mixiユーザー(id:23589482)

2017年11月26日23:55

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これ「強制」だよな

ま、たまには、NEWSとリンクさせねーで、「全体に公開の日記」でもと。

一応「書評」でなあ。最近、すげー一冊読んだんで、是非、皆さんに紹介したく為ったので。

タイトルからしてぶっ飛んでるよ。「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか」だぜ。著者は、劇作家の鴻上尚史氏で、講談社現代新書な。

劇作家なので、創作と思う人居るかも知れねーけど、こいつは百田の「永遠の0」とかのファンタジーと違い、「全くの真実」だ。

著者は生前の当人と、直に逢い聴き取りをし、更には周辺の人から取材し、その上膨大な資料から、このルポルタージュを書き上げてるので。

簡単に内容を説明すっと、「9回、神風特攻を命じられ、そして9回生き残った陸軍航空兵の実話」でなあ。

神風特攻隊って、「自殺作戦」が、組織的に日本軍で実行に移されたのは、1944年のフィリピンの戦闘の頃。

陸海軍共に、「最初の特攻は、成功させなけば為らない」と思ってた節が有り、第一号は「どっちもベテラン・パイロットが選ばれた」そーな。

海軍航空隊(当時大日本帝国に空軍は存在しなかった)では、「敷島隊」で、特攻第一号は関大尉。一応、当人は「志願」っと為ってるけど、出撃前の新聞記者のインタビューには、「報道班員、日本もお仕舞いだよ。僕のような優秀なパイロットを殺すなんて。僕なら体当たりせずとも、敵空母の甲板に500キロ爆弾を命中させる自信は有る。僕は天皇陛下とか、日本帝国の為に行くんじゃない。最愛のKA(奥さん)の為に行くんだ。戦争に負けて彼女がアメ公に強姦されない為に・・・」勿論、この記事は、当時の報道統制下の帝国で、印刷されるこたー無かった。

じゃあ、陸軍航空隊は誰が行かされたのか云うと、この本の主人公の佐々木友次氏なんだが、より正確には、その上官の岩本隊長な。

その理由は、「軍令部に意見具申したから」だよ。

彼は、ベテラン故に、「陸軍機での体当たり攻撃の無意味さを、常に上層部に訴えてたんだ」・・・コレ、「その理由が一々尤も」でなあ。

曰く。

「航空機は、最初から揚力を得る設計をされて居る。だから爆弾を抱いて、敵艦に突っ込んでも、それは、高空から爆弾を投下した速度の半分程度でしか無い」

「軍艦は鋼鉄製だが、航空機はジュラルミンとかの軽金属で製造されてる。生卵をコンクリートにぶつけるのと同じで、卵は割れるが、コンクリートはただ汚れるだけ」

「陸軍には海軍のような、徹貫弾(艦船の装甲板を貫いた後に爆発する爆弾)を持たず、地上の兵員を殺傷する通常爆弾しか無い」

・・・だから、当人は、スキップ・ボム(米軍が遣った、飛び石みてーな爆弾の魚雷化)や、艦船攻撃可能な爆弾の開発を上に具申した結果、意趣返しみてーに比島に送られ、待って居たのは、「武装を全て外され、爆弾を投棄出来ねーよーに改造された、先端に『死のトゲ』って、自爆信管を装備された、99式双発軽爆撃機」と。

岩本隊長は、残念ながら、陸軍航空隊の特攻の前に、体裁を整える為の、数百キロ離れた、第4航空軍司令官の富永恭次の宴会に呼ばれて飛行中に、グラマン米軍機の襲撃に遭い、10ヶ月の新婚の妻を残し戦死。

で、この主人公の佐々木友次氏に対しては、生きて帰る度に、「何で、死んで来なかった?」と「次は、必ず死んでくれ」の強制だけ。

まあ、この人が、何で死なずに済んだのかは、本書を読むのを是非進めるけど、現場の整備兵を始め、多くの人達が、「こんな馬鹿みてーな戦争で、自殺作戦なんざ、冗談じゃねえ」と思ったんじゃねーかな。

あ、因みに富永司令官は、佐々木氏の初陣の際、軍刀を振るい、「諸君の後にはワシが特攻する!」と豪語したが、戦局の悪化に伴い、フィリピンから台湾に、「馴染みの芸者を連れて、突然の敵前逃亡」な。

挙句に、「佐々木がもし生きてたら殺せ」と、残存部隊に命令出したくれーさ。

理由は、「二度も天皇に戦死報告して、軍神扱いした」から。

・・・ま、靖国神社や知覧とかの特攻隊員の遺書に涙する人、これが「報道管制下の検閲で書かれたった内容」って、気付ける人、どんだけ居るんだろ。

最初の特攻以後に大量動員されたのは、予備学と予科練の学生だけだそーな。最期迄、自分達軍人官僚の身内の、海軍兵学校と陸軍士官学校は、「誰も動員されなかった」ので。

・・・この構図、「今の、自殺や鬱病が蔓延する程の、派遣就労が野放しにされてる社会に類似してねえか」な。

命令する側は、「投資が失敗に終われば、責任を負わずに、必ず逃げる」んだ。

ま、連中の本音は「所詮、カネの話し」だと思う。先の大戦だって、所謂「政官財の過剰な癒着から生じた」のだから。

国内棄民は、今も続いてるけどよ、ま、何とか少ないリソース融通し有って生きてみませんか?

・・・ご一読をどなたにもお奨めするからさ。
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