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2018年04月07日12:41

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小説・冬の王の物語・・10

前日記の続き・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「これか?」胸元の赤い宝玉のついた首飾りを見せる

「ああ・・そうだ・・ほれ・・そこの幼き少年よ
可愛い この少女を助けたいのだろう?」

男の子は 泣きそうな顔をして 冬の王に顔を向ける・・。

「・・成程・・人質を取られていた訳だ・・。」
男の子の顔に手を触れる 冬の王

「ん!ん!・・この子は・・」王はそっと微笑む・・・。

そして小さな声で男の子だけに聞こえるように 呟いた

「思わぬ拾い物・・この子の魔力は 想像以上に大きい

あの魔女めは あいにく そこまでは気がついてないようだ・・。」

「我は 継ぐ者を見出した・・。」

「幼き少年よ・・頼みがある・・
そなた 「冬の王」になってはくれまいか?」

「え!」男の子は驚き問いかける。

「さすれば この首飾りの宝玉はそなたにやろう・・。
好きするがいい・・。」

「この宝玉には 前世代の王達の記憶と魔力が刻み込まれたもの
代々 王に受け継がれたもの・・そなたは資格がある・・。」

「急にそんな事を言われても・・」

「いやだと言うなら この首飾りはやれぬ

これは 冬の王のものだから・・それがこの首飾りにかけられた魔法」
微笑みながら 冬の王は優しく話しかける。

「・・・わかりました。冬の王になります・・。」

「よかろう・・それから・・
一つこれだけは聞いてくれるかね・・。」

「たとえ・・この私の身に何が起こっても 
決して そなたのせいではない・・

何故なら この地で王という者は唯一ただ一人なのだから・・」

「?」きょとんとする男の子

冬の王はしゃがみ込み 
男の子が 首飾りを取りやすいように 目線を合わせる
姿勢を取る

男の子は 冬の王の首飾りを外した

すると・・・
まるで 幻のように 王の身は風の中に溶け込むように
ゆっくりと消えた・・。

カランカランと 服や身にまとった鎧や剣が 
その場所に転がった


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