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2019年02月20日22:04

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認知症の人に認知できないことは何か

■小学生が「認知症」を体験……その時、教室で起きたこと「いつも通り、普通に生きているだけ」
(ウィズニュース - 02月20日 07:00)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=220&from=diary&id=5505407

> (1)自分のいるところが分からなくなり道に迷う
> (2)階段を降りようとするが高低差が分からない=空間認識の欠落
> (3)自宅のリビングに見えるはずのない女の子が見える=幻視症状

 先日、2月18日(月)、介護認定の審査を受けた。
 以前も日記に書いた通り、起立神経障害が悪化しつつある状態にあり、長時間の外出が困難になって来たので、職場から介護認定を受けたらどうかと勧められていたのである。
 その審査の中には、認知症を発症しているかどうかのテストも含まれていた。

 認知症のテストと言えば、以前、父もそれを受けていて、絵(ないしは言葉)を三つ記憶することができるか、四桁(ないしは三桁)の数字を逆から言えるか、という単純なものだった。
 父は両方ともからきしで、イラストはわずか三分で忘れてしまったし、数字も絶句してしまっていた。

 さて、いざ自分が審査を受ける段になると、やはり緊張してしまう。自分は大丈夫だと信じたいのはやまやまだが、自分が認知症だと認知すること自体、困難なのが認知症なのである。記憶障害をただの度忘れだと思いたがったり、自分の記憶にいろいろ矛盾が生じていても、記憶自体を捏造して、無理矢理つじつまを合わせようとしたりする。自己矛盾を認識できないのも、認知症の大きな特徴なのだ。認知症の患者を身内に持った者の多くが経験していることだろう。
 自分もそうなっていないかと心配していたのだが、テストはあっさりと終わってしまった。自分の名前、漢字、生年月日、住所、今日の日付と曜日、季節を聞かれて、それだけで終わりである。「季節」については実はちょっと迷った。今週初めはまだ肌寒かったし、2月は冬だと認識している人も多いだろう。けれども暦の上では既に立春を過ぎていて春なのである。だからその通りに答えたら、あとは何も聞かれなかった。
 実は、職場でも前述した「絵を記憶する」「数字を逆から言う」テストは受けていて、一応、合格はしていたのである。とりあえず当面は、認知症で家族や周囲に迷惑をかける心配はなさそうだ。

 ただ、認知症ではないが、私は子供のころに事故で頭蓋骨骨折を経験しており、それ以来、多少は脳を損傷しているらしい症状が出てはいる。時々、自分の目の前にある風景の、文字の意味が分からなくなってしまうのだ。いわゆるディスクレシア(識字障害)と言われる症状である。
 しょっちゅう起きるわけではないので、生活に困難を感じたことはほぼないが、実際に目の前に書かれてあるものがはっきりと見えていて、形だって把握できていて、「文字」だということも理解しているのに、その意味が「わからない」のである。これは焦る。この症状が永遠に続いたらどうしようと狼狽する。
 この不安と恐怖は、経験したことがある者にしかわからないことだろう。

 認知症は、その内実には個人差もあるし、進行の具合もてんでバラバラである。「自分のいるところが分からなくなる」というのも、道の様子や建物を忘れているのか、それが道や建物であると認識すること自体、困難になってしまっているのか、程度の差があると思う。
 実際、ディスクレシアに陥った経験のある身にしてみれば、この「見えているものの意味を理解できない」ほどに進行してしまった症状を、フツーの人に理解してもらえるとはとても思えない。ましてや、VRで再現するなんてことは不可能であると考える。だって、見えている人には見えているものの意味が、ちゃんと分かっているのだから。
 だから、VRでは、認知症患者の気持ちをナレーションで「ここはどこだかわからない」と語らせているのだが、それはただの「解説」にすぎない。認知症の「疑似体験」には程遠いのだ。VRで再現できるのは、せいぜい目に映る光景の遠近感をなくすくらいのものだろう。

 小学校の教室で行われたという、このVR体験――子どもたちの反応も、記憶障害と幻視については、「ふーん、そうなんだ」程度の「他人事」的な感想しかないように感じられる。遠近感をなくした映像にのみ、リアルな恐怖を感じた子どもが多かったようだ。
 確かにそれだけでも「認知症患者の気持ちに寄り添う」ための一助になるかもしれないと思いはする。思いはするけれども。

 ただ、あの「見えているのに意味が分からない」感覚、これを何とかして疑似体験してもらう方法はないものかとも思うのである。あの不安感ばかりは、言葉で説明したって実感してもらえるものではないからだ。
 それを実感してもらえればねえ、認知症患者にいろいろと迷惑かけられている人も、患者に対して少しばかり優しく接してあげられるようになるかもしれないって思うんだよ。認知症の人の気持ちを認知できないという点では、認知症でない人も実は認知症なのだから。




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