No.0088
特別編 『Last Struggle』
Review :
-表-(第1部)07/05, 07/12, 07/19, 07/26 Diary
-裏-(第2部)08/23, 08/30, 09/06, 09/13 Diary
(Vol.9 Untitled)
そいつを絶対に目覚めさせてはいけない。
だからと言って、殺してはいけない。
これまで感じていた常識をそいつの考えで覆させてはいけない。
そいつがこの場から逃げても、必ず別の場所で始末する。
足掻いても無駄だということを、
その身体に染み込ませてやるのだ。
◇
地平線はもう見えない。
黒い空間に呑まれた私は必死で何かに抵抗するも、その深い空間から出ることは出来ない。
一度は目を背け、黒い空間を見ることも出来ずにいた私だったが、
その空間自体が、過去に感じていたトラウマに対する恐怖心が具現化したものであると……。
後悔ばかりはもうしていられない。
別に大きな取り返しのつかない犯罪をしたわけでも無いのに、
一体、何をそんなに怖がる事があるんだ。
こんなのはただの錯覚に過ぎない。
◇
私「ね、ねぇ……本当にこの状況から脱する事が出来るの?」
大人の私「何だてめぇ(俺だけど)、もう怖気づいてんのか? さっきも言っただろ、変に気にする事も無いし、怖がるなんて微塵も感じない、いや!! 感じてはダメなんだよ」
学校の裏門辺りまで辿り着くと、見慣れない校舎があった。
そこはどうやら無人らしく、中の設備にはご丁寧にそこそこ広い風呂場があった。
汗を流す為、着ていた服を無料の大型洗濯機に放り込み、早速風呂場へ。
大人の私「あれ? お前は入らないのか?」
私「……いっぱい服着てるからいい。……くしゅん!!」
大人の私「くしゃみ出てんじゃねぇか、そういやここら辺は地元の真冬並みに寒いな。
ほら、風邪引く前に全部脱げ」
私は大人の私に促されて制服を脱ぎ出した。
※7月のイラスト日記参照
ミニシルクハット(水色の☆、青のチェック柄、白を基調、ふわふわのファー)
頬のタトゥーシール(紅色の翼)
アクセサリー(今回は紅)
白のジャケット(フレアスリーブ、☆のアップリケ、裾部分が若干長い)
水色のYシャツ
アイボリーカラーの長袖シャツ(Yシャツの下)
アイボリーカラーのネクタイ
アイボリーカラーのセーター(超ロングスリーブ)
アイボリーチェックのズボン(イラストでは見えないが、長袴のように萌え裾。)
ふわふわファーの尻尾(イラストでは見えないが、ミニシルクハットのファーと同じ。)
白手袋
……よくこんなに厚着していたと思うが、
寒さ対策にはこれぐらいがちょうどいいかも。
M字のコインだけは肌身離さず持って入った。
風呂場の窓は意外に大きく、外からは結構丸見えになっている。
道行く学生達は、私達の事など見もしないし、
先程あれだけ周りの目を気にしていたのがアホらしくなってきた。
20分後、綺麗になった身体に選択乾燥脱臭済みの制服を時間をかけて着る。
大人の私は完全にオフの時の部屋着(Tシャツとジャージと上着)だったので、
大人の私「お前のその中性的な容姿を見ていると、もう一度中1に戻ってもいいかな。
今だから言えるけど」
私「……(少し照れて)あ、ありがと」
校舎を出ると、周りの学生達が一斉に大講堂へ向かって走って行くのが見えた。
学校全体は何やらこれまでとは違う空気を漂わせ、
私達もそこへ向かわなければいけないような気がした。
途中、あの掲示板の場所へ出たが、
掲示板には見慣れた名前が私の事を名指しで探しているとの記事があった。
大人の私「あんの野郎!! こんなところまで来やがるとは!!」
**組のヤクザ(サ*エさん髪の)が、私に不利になるような悪い噂を流している、
ということを大人の私から聞かされた時には、大人の私はブチ切れていて、
大人の私「俺は何となく嫌な予感はしていた。あいつ等、おじいちゃんの延命処置の機器をこっそりぶっ壊してやがった事、それに俺が慌てふためくのを利用して、多額の借金を背負わせて身内も敵に回した!! しかも、ここまで来てお前にも俺と同じ思いをさせるなんて!!」
大講堂の演説台に居るサ*エさん髪のヤクザ目掛け、大人の私は……。
ドン!!
