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2019年03月29日11:48

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ヨーロッパ滅亡の序曲・ボレロ

■メイ首相「EU離脱後に辞任」の意向 与党議員に表明
(朝日新聞デジタル - 03月28日 03:12)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5556634



1928年にラヴェルが作曲した「ボレロ」という曲は、
 
第一次欧州戦争後のヨーロッパを覆った茫然自失を鮮やかに写し出しています。
 
つまり「ヨーロッパ世界の滅亡の黙示録」というにふさわしい曲なのです。
 
 
なぜこんなに辛辣ことを言うかといえば、
 
この曲全体を覆う「虚無」のメッセージにあります。
 
戦後の「実存主義」を予告するかのような
 
「無力感」に驚かないではいられないからです。
 
 
少し皮肉で残酷で乱暴かも知れませんが、
 
ボレロを、ベートベンのエロイカと聴き比べてみましょう。
 
その違いに驚く筈です。
 
エロイカには、明確な意図と力強いメッセージが溢れているのに比べ、
 
ボレロには何の方向性もない、「見事なまでにカラッポ」なのです。
 
 
有体に言えば、第一次欧州戦争で、
 
ヨーロッパは深いところで病み、精神的に瀕死状態に陥ったと言えるでしょう。
 
世界各国に所有する植民地からの収奪でそれまで成り立ってきたヨーロッパが、
 
その最盛期のド真ん中で潰えたのです。
 
つまり、R・ブラウニングの詩
 
「全て世はこともなし」の驕りが永久に過ぎ去ったのです。
 
 
「ボレロ」は第一次大戦後のヨーロッパが内包する「空虚」を、
 
残酷なまでに映し出していますね。
 
ある意味、「ボレロ」は傑作です。
 
そう、行き場を失ったデカダン(退廃)としてのね…。
 
 
更に、第二次世界大戦で背骨を折られ、致命傷を負ったヨーロッパは、
 
もはや「ボレロ」に匹敵する作品すら生み出せなくなりました。
 
ゲーテ、シラー、トーマス・マン、更にはベートーベン、モーツアルトを産んだ
 
かつては世界に冠たる近代文明の中心だったドイツ、誇り高きドイツ。
 
しかし、ホロコーストの血で自らの両手を染めたドイツ人に、
 
世界を指導するに足る文明が、産み出せる道理がないじゃありませんか。
 
 
残酷なことに、それでも残されたヨーロッパ人は生きて行かなければなりません。
 
高度に発達した民主主義自体が、ナチズムを産み、全体主義を産んだことへの
 
自己嫌悪に周章狼狽しながらも、彼らはその日を生きる他なかったのです。
 
そして、焦土と化したヨーロッパを、なりふり構わず再建しようとした試みが、
 
苦し紛れのEUだったと理解すれば、彼らの必死さも判るでしょう。
 
 
ヨーロッパ各国は、血で染まった過去をできるだけ早く歴史の彼方に忘却し、
 
そうすることで何が何でも滅亡の運命から逃れたかったのです。
 
しかし拙速で強引な統合の結果、継ぎはぎで実現したEUが、
 
現在、肥大する癌細胞を抱えて瓦解の危機を迎えているのは、何とも皮肉です。
 
 
ヨーロッパは、今なお滅亡の危機から脱しえていないのです。
 
この意味で、1981年に作られた「愛と哀しみのボレロ」は
 
まことに象徴的な映画でした。
 
このままでは、ヨーロッパに三度目の戦争が起きる可能性も否定できません。
 
そしてんなことになったら、
 
ヨーロッパ世界は、完全に「文明の遺跡」と化すことになるでしょう。
 
 
 

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