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2018年07月06日21:11

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イスラエルと呼ばれたヤコブ、その11番目の息子ヨセフの遺訓から抜粋

イスラエルと呼ばれたヤコブの11男、
ヨセフの遺訓より抜粋

「我が子らよ、忍耐と断食を伴った祈りがどんなに偉大なことを成し遂げるかを見よ。お前たちも、もしへりくだった心で断食をしながら忍耐と祈りを持って貞節と純潔とを追い求めるならば、主は貞節を喜ばれるのだから、お前たちの中に住んで下さるだろう。至高者が住んでさえおられるなら、嫉みに遭おうが、奴隷になろうが、中傷に遭おうが、貞節の故に住んでおられる主が悪から救い出して下さるばかりか、私の場合のように、高め、栄誉をも賜って下さるのだ。と言うのは人は全て、行いにおいてか、言葉においてか、想いに於いて高められるからだ。

 兄達は父がどんなに私を愛していたかを知っている。然し私は驕慢にならなかった。まだ子供ながらに神に対する畏れがあった。全ては過ぎ去ることを知っていたからだ。それで、悪意を持って対抗することなく、反って兄達を敬った。イシュマエル人に売られた時でさえ兄達を畏れるが故に、自分をあの大いなる義人ヤコブの息子であるとは言わなかった。

 だから、息子たちよ、お前たちもその全ての行為に於いて、目の前に神に対する畏れを持つようにせよ。主の律法を行う全ての者が彼に愛されるからだ。イシュマエル人について行った時,『お前は奴隷か?』と訊かれたが、兄達を恥ずかしめないように、『主人の家で生まれた奴隷です』と答えた。年崇の者が、『お前は奴隷ではないな。恰好を見ても分かる』と言ったが『私は、彼等の奴隷です』と答えた。そして、エジプトに着くと、私をめぐって誰が金を払って私を買うかで争った。そこでみんなは、商品を買って帰途につくまで、自分たちの交易相手の商人の所に預けておくのが良いと考えた。そう言う訳で、主はその証人が私を気に入るようにされたので、彼は自分の家を私に委ねた。それで、神は私の故にその証人を祝福されたため、金と銀と奴隷を増やされたのだった。こうして、私は彼の所に3か月いた。

 ところがその時、宦官から私たちのことを聞いたメンフィスの女、ポティファルの妻が飾り立てて馬車に乗ってやって来た。彼女は夫に『あの商人は何とか言う若いへブル人のお陰で金持ちになったのよ。噂によるとカナンから盗んで来たそうよ。さあ、あの商人を裁いて、彼をこの家に連れて来るのです。そうすれば、あの男には天からの恵みがあるので、へブル人の神があなたを祝福してくれるのよ。』

 こうしてポティファルは妻の言葉に説き伏せられて、その商人を呼び出して言った。『お前についての噂は一体なんだ?カナンから人を盗んできては、奴隷として売っていると言うではないか』。商人はポティファルの足元にひれ伏して願った。『お願いです、閣下。仰ることは身に覚えがありません』。ポティファルは言った。『それでは、あのへブル人の奴隷はどこから来たのか?』。そこで、『帰るまでと言うことでイシュマエル人が私に預けて言ったのです』と答えたが信用せず、裸にして打つように命じた。然し、それでも主張を続けるのでポティファルは、『それではその若い男を連れて来い』と命じた。私は連れて行かれた時、ポティファルの前にひれ伏した。彼はファラオの高官の中でも第三位の地位にあったからである。そして、私を自分から離れたところに立たせて言った。『お前は奴隷か、それとも自由人か?』そこで、『奴隷です』と答えた。すると『誰の奴隷か?』と訊くので『イシュマエル人のです』と答えた。すると『どのようにして彼らの奴隷になったのか』と言うので『カナンで私を買ったのです』と答えると『嘘をつくな』と言い、直ちに私をも裸にして打つように命じた。

 あのメンフィスの女は家が近かったので、打たれている私を窓から観ていた。そして、夫の所へ人をやって、『さらわれて来た自由人をまるで罪人のように罰するなんて、あなたの裁きは間違っています。』と言った。然し、打たれても私が曲げないため『この奴隷の持ち主が戻って来るまで見張りをつけておけ』と命じた。あの女は夫に言った。『なぜ、あのさらわれて来た生まれの良い者を獄に入れておくのですか?むしろ、自由になり身近に仕えさせるべきですのに』彼女は自らの欲情のために私を近くで見たかったのである。然し、私はそんなことを全然知らなかった。彼は妻に言った『エジプト人の間では、証明する前に他人の所有物を取り上げることは出来ないんだ』これは、あの商人について言ったのだ。そして、『だから、この奴隷は閉じ込めておかれるべきなんだ』と言った。

 24日経ってイシュマエル人が戻って来た。そして、父ヤコブが私のことで非常に悲しんでいることを聞き知って、来るなり私に言った。『なんだってお前は自分のことを奴隷だなんて言ったのだ。見ろ、お前がカナンの勢力家の息子だってことが分かったんだよ。お前の親父は今でも荒布を着て、灰の中でお前のことを悲しんでいるのだ』。これを聞いた私は腸を引きちぎられ、心臓が溶け【るようで】、激しく泣きたかった。然し、兄達を恥ずかしめないように自制して言った。『分かりませんね。私は奴隷ですよ』。そこで彼らは私が彼等の手中にあるのを見とがめられないようにと、私を売り払う相談を始めた。父が来て、彼らに復讐するのを恐れたためである。と言うのも、父ヤコブが神と人々の元で偉大な【評判】があるのを聞き知ったからだ。そこであの商人が言った。『ポティファルの裁判から私を助けてくれよ』。そして、彼らは私の所へ来て頼んだ。『お前が、金で私らに買われたんだ、と言ってくれれば、彼は我々を自由にしてくれるんだ』

 メンフィスの女は夫に言った。『あの若い男が売りに出ているそうですからお買いになったらどうですか?』そして、女はすぐに宦官をイシュマエル人の所へやって、私を売ってくれるように求めた。この宦官は彼らと交渉した結果、買うのを止めて戻り、女主人に『あの奴隷に大変な価格をつけています』と報告した。そこで彼女は別の宦官に『たとえ2ミナ要求しようと渡しなさい。金を惜しんではいけない。ただあの男を買って私の所へ連れて来なさい』と命じた。そこで宦官は行って彼らに80枚の金を渡して私を受け取ったが、エジプト女には、『100枚渡しました』と報告した。私は知っていたが、宦官が恥をかかないように黙っていた。

 子供達よ、見なさい、兄達を恥ずかしめないために私がどんなに我慢したかを・・・。だから、お前たちも互いに愛し合え。そして、互いに忍耐を持って欠点をかばい合え。神は兄弟の和と、愛に優れた心遣いを喜ばれるからである。

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 だから、もしお前たちも主の戒めの中を歩むならば、神はお前たちを善きもののうちに永遠に高めて下さる。もし、お前たちに害を加えようとするものがいるならば、お前たちは反って親切にし、その者のために祈れ。そうすれば神によって全ての危害を免れる。身よ、私は謙遜と忍耐の故にヘリオポリスの神官の娘を妻に迎えることが出来た。さらに持参金として、100タラントの金を受け取った。そして主は彼らを私に仕えさせた。・・・・」

*註記 : 御存知の通り、ヨセフはカナンで17年間、エジプトのポティファルの家での奉公10年間、獄吏の召使として3年間、王家の管理者として80年間仕え、且つ王亡き後、王の息子が成長するまでの十数年間を実質的な王として君臨しました。
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