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2017年06月16日17:14

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カッコウと、お茶摘み休み

今朝、カッコウの鳴き声で目が覚めました。
何年、何十年ぶりだろう、カッコウの声を聞いたのは。
あれは中学生の時でした。学校のお茶摘み休みの時、飛びながら鳴いているカッコウを見たのです。
カッコウよりもお茶摘み休みが気になりますか。そうでしょうね。
私の生まれ育ったのは川越と所沢に接した狭山茶の本場の村。お茶農家の繁忙期に学校に求人が来て、生徒はそれぞれ農家を選んで働きに行くのです。期間は一週間で、その間学校はお休み。宿題もありません。私が3年生の時に高校進学率が丁度50%でしたが、そんなことお構いなしです。
お茶は素手で摘みます。親指と人差し指でしごいて葉を摘むのです。だから数日後には人差し指が赤く腫れ、血が滲み、絆創膏の厄介になります。上手な子は茎は残して葉だけを摘み取りますが、下手な人は茎も入るし葉も残すし、摘み取った後の茶の木は腕前が一目瞭然です。
笊いっぱいになると麻袋に詰め、夕方計量して、それに応じてお小遣いを頂けるのです。一貫目何円か忘れましたが少額です。それでも働いた対価を他人から受け取る初めての経験です。
計量前の袋に石ころを混ぜるワルがいました。しかし大概は農家の人が秤に載せる前にバレてしまいます。少々なら大目に見てくれる農家もいるのですが、そうはいきません。どうしてわかるのと聞くと、顔見りゃわかると言われ、大人はすごいと尊敬するのでした。
それはすぐに学校中の噂になります。あいつならやりそうだと同級生に笑われ、下級生からも後ろ指をさされるのです。
さて、午前と午後の二回、おやつが出ます。これが楽しみなのです。農家のお茶は、なんというか格別の味、大人の味がします。野外だからなおさらなのかもしれません。
同級生のAは、「サツマ団子が出る農家ならどこでも行く」と言って笑われていました。サツマ団子とは、サツマイモを乾燥させて粉にひいた蒸し団子のことで、農家の子は毎日これを食わされ、ほとんどの子が嫌いな食べ物の代表だったのです。私は非農家なので、Aの気持ちがよくわかる組。おやつの時間が近づくと、サツマ団子を期待したものでした。
女の子は、いや男の子も気になる異性と同じ農家に行きたくて、色々策を練っていたようです、私は知らないけど。
それがまた噂になったり、後に先生から異性との交友はまだ早い、そういうのを不良と言うのだと職員室に呼ばれてお説教を食らう者もいるのです。
テレビもない時代だし、学校で流行歌を歌うことさえ禁止されていた時代ですから。
さてカッコウですが、鳴き声は春になると沢山聞こえるのですが、姿はほとんど見せません。鳩よりも大型の鳥で、その頃は空気銃を子どもが撃てる時代だったし、鳥たちは人間不信の時代。山鳩やコジュケイなども姿を見せることはほとんどありませんでした。
そのカッコウが、飛びながらカッコーカッコーと鳴いているのを見たのは、後にも先にもその時だけでした。
そんなことを思い出させてくれた朝でした。
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