高野センセに拠る、数々の法解釈や見解については、これまで不定期に複数回
参照させて頂いたことがあったので、弁護団が刷新されてその中にセンセの名前を
見つけてから、特段に注目していたけども・・。
当時案については刷新からそれほど日数が経ってないので、多くの見解までも
触れるに至ってない中で、昨日たまたまブログの方を拝見し、この謝罪内容を見た。
読んでの第一義的な感想は「ここまでして謝罪する必要があるのか！？」ということ。
これは、いわゆる日本的な「形式」に過ぎず、世間のワイドショー風味な
喧騒劇を前にして、発案者である弁護士として全てを被り、
ゴーン氏自身に拠る発案や希望だとか、能動的な意思に拠るものではない・・
ということを示しているのだろうな、という。
高野氏が、以前からずっと掲げて来た「刑事訴訟法」や「憲法」との関連性、
先進諸外国にある被疑者人権等との関係性に対して、日本の司法制度が極めて
重大な問題を抱えていることについて、強く警鐘を鳴らし続けて来た内容を鑑みれば、
こうした変装策を取らねばならないこと自体が、実は「日本の重大な悪性」であり、
そこまで到達せずこの方法と内容自体の評価で留まっていることが、
まさに高野氏がずっと懸念していた部分であって、今回もものの見事に
その現象が鮮やかに露呈した・・という風に映るわけで。
そのことを象徴する一つのセンテンス・・。
＞彼が生涯をかけて築き上げてきた名声に泥を塗った
この内容は、かねてよりセンセが示して来た内容からすれば、実は少し不正確。
ゴーン氏が築き上げて来た名声があるとすれば、もうとっくに「泥は塗られている」。
それは被疑者として逮捕された時点から、そしてここまでの尋常じゃない
抑圧的な長期勾留によって。したがって、厳密に言い表すとすれば「泥の上塗り」。
では、上塗られた「泥の厚み」はその下に塗られていたものよりもっと厚いのか！？
重みはずっと重たいのか！？そんなことは全然ないだろう。
全体から見れば僅か“プラスα”に過ぎない程度。
かねてから説かれて来た内容として、日本の拘留実態と検察司法は、
被疑者として逮捕勾留した時点で「推定無罪」の外形と内容に大きく反し、
大きく反している時点で「本人の地位や名声的なものをおよそに渡り奪っている」
として来たわけで、ゴーン氏も全く同様。
という諸々の観点から、センセが謝罪するとすればゴーン氏本人とご家族、近親者のみに
対して「だけ」が適当であって、広く社会に対して行うのは不適当。
寧ろ、本来同じ意味で謝罪しなければならないのは他の誰でもない
「検察と裁判所」だろう。
そのことからしても、本件でゴーン氏はおそらく、高野氏に対して“名声云々”の理由で
怒っている・・とはおよそ考えられず、寧ろ「感謝の念」の方が遥かに高いだろう。
何故なら、過去数回全て保釈請求を跳ね返されたのに、弁護団を刷新した途端に
一発で保釈が認められたんだから。
法曹界の各方面からも、今回の保釈条件のアイデアはまさに高野氏ならではだろう・・
という声が非常に多い。自身も言っているが、保釈請求に対して認められた実績は、
過去から今回まで「100％の打率」となっているんだから。
その点でも、結果論からすればやはり、最初の弁護団である“大鶴チーム”を
選択したことがそもそもの誤りだった・・ということにはなってしまうし、
最初から今の弁護団に依頼していれば、もっと早くに保釈可能だったと言える。
本件ニュース自体についてを限局的に観るだけなら、ゴーン氏が保釈以後に
発生するだろう、メディア攻勢と伴う広範の社会から集められるあらゆる注目という、
「余計なプレッシャー」が“推定無罪者（容疑否認者）”にとって、過度で不健全に
当事者を苦しめる・・即ち、関係のない一般人と同じ立ち位置になるのを阻む要因に
なることを防ぐ、または軽減化する目的の一つがこの変装策だった・・とすれば、
高野氏が言うように“失敗だった”との解釈は成り立つ。
がしかし、ではその失敗がもたらしたマイナス点は、全体から見ればほんの僅かか、
またはさしたるマイナスにもなりはしない・・というのが実態だろう。
逆に、本質論からすれば大きなマイナスは、人質司法にある伝統的手法に甘んじつつ、
尚も恒久的に貫けるだろうとし、一元的に依存して来た検察と、自動機械の如く
検察の主張に追従して来た裁判所・・即ち日本の司法全体に付与された・・
と捉えるのが本当は正しい。。
ゴーン前会長変装、弁護士謝罪
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=5528857
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