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2019年02月01日08:01

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1月の読書記録

先月は久しぶりに20冊6千頁以上読めた。年の初めとしては幸先のいいスタート。
ほぼ『チボー家の人々』と『罪と罰』で締められたという感じかな。ナイスも150以上になったし。この調子で本を読んでいこう。

2019年1月の読書メーター
読んだ本の数:21冊
読んだページ数:6395ページ
ナイス数:167ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■棚から哲学 (文春文庫)
駄法螺、屁理屈、八つ当たり…おおよそ哲学科教授が書いた物とは思われない下らないとしか言いようのない代物だが、これが面白いのだからしょうがない。一冊読めば、大体のパターンが掴め、多少は飽きもくるのだけれど、でもやっぱり読んでしまう。ところで気になるのが、著者と奥さん、及び助手との関係。このシリーズエッセイでは一貫して、自分に対して無理解な人達とカテゴライズされているが、あくまで自分を偽悪化するための手法であって、実際は結構理解があり、むしろ友好的な関係では?本当に険悪な関係だったら、逆にシャレにならないし…
読了日:01月31日 著者:土屋 賢二
https://bookmeter.com/books/531300

■罪と罰〈3〉 (光文社古典新訳文庫)
ロージンは自身の主張を果たしてどこまで本気で信じていたのか?ふとそんなことが気になった。彼を殺人に駆り立てた物は、そうした強気の説ではなく、それとは裏腹の自分の弱さや神経衰弱的気質ではないか?と思えてしょうがないのだ。また、そうした彼の弱さと同時に抱えている邪悪さを具現化したとも言えるスヴィドリガイロフが何とも印象的。それまで散々悪事を働いてきたとされるが、それを指摘されると露骨にうろたえ、否定しようとするなど、意外に気弱な面を見せるのが意外。またドゥーニャとのやりとりから伺える二人の関係も意味深…
読了日:01月29日 著者:フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/538818

■罪と罰〈2〉 (光文社古典新訳文庫)
最初期の『二重人格」は意外な程後の作品への布石になったのだな…ということに驚き。とりわけ、ロージンとスヴィドリガイロフとの関係にその傾向が強く見られる。また、本巻では前巻ではあまり見られなかったロージンの素直な面が描かれているのが印象的だが、それが件の事件の後というのが、何とも皮肉。本巻の山場の一つであるラスコーリニコフ一家とロージンとの対決は、ロージンの打算的な俗物ぶりが露呈されていく過程が痛快だが、その後で家族との関係を断ち切ろうとするロージンが痛ましい。最終部でのポルフィーリーとのやりとりは圧巻。
読了日:01月28日 著者:フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/538816

■罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫)
ラスコーリニコフって、後の現代文学に登場するプライドが高くて自意識過剰で面倒臭い系男子の一つの典型だったんだな…ということを再認識。それはともかくとして、約30年ぶりの再読だが、思ったよりさくさく読み進めることができるのが、ちと驚き。訳文の読みやすさと、登場人物の表記を統一したためだろう。後、最初読んだときには恐らくピンときていなかったマルメラードフの過剰な性格が印象的。解説にもあるようなマゾヒスト的性格とそれに呼応する妻カテリーナとの関係はある意味絶妙。最終部でロージャに絡むポーレッンカが可愛い。
読了日:01月27日 著者:フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/570910

■小津安二郎の喜び (講談社選書メチエ)
小津の映画を見る喜び…何度目にしても、その何気ない場面が思いもよらなかった美をもたらすということへの驚き。そして、それを語らずにはおれなくなるという恐らく他の映画には成し得ない喚起力を改めて認識。そして文章を通して、自分が見た映画を追体験することにも何とも言えない味わいがあることも。ところで、本書で繰り返される小津の映画に通底する農耕民族的な傾向というのは、若干眉唾ではあるけれど、熟考に価する見解だと思う。また、同じ仏系である蓮實の小津論への言及が全くないというのが、逆に蓮實への意識を暗示している気が…
読了日:01月25日 著者:前田 英樹
https://bookmeter.com/books/10268292

