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2019年04月16日20:00

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うちには、天使がいます。 7.多発性脳梗塞

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<前回までのお話>
2018年(執筆している時点で去年)4月初め、
やまねこのパートナー・ゆかさんは卵巣がんの疑いありと診断されました。
4月24日火曜日、自宅で急に動けなくなり、救急車でZ医大病院に搬送されます。
翌25日はさらに、トイレの場所さえわからなくなってしまいました。
病院で精神的なものだろう、という診断を受けながら、
ゆかさんは必死に「わたしぜったい頭おかしいと思う」と訴えかけて、MRIを撮ってもらいました。
(なお、病院関係者のかたがたほかの名前は、すべて仮名です)



地下のMRI室までぱたぱたと車椅子を押した看護師さんが迎えにきて、
ゆかさんは2階の婦人科外来に戻り、診察室に入っていきました。

なにかがあったことは間違いありません。
ここは婦人科なので、やまねこは診察室の外で待っていましたが、
しばらくして招き入れられました。

初めて見る女性のお医者さんがひとり、「内科の〇〇です」とあいさつして、
「午前中に撮った足のエコーですが、
血栓は見つかったんですが小さいもので、
まだ心配するようなものではありませんでした。
安心して大丈夫ですよ」と言って出ていきました。
エコーを撮ったのは今朝のことですが、なんだか遠い昔のように思えました。


それから主治医の葛西先生から説明があって、
(すでにいちどゆかさん本人に説明しているせいか、やまねこがぼんやりしてきていたのか)
展開が早く、なかなかついていけなかったのですが、断片的に、
「脳梗塞」「入院」という言葉はわかりました。

つまり、きのうからのゆかさん、精神的な症状だろうと思われていたのが、
MRIで脳梗塞が見つかり、
そして即入院が決まったのです。
やがて「ベッドが取れました」と連絡があり、
再びゆかさんは車椅子に乗って、押されていきました。
向かった先は、5階の婦人科病棟でした。

やまねこは「入院手続きをお願いします」と言われていったん1階に下り、
仮の手続きを済ませて5階に上りました。

ゆかさんは4人部屋のひとつの、廊下側のベッドに寝ていました。
ほどなく、また初めて見る男性のお医者さんがふたり入ってきました。
「脳神経外科の、△△です。こちらは学生の□□先生」
「MRIでね、脳梗塞が見つかったのね。
小さな脳梗塞がた〜くさん。それでよくわからなくなっちゃったんですね。
これからこちらの先生がいろいろ質問しますから、よろしくお願いしますね」
なかなかフランクな先生でしたが、すぐに学生の先生に託して、出ていってしまいました。
たくさんの質問がありました。
やまねこも一緒になって先週からの出来事を説明していきましたが、
ゆかさんも少しずつ話すことができるようになってきたようでした。

学生の先生が出ていき、ゆかさんとふたりになりました。
「入院だって。ゆかさん」
「いつまで?」
「わからない」

窓からは、もう夕方の光が差し込んでいました。
いつの間にか晴れたのだな、と思いました。

担当の看護師さんから入院生活の説明があり、
次に入ってきたのも、初めて見る先生ふたり。女性と男性で、それぞれ、
「脳神経内科の平良です」「橋口です」とあいさつしました。
「少し(20分くらい)テストしますので、よろしくお願いしますね」
そのあといろいろ、
指先と指先を合わせてみたり、そのまま左右に動かしてみたり、
さまざまに手足を動かすテストが続きました。
場合によっては、ふたりの先生が、
「お?」とリアクションしたり「これは珍しい」「興味深い…」とうなったり、
ゆかさんも「はい」と返事をして、
できることもできないこともありましたが、なんとかついていっていました。

平良先生から、説明がありました。
「卵巣がんの疑いがあるとのことで、
腫瘍からは、ねばねばした物質が出て血管をつまらせてしまうことがあるんですが、
それで脳梗塞を起こしてしまったようなんです。
このまま入院していただいて、血液がさらさらになる薬の点滴を行います。
手術が決まってらっしゃるのは―5月22日ですか。
そこまで続けることになります」
「ずっと入院ですか!?」
約ひと月。
でも、その間ずっと専門家の先生方に近くで見守ってもらえるのですから、
うちにいるより安心なのかもしれません。

さっそくゆかさんの腕には針が刺されて、
巨大な注射器のようなものがつながれ、点滴が始まりました。


なんとも急展開な一日になってしまいました。
朝、適当に持ってきた入院用の荷物は、まだまとめている途中で
(それでも半分程度でもまとまっていて助かりました)
あしたの朝、足りないものを持ってくることになりました。
職場に電話して、明日も午前中お休みをもらいます。
ゆかさんも、現状がはっきりして落ち着いたのか、
さっそく点滴の効果が出始めたのか、
良くなりはじめると、急速に人心地がついてきたようで、
「何を持ってきたらいい?」と訊くと、少しずつ考えて答えてくれるようになりました。

葛西先生も顔を出してくれて、
「患者さんの言うことには、耳を傾けなければいけないね、って、
あらためて教えられた気がします」と言ってくれました。


朝、いろいろ検索してみたっけ―
それはそれで間違ったことではなかったと思うのです。
参考にすべき情報は、ないよりあったほうがいいのです。たぶん。

そしてもちろんお医者さんや看護師さんの経験値も間違いなく尊重すべきものでしょう。
たくさんのたくさんの症例を見ているのですから、
いつだってより正しい判断をする可能性が高いのだ、と思うのです。

でも、情報も経験も、ときおり思い込みを生むのです。
そして思い込みが人の目を曇らせることがあるのです。
朦朧とした意識の中で、
「ぜったい違うと思う」と言い張ったゆかさんはすごいと思いました。
じぶんも同じようにできただろうか、と思うと、自信がありません。
きっと、生きたいという気もちが、生命の声がゆかさんを突き動かしたのでしょう。


がんの疑いが強いことは変わらず、手術まで脳の治療が続くことも確かなのですが、
何がどうなっているのかわからなかった今朝にくらべれば、
少なくとも道筋は見えました。
「あしたの朝、また来るね」
「うん、今日はありがとね、ねこさん」

車を運転して、うちに帰りました。
今日もメイさんが玄関までたたたた、と走って出迎えてくれました。
「疲れたよメイさん。でも、とりあえずよかった」
きのうに続いて、長い長い一日。
あしたも半休もらったので、朝はゆっくり寝られます。
少し重荷が降りたようでした。
ひとりの夜でしたが、たぶん疲れも緊張感からの解放もあったのでしょう、
朝までぐっすり眠りました。





4月13日、下北沢ラグーナでのLIVE無事終了いたしました。

<うたった歌>
  ねこやなぎ
  河口のながめ
  さくら散るころ
  しずめのさくら
  アスファルトの小猫たち
  Dear Love

いよいよ次は4月28日、ワンマンLIVEです。

「うたうやまねこワンマンLIVE2019〜脈動〜」
4.28(Sun.)at御茶ノ水KAKADO → http://www.kakado.jp/
OPEN12:00/START12:30/CHARGE\2,000+1D
ゆっくり2時間、ふだんと違うやまねこも見て聴いていただけると思いますので、
ぜひ遊びにきてくださいね。

お会いできますように。
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