載せ、帰りを待っています。
現代へのアレンジもいいですが、オリジナルの素晴らしさも再認識しました。

北海道を舞台とした山田洋次作品では『幸福の黄色いハンカチ』があまりにも有名ですが、私は本作と『故郷』と『家族』のいわゆる「民子三部作」の方が好きです。
明日のBS-NHKでオリジナルの『遥かなる山の呼び声』が放映されます。ぜひご覧ください。


写真左:「北海道シネマの風景」、北海道新聞2006〜2008年夕刊連載の記事をまとめた本
写真右:同書、『遙かなる山の呼び声』オリジナル作品
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