■チボー家の人々 (13) (白水Uブックス (50))
死を前にした人間が、それに向かってどう臨むか?かつてチボー氏によって問われた問題が、その息子アントワーヌによって再度提起させられたことによって、より一層読者はこの問題について深く再考する筈である。それはともかくとして、本書の大半を占めるアントワーヌによる日記は、当時の歴史的背景を把握していないと理解しがたい代物だが、その反面今だからこそ問いただされるべき問題を孕んでいることに驚かされる。その最たるものは、やはりインターナショナルと各国のエゴの問題。本巻が書かれた時代を思えば、余計にその意味が重くなる…
読了日:01月24日 著者:ロジェ・マルタン・デュ・ガール
https://bookmeter.com/books/25624

■チボー家の人々 (12) (白水Uブックス (49))
どんなに美しい青春にも限りがある。しかもそれが未曾有の世界大戦を間に挟むのなら尚更…前巻では犬死と思われたジャックが残したものが、本巻において様々な形で露呈することになる。その最たるものは忘形見ジャン・ポールだが、それ以外にも、その短い生涯の間にも確実に痕跡を残したことが伺える。意外な程の逞しさを見せるチボー、フォンタナン両家の女性陣に対して、男性陣のしょぼくれ方には、それ相応の理由があるとはいえ、ちょっと驚き。個人に印象的だったのは、アントワーヌがラシェルの首飾りを受け取る場面。彼女の影響力も侮れない。
読了日:01月22日 著者:ロジェ・マルタン・デュ・ガール
https://bookmeter.com/books/25619

■チボー家の人々 (11) (白水Uブックス (48))
戦争開始により無残にも打ち砕かれるインターナショナルの夢。そこで吐露されるされる英雄的愛国主義は現在にも通じるもので、それに抗することの困難さを痛感。それと裏腹に高調するジャックとジェンニーとの関係。しかもそれは死と破滅と隣り合わせであることを如実に感じさせるのが、何とも言えず切ない。そしてジェンニーとの恋に陶酔しながらも、どこかそれから逃げようとするジャックの独りよがりなエゴイズムには、嫌悪感と同時に不思議と愛おしさを覚える。更に待ち受ける決定的かつ破滅的な結末…ジャックの生の意味は一体何だったのか?
読了日:01月19日 著者:ロジェ・マルタン・デュ・ガール
https://bookmeter.com/books/25631

■ヤングケアラー―介護を担う子ども・若者の現実 (中公新書)
家族の介護に携わるのは、基本的に中高年層…と漠然と考えていたが、その問題に直面している若年層がこれ程いたとは…しかも、彼らが抱える悩みは想像以上。家族だから放っておけない、でも学校や自分のことも大事…という埋めつくせないジレンマ。とりわけこういう問題に対して杓子定規な対応をする学校や行政が何ともいえず腹立たしい。介護ではないが、家族のために少なからず犠牲を払ったという経緯がある者としては、何かと身につまされるものを覚えた。とにかく大切なのは、問題を家庭の中に閉じ込めないこと、周囲に助けを求めることだろう。
読了日:01月18日 著者:澁谷 智子
https://bookmeter.com/books/12817235

■初期仏教――ブッダの思想をたどる (岩波新書)
仏教系の本は、いくら読んでも、その内容が今一つ身につかないということを繰り返しているのだけれど、本書もご他聞にもれず。初期仏教についてのイメージがある程度つかめた一方で、その文献の膨大さ、発展の多様さ、起源を求める際に生じる困難さに眩暈さえ覚える。それに加えて、やたらと頻出する長めの漢字熟語に若干辟易させられることに。ただ、かなり早い時点からインドを始めとする南アジア諸国と古代ヨーロッパとの間に接点があったことを確認できたのは個人的に収穫。後初期仏教と大乗仏教との関連についてもう少し解説して欲しかった…
読了日:01月17日 著者:馬場 紀寿
https://bookmeter.com/books/13065421

