mixiユーザー(id:1045932)

2017年09月20日10:43

343 view

ロケットマン






「ロケットマン」


『刺青の男』
(いれずみのおとこ、英: The Illustrated Man)
1951年に刊行されたレイ・ブラッドベリの短編集。





ぼくは母さんに、今度こそ父さんを引き止めてくれと頼まれた。父さんはロケット・マンだった。父さんは帰ってきて2日目にはもう空を眺めるようになる。3日目の夜にはいつまでもポーチに座っている。そして4日目になると出発してしまうのだ。また3か月は帰ってこない。ぼくは最初の晩に父さんを展示会にさそった。母さんはにっこりした。3次元の展示品の前で、ぼくはうっかり宇宙旅行のことを父さんに聞いてしまった。父さんは「一番すばらしいことだ」と答えたあと、気がついて「大したことはない」と言い直した。家に帰ると、ぼくは父さんに制服を着て見せてもらった。母さんは恨めしそうな顔をしていた。次の日カリフォルニアに旅行に行った。ぼくと父さんは浜辺に寝そべって話をした。父さんは、「大きくなったら、ロケット・マンにだけはならないでくれ」と言った。宇宙に行くと、地球に帰りたくなるが、帰ってくると、また行きたくなるのだという。ぼくは、前からロケット・マンになりたかった、と言った。晩御飯は豪勢だった。母さんは、次の感謝祭ごろにはもういないだろうから、と言った。父さんは、もう行かない、と言おうとしたが、言えなかった。次の日の朝、今度こそ最後にすると言って、父さんは出かけてしまった。母さんは、父さんはもう亡くなったと思うようにしている、と言った。次の日、電報が届いた。母さんは泣かなかった。父さんの宇宙船は、太陽に落ちたのだった。ぼくたちは永いこと、太陽の見えない雨の日だけ散歩するのが習慣になった。










0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年09月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

最近の日記

もっと見る