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2019年01月24日16:45

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『家へ帰ろう』感想

〜ホロコーストを生き抜いたユダヤ人の老人が、70年の時を経て、友人との約束を果たすためにアルゼンチンから故郷ポーランドへ旅する姿を描いたロードムービー。ブエノスアイレスに暮らす88歳の仕立て屋アブラムは、自分を高齢者用の施設に入れようとする子どもたちから逃れ、故郷であるポーランドを目指して旅に出る。そして、その旅には、第2次世界大戦時、ユダヤ人である自分をナチスの手から救ってくれた親友に、自分が仕立てた最後のスーツを渡すという目的があった〜 <映画.comさんより>


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この作品で一番上手いと思ったのが、主人公アブラハムを仕立て屋にして自分で仕立てたスーツを持たせての旅という設定にしたこと。
ただ手ぶらで会いに行かせてもいいわけなんですが、過去の親友との別れ際にその友人からスーツの型紙をもらっていて「いつか仕立てて届けに来るよ」っていう約束をしていたわけで。
つまり、そのスーツ(約束)を同行させることで、途中、困難に直面しても、自分を奮い立たせて旅を続けられるという。いいねえ〜。

ただ、アブラハム、その約束を思い出したのが、自分の家を引き払い、老人施設に入るという日の前日!
「これはどうするの?」って親族(お手伝いさんだったかも?)の1人にそのスーツを見せられて、いきなり「ハッ」となり、家出を決意。
そこからの行動が早い、早い。

アブラハムの片足は、古傷が悪化していて、まともには歩けず。
腕には収容者番号。航空券は片道のみ。

ちなみに、冒頭で出てくる子どもたちや孫、一緒に撮った写真などは、その後一切出てきません。
伏線等も全くなし。
アルゼンチンには戻るつもりはない、というか、もうひたすら、ポーランドへ、過去にまっしぐらに進んで(戻って)ゆくんです。

ブエノスアイレス飛行機→マドリード新幹線→パリ新幹線→ワルシャワ

強盗に会ったり、言葉が通じなかったり、自分の確固たる拘りもあって、トラブル続出。

一番の難関は、パリからドイツを通らずポーランドへ列車で訪れたいというところ。
どうしても、ドイツは通りたくない。その地に足を一歩でも踏み入れたくない。地面すら踏みたくない。
ようやく妥協しての解決案とは・・・。

行く先々でアブラハムを助けてくれるのは、飛行機で出会った青年を除けば、皆女性。
うまい具合に、皆、スペイン語が話せてるし。

アブラハムの過去がその女性たちとの会話で明らかされてゆくのですが、印象深かったのは、やはりドイツ人女性とのシーン。
アブラハムは、彼女がドイツ人ゆえ、頑なに手助けを拒むわけですが、彼女は「あなたを助けたい」とひたすらアブラハムに寄り添うんです。
これは、もう、ドイツの国そのものの姿勢ですよね、まさに!

悪夢、そして、忌まわしき過去のフラッシュバックにも苦しめられながら、ようやくかつての家に到着するアブラハム。。。

タイトルはラストの台詞から。
全体的に、感傷的ではなく、かなりストイックに仕上げられています。
あちこち説明場面が省かれていて、やや、待ったをかけたい箇所もあったんですが、もう、もう、ラストシーンで、そういうウダウダは見事に流されました。

アブラハムを助けてくれた皆、ありがとう!ホロリと泣かせていただきました。4つ☆
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