因果応報 という言葉は知ってはいるが そんなに悪いこと したかなぁ?
このまま 意識も痛みもあるまま 切り刻まれてしまうのかぁ 俺
ほんの数分だったと思うが 自分の「覚悟」を決めた時間だった
「〇〇さん、意識ありますね・・・」
天使の声に聞こえた
左まぶたをのぞき込んでいた女性の看護師さんだ 逆光で顔は見えない
少なくとも、まだ生きている事を 理解してくれた人がいた
開胸手術だけは 回避出来るかもしれない・・・
・・・次に意識が戻ったのはストレッチャーでどこかに運ばれてる最中のようだった
「ベルギー戦、何時からだっけ?」
「もう 始まってるんじゃ ないすかね?」
その若い看護師さんたちの 会話の合間あいまで 呼吸器のポンプの手が止まり
ものすご〜く 呼吸が苦しくなる
薄暗い廊下 乾いたキャスターの音
会話の内容から、自分が生き延びた事がわかった
つづく
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