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2019年01月11日00:00

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反社会勢力認定の困難性 弁護士 岡本 哲

反社会的勢力認定の困難性
2014年4月に新日本法規のメールマガジンに発表したものです。

               弁護士 岡本 哲

 マンガのはなしから規範的構成要件事実の認定の困難性のはなしになります。
 読者のみなさんには弘兼憲史「黄昏流星群」をごぞんじのかたは多いと思われる。ビッグコミックオリジナルに15年以上連載されており、2014年3月時点では単行本46
巻がでている。人生の黄昏時の人間模様を中編形式で描くものであり、各話は独立して
いる。
 2014年で筆者にとってもっともショッギングなことは、この黄昏流星群にでてく
る主要登場人物が自分より年下とわかったことであった。自分が人生の黄昏にあるとつ
きつけられたようなものである。2014年2月5日号からはじまった第436話 星
々流転だとヒロインは筆者より2歳年下であり、夫は2歳年上の都銀支店長である。この支店長が部下が反社会的勢力への融資をした責任をとらされ地方のメーカーに経理関係の重役でもない地位で出向することになる。そこの会長はヒロインの不倫相手であった。
 このようなはなしの展開である。部下の不祥事でとばされるヒロインの夫は、かなり
厭味な人間に造形されており、通常の読者はあまり同情しないであろう。
 ただ、民事介入暴力対策を長くやっている筆者のような弁護士にとっては、部下の、
それも」反社会的勢力相手の融資というのは、なかなか注意がゆきとどかなかっただろ
うし、部下が確信犯的にやっていた場合はどうしようもないだろうな、と不憫に思って
しまう。

 地方都市の場合は犯罪報道もわりと綿密なので、地方新聞の社会面をチェックし続け
てデータを集積しておけば地元のヤクザやその関係者に関するデータベース作成は容易
であろう。筆者の経験でも相手方に前科に関する新聞記事を相手方につきつけたことは
複数ある。大都市になると、ヤクザ関係の事件もニュース性が低いので、報道されてい
ない事件がおおいことは容易に推測できる。暴力団対策センターなどの情報が得られた
としても果たして法廷で通用するといえるのかどうかはかなり悩ましい。
 振込詐欺防止法での通報歴とか、暴力団追放条例での口座解約例の集積もまだまだ途上であろう。
 今後のビッグデータ取扱技術の進展で反社会的勢力の認証能力もあがることが予想さ
れるが個人情報保護法やプライバシーとの関連で法的にも新たな問題が次々とでてきそ
うである。

 冒頭の支店長の例であれば、反社会的勢力の認定の困難さを考えると、故意が認められるような場合はともかく、提出されたデータから反社会的勢力と疑われる事情があっ
たのか、また銀行内に反社会的勢力絶縁のためのシステムがあったのか、両方について
クリアできてりるのであれば免責されていいのではなかろうかと思われる。もっとも、
更迭がなければまんがのストーリーはすすまないが。


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