■東大で文学を学ぶ ドストエフスキーから谷崎潤一郎へ (朝日選書)
何の気なしに手にした本だが、予想外に面白くてほぼ一気読み。小説とは何か?という一見自明な問題について、改めて考えさせられた次第。個人的には『罪と罰』に新たな興味がわいたのが大きかったか?それにしてもこの作品に関して、亀山郁夫に言及していながら、引用が亀山訳ではないのが、ちと解せないけど。また谷崎の『夢の浮橋』が『源氏物語』のオマージュという見方もちと驚き。そう言われてみれば…ちょっと読み込めば分かりそうなことをこれまで気づかなかったことに恥じ入る次第。それから谷崎が愛したという映画『葛飾砂子』が気になる…
読了日:01月16日 著者:辻原 登
https://bookmeter.com/books/8109499

■チボー家の人々 (10) (白水Uブックス (47))
複数の隣国と地続きというのは、島国に生まれ育った者には理解できない感覚が備わっているのでは?本書で繰り広げられる様々な議論を読んでいて、ふとそんなことを思わされた。そして、そうした状況で育まれた愛国心、あるいはインターナショナルという立場は、自ずと日本でのそれらとはどこか、根本的な違いが生じるのでは?と。そうした錯綜を極める状況の中で、不器用で誠実な愛を交わすジャックとジェンニーの姿が途轍もなく美しく、そして愛おしく、そして悲しい…また、時代に翻弄されずに、生きて行くことの難しさも改めて痛感した次第。
読了日:01月15日 著者:ロジェ・マルタン・デュ・ガール
https://bookmeter.com/books/522878

■チボー家の人々 (9) (白水Uブックス (46))
まさに対戦前夜という流れの中で、様々に錯綜する人間関係、感情、そして思想…今となっては時代遅れになったかと思われる左右のイデオロギー対立も、意外な程リアリティを持っていることに驚かされる。愛国か?インターナショナルか?グローバリズムの時代にあっては、ますますこの問題は重いものになっているかも。そして、その一方で急速に発展していくジャックとジェンニーとの関係。相変わらず面倒くささを抱えながら(笑)、それでも互いに本心を打ち明け、そこから劇的に理解しあうようになっていく過程は、読む者の心を激しく打つだろう。
読了日:01月12日 著者:ロジェ・マルタン・デュ・ガール
https://bookmeter.com/books/25639

■チボー家の人々 (8) (白水Uブックス (45))
前巻の後書きでも示唆されていたように、本巻からかなり趣が変わる。前半での党派内での人間関係や議論の場面は正直読むのがしんどかった。ただ、この時代から百年以上を経た今、社会主義革命は不可能であることを改めて痛感した次第。その点、ジャックとの論争でのアントワーヌは正しかったと思う。また、お互いに愛情を持ちながらも、同時に反発心を覚える兄弟の関係に身につまされるものを覚えた。そして何より、終盤での急展開。ここで繰り広げられるジャックとジェンニーとの再会場面に、相変わらずこの二人は面倒臭いな…と苦笑させられる。
読了日:01月11日 著者:ロジェ・マルタン・デュ・ガール
https://bookmeter.com/books/25627

■チボー家の人々 (7) (白水Uブックス (44))
肉親を失うということがどういうことか?月並みではあるが、それと同時に誰にも無視することができない普遍的な問題…しかも、直前に迫った父親の死に際して、ジャックとアントワーヌ兄弟が最終的に下した判断は、短絡的な善悪の問題を超えて、読む者にまったなしの問いを突きつける。また、一見強面であったチボー氏の良くも悪くも人間的な側面が露わになるくだりも印象的。とりわけ信仰に対する氏のあり方は同じ信仰を持つ者として、考えさせられるものがあった。そしてジャックとジゼールの別離の場面は男の身勝手さを克明に描写している。
読了日:01月08日 著者:ロジェ・マルタン・デュ・ガール
https://bookmeter.com/books/489047

■チボー家の人々 (6) (白水Uブックス (43))
初老に差し掛かった者として、死を目前に控えたチボー氏の焦燥感には何とも言えず身につまされるものを覚える。その一方、ジャックとアントワーヌ兄弟の愛憎交える関係性にも既視感が…理解と無理解、共感と反発。矛盾し錯綜する思いが二人の間に蠢く。とりわけジゼールを巡る二人の思いは、まさに愛憎半ばするもの。このあたりの描写は著者の真骨頂だろう。その一方で、後にその実像が明らかになるジャックの社会運動の予兆が、何とも言えない余韻を残す。個人的には、ジャックが少年園におけるそれとも通ずる暗い過去を吐露する場面が印象的。
読了日:01月08日 著者:ロジェ・マルタン・デュ・ガール
https://bookmeter.com/books/489046

