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2018年10月13日18:20

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国際    中間選挙を控えたトランプ政権と軍需産業  アメリカのモノづくりと軍産複合体

 日刊ベリタ記事の転載です。
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201810131620056






2018年10月13日16時20分掲載  無料記事  印刷用

国際

中間選挙を控えたトランプ政権と軍需産業  アメリカのモノづくりと軍産複合体


  11月6日投票のアメリカの中間選挙まであと1か月を切った。2016年にトランプ大統領が大統領候補者だった時、長年、米製造業の拠点だった北東部の「ラストベルト」地域が工場空洞化で今ではすっかり錆びつき、多くの白人がグローバル化によって生活が壊されたと主張していた。トランプ大統領は彼らに応えるべく自由貿易協定をやめると語り、アメリカファーストを語って多くの支持を得て当選した。今年に入って中国製品に関税をかけるプレッシャーを強めているトランプ大統領だが、さらに最近、興味深い記事を目にした。選挙戦からトランプ批判で歯に衣着せぬ報道を続けてきたニューヨークタイムズ(国際版 10月6日-7日 )にトランプ大統領の側近が寄稿したのだ。寄稿文のタイトルは”America's military-industrial base is at risk " (アメリカの軍需産業の基盤が脅かされている)というもので、寄稿者はピーター・ナヴァロ(Peter Navarro)である。

  ピーター・ナヴァロは ”Office of Trade and Manufacturing Policy”(貿易と製造に関する政策を担当する部署)のディレクターを務めており、トランプ大統領のアドバイザーである。これは昨年4月にトランプ大統領によって創設された部署で、まさに今話題になっている中国との関税戦争や課題になっている米製造業のテコ入れなどを受け持つ部署である。以下のリンクはCNNにナヴァロ自身が去年、当該部署のディレクターに抜擢された直後に寄稿した一文で、TPPやNAFTAなどの自由貿易協定がいかに米国の製造業を蝕んできたか、そしていかにトランプ政権がそれと闘う決意があるかを示しており興味深い。自由貿易協定自体が悪いと言うよりも、むしろ米国にもっともっとメリットのある協定に変えていく、ということだろう。
https://edition.cnn.com/2017/05/02/opinions/historic-100-days-trade-opinion-navarro/

  そのナヴァロが来月に迫った米中間選挙を前にトランプ政権にとっては”away”(アウェイ)でもあるニューヨークタイムズにあえて寄稿した内容は米軍を支える兵器や軍需製品の製造基盤がグローバル化で脅かされている、ということだ。つまり、兵器には実に様々な部品や素材が必要だが、それらが空洞化によって米国内で調達できなくなってきているということを訴えているのである。精密な兵器では部品が1つなくても完成しない、極端に言えばそうである。ところが、そうした部品の製造業者が海外に移転しているだけでなく、場合によっては政治的に米国に輸出できなくなる可能性もある不安定な国で作られている場合もある、というのである。だから、そうし工場を国の防衛のために国内に復興しなければいけない、というのである。

  ナヴァロはトランプ政権のモットーである”Economic security is national security "(経済のセキュリティは国のセキュリティである)を引きあいに出し、「強い製造業の基盤こそ経済の繁栄と同時に国家防衛にも欠かせない」と言う。そして彼はペンタゴンが発表したレポートを紹介しているのだが、そのペーパーには先ほど触れたような工場の空洞化が兵器の安定供給を脅かしていることなども含めて300項目にわたる弱点が指摘されているという。兵器の製造に必要な特殊な技能を持つ労働者も不足しているという。ナヴァロのこの寄稿は2016年に大統領候補者だったトランプが勝敗を左右する米北西部の諸州の有権者に向けたメッセージのリライトのように思われる。そして、日本からこのナヴァロの寄稿を読むと、アメリカではまさに軍産複合体が国を動かすほどのパワーを握っていることが具体的に感じられる。米製造業の基盤が崩れて必要な部品が調達できないために不具合のある兵器がもし作られたら、墜落したり、爆発したりと危険なことになるかもしれない。ナヴァロはトランプ政権はペンタゴンのレポートにある弱点に対処するとしている。

  ナヴァロの寄稿の内容は第二次安倍政権の発足以来、安倍政権がインドをはじめ外国に兵器を販売するための仕組みを作り出していることと重なって見えてくる。自民党を支えている経済団体や企業群は軍産複合体化してグローバル時代に生き残りを図ろうと舵を切っているように思える。その最たるものが自民党による憲法改正の試みである。経済と軍事が一体化することは日本国憲法とは相入れないからだ。少子高齢化と可処分所得の減少で消費が伸び悩む今日、税金で買いあげてもらえる軍需製品は日本の製造業者にとって大きな魅力になっているのかもしれない。さらにナヴァロの主張にあるように軍需製品の場合、工場の海外移転をなるだけ避けたいと言うインセンティブが国家に働くのだ。安倍政権と言えばネトウヨ、という連想を持つ人も少なくないが、実際は企業群が手堅く支持してきたのである。戦後、焼け跡から始まった日本経済の復興に拍車をかけたのが朝鮮戦争による特需だったことを忘れられない人は多いに違いない。


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