響く銃声。
一瞬、私の視界が暗転した。
大人の私は最後の最後までヤクザと過去のトラウマに立ち向かっていった。
けど、私は最後の最後まで大人の私に頼り切って怯えていた。
何で大人の私を助けられなかったんだろ。
何であそこで身代わりになってあげられなかったんだろ。
何で!! 何で……。
M字のコインが私の手元から落ち――
◇
???「よぉ、兄ちゃん。お目覚めはどう?」
???「しっかり寝られたかな?」
私(!!!)
額には銃が。
死を覚悟した。もう絶対に助からない。
その時!! 背後から何かの響く音が聴こえて来た。
それはコインのような音だった。
瞬間、まるで時が止まったかのようにヤクザ共が放った銃弾がしっかりと見えた。
銃弾は避けた私の頬を掠ったが、実弾では無く一時的に身体を痺れさせるものだった。
顔面神経麻痺のように顔が引き攣ったが、
微かに聴こえたあのコインのような音、誰かが私を助けたのか?
私が目の前のヤクザ共に恐怖を感じなくなった時、
いつの間にか、ヤクザ共の姿は無く無人の電車内で私は立っていた。
最寄駅から地元の駅まで引き返すと、既に明け方になっていた。
家に戻ってそのまま寝てしまうと、次に目覚めた時には昼前になっていた。
生憎、その日は休日だった事もあり、昨夜までの出来事が嘘のように感じられた。
単純にあれが夢の中の出来事として片付けたく無かったが、
まだ私の中では完全に“今見ているこの夢”から完全に目覚めたとは思えない。
何か私に関する大切な事があったような……。
その後、携帯からおもちが電話をかけていたようだったので、連絡をしてみる。
あの多額の借金騒動の事など忘れてしまったかのように、
ごく普通の対応で用件は“湿布買ってきて”だった。いつも通り。
無くなっていた1000円札は最後まで見つからなかったけど、
微かに覚えているのは、
“可愛らしい中性的な男の子”と一緒に何かに立ち向かっていたような……。
その時に、その子の優しさがあの1000円札と関連付いていたのか。
覚えているのはそんなところぐらいか。
私は貴重な休日を敢えて短時間の買い物以外は、ゆっくりと過ごした。
一日を終え、いつも通り寝て夢を見る。
私は草原に立っていた。
地平線の向こうから何か黒い点が見えたような気もするが、それ以上は特に何も無い夢だった。
次に目覚めた時には、“はっきりと”その夢の事を覚えていた。
特別編 『Last Struggle』○完結○
〜荒廃した私の心情〜
幾つもの夢の世界が織り成す展開、
誰もが他人に絶対に語りたくない過去の一つはあるかと思う。
私はそれがより強く、こうして社会人になって**年経った今だからこそ、
普段の生活に行き詰まりかけた時に、こういった夢をよく見る。
何かから逃れたいのか、
何かに縋りたいのか、
心のモヤモヤを抱えたままでは、決して楽な方へはいかない。
現在でなくても、実際に12〜13歳の時の私ですら、
あの妙な学校の制服姿の私に魅力を感じ、ああいう学生に憧れている。
後悔よりもポジティブに生かす反省が足りなかった結果が、
この夢を生んだ切っ掛けに過ぎない。
私が周りに流されずに、過去の失敗を引き摺る事無く、
もっと前向きに、たった一度切りの人生なのだから、
“良い意味で革命を起こす”気持ちでいかないと、
きっとこの先も大きな壁にぶち当たった時に、今まで以上の苦痛が待っているかもしれない。
最後まで足掻いたからこそ、私は過去のトラウマをある程度は払拭出来た。
この夢は元々、小編のようにたまに見る程度の夢だったが、
今回の特別編を公開するに当たり、構成を固めて子供の私を登場させた。
またいつかあの12〜13歳の私を出してもいいかな。
to be continued……
(通常版再開は未定。決定次第、Topにて告知。)
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