■回心 イエスが見つけた泉へ
これまで呼んだ著者の作品に比べると、かなり難解で、神学的というよりむしろ哲学に近いというのが第一印象。用語も独特な物が多く、内容を理解するのにかなり苦労させられ、字面を目で追ったという箇所も少なくない。ただ、後書きにもあるように、現代においてキリスト教信仰の根拠を求めることの困難さは改めて理解できた気がする。また、あまり黙想を重視しないプロテスタントの立場から、黙想の意味を禅と絡めて黙想の意味を改めて問い直したくだりは興味深かった。この辺りは今後も論及の予知あり。最終部での三位一体と太陽の比喩は見事。
読了日:01月07日 著者:八木 誠一
https://bookmeter.com/books/10392782

■チボー家の人々 (5) (白水Uブックス (42))
「え?!ジャックは登場しないの?彼とジェンニーは結局どうなったの?」という疑問に一切答えることなく、サブタイトル通り、アントワーヌによる診察を巡るエピソードがメイン。解説にもある通り、たった一日を描いた小説なのに、その濃厚な描写…生死を巡る問題、微妙な心理の働き、そして複雑な人間関係等々…には驚かされる。個人的にはジャックを慕っていたジゼールと彼女に思いを寄せるアントワーヌとの温度差が興味深い。そしてその不在が余計にその存在を際立たせるジャックの消息が読む者の興味を否応なくそそらせる。早く続巻を読みたい。
読了日:01月07日 著者:ロジェ・マルタン・デュ・ガール
https://bookmeter.com/books/537944

■若きサムライのために (文春文庫)
闊達で小気味好いべらんめい調の語り口…しかし、その裏にかつてのひ弱で神経質だった著者の姿が読み取れる気がするというのは穿ち過ぎだろうか?これまで読んだ著者の作品に感じ取れたトリック・スター的な要素、どこか人工的で、読み手をはぐらかすような印象が本書からも如実に感じ取れる。どれだけ国防を熱く語っても、「この人どこまでそのことを本気で信じているんだろう?」と。本気でやってないことのために自衛隊で割腹自殺できるか?と問う人もいるだろう。しかし、あえてそれをやってしまったのが、三島という作家だと思えてしまう。
読了日:01月03日 著者:三島 由紀夫
https://bookmeter.com/books/559509

■チボー家の人々 (4) (白水Uブックス (41))
これまで以上に錯綜するストーリー。幾つかのエピソードが並行して語られるため、読者も付いて行くのが容易ではない。本巻でのメインはやはりアントワーヌとラシェルのエピソードか?当初は風変わりで奔放な女性というイメージだったのだが、読み進めるうちに、その複雑で重い過去が露わになってくる。とりわけ兄の死を巡る話は読む者の心を締め付ける。後、別れる直前まで「好き」を繰り返すラシェルの姿に彼女の性格の複雑さが読み取れる。後、ジェロームの身勝手なダメんずぶりも印象的だったか。でもこういう男がもてたりするんだよな。理不尽…
読了日:01月01日 著者:ロジェ・マルタン・デュ・ガール
https://bookmeter.com/books/537943

■チボー家の人々 (3) (白水Uブックス (40))
ジャックが高等師範学校に合格…やっぱり賢かったんだ…というのが第一印象(笑)。普通だったら小躍りして喜ぶところだが、素直に喜べず、反発心さえ覚えてしまうのが彼の彼たる所以か?それと中学校では優等生であったダニエルがいざ性愛の分野になると父親譲りの淫蕩ぶりを見せるのも印象的。そして、解説にもあるように圧巻なのはアントワーヌによるデデットの手術のくだり。そして、唐突とも言えるラシェルとの関係。このあたりの描写とストーリーの流れの強烈さは著者の真骨頂ではないか?それにしてもジャックとジェンニーは面倒臭いな…
読了日:01月01日 著者:ロジェ・マルタン・デュ・ガール
https://bookmeter.com/books/537942


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