mixiユーザー(id:22077871)

2017年03月28日19:32

387 view

フランス人から見たら日本女性は不思議だ なぜそこまで結婚にこだわるの?

フランス人から見たら日本女性は不思議だ
なぜそこまで結婚にこだわるの?

レティシヤ・ブセイユ
2017年の正月、40代の日本人女性の友達からの年賀状が届いた。彼女とは長い付き合いで、毎年フランスへ年賀状を送ってくれる。新年のあいさつの横には、何年も変わらない、悲願のメッセージが書き添えられていた。「今年こそ、結婚できますように!」。そのメッセージはますます悲しく聞こえてきた。

私は2009年まで日本の高校のフランス語教師として、日本に住んでいた経験があるが、住んでいた頃、日本では「結婚」というテーマがどれくらい重大なことか、十分に理解していた。当時、私は20代だったから、周りの日本女性の友達とお茶することがよくあったが、「結婚」が話題になることが多かったからだ。

「彼氏いるの?」「どんな人がタイプ?」「結婚は何歳までにしたい?」というのがお決まりの質問だ。私もよくされたが「これが日本文化なんだろうな」と割り切っていたので、気にせずいつも素直に答えていた。

「何歳までに結婚したい?」なんてナンセンス

フランスでは、20代の女性がコーヒーを飲みながら交す恋愛話メニューには、彼氏の有無やおのろけ話、けんかをしたといった話はあるとしても、「好きな男性のタイプ」などという、出会い系サービスの面接で聞かれるようなストレートな質問はあんまり出ない。そもそも、フランスの女子会では恋愛話のお決まりメニューが、たぶん、ない(余談だが、外国人の私から見ると、日本人の会話には決まったパターンがよくある気がする。日本人が外国人に必ず聞く「おはし使える?」「寿司好き?」といった質問のように)。そのため日本のように「結婚は何歳までにしたい?」という質問をされる確率は非常に低いのである。

もちろん「○歳までに結婚したい」とひそかに思う若いフランス人女子はいないこともない。昨年の夏に結婚したばかりのいとこの奥さんが「30歳を超える直前で結婚できてホッとした!」と満足気に話していた。

しかし、フランスの社会では、「何歳までに結婚しないと恥ずかしい」といった暗黙のルールは存在しない。何歳になっても結婚をせずに同棲を続けるカップルだって多くいる。フランスでは、結婚をしなくても、ただ単にカップルでいるというステータスが法律で認められており「Concubinage(コンクビナージュ)」と呼ばれている。これは日本でいう「内縁」や「同棲」と同じような意味だ。
さらに、フランス人カップルには結婚以外にもうひとつのオプションがある。コンクビナージュよりは正式な関係で、結婚と比べると手続きの簡単な選択肢。それは1999年に認められるようになった「PACS(パックス)」だ。これは、日本語にすると民事連帯契約となるが、簡単に言うと、いざ男女が別れる際に、正式な離婚よりはよっぽど簡単に終わらせることができる「内縁以上、結婚未満」のカジュアルな契約だ。

しかし、こんな恵まれた選択肢を前に、困惑するフランス人も少なくない。かく言う私もそのひとりだが、税金、児童手当、相続などを計算高く考えた場合、どの道を選べば得するのか、夫婦の愛も決断の要素に入れるべきなのか。考え始めると、もう、ややこしくて永遠に後回しにしたくなる。その結果、7年間のカップル生活を経て、ついに1児のママになったのだが、今でも私はまだ結婚もパックスもしていない。そう、子どもができても、私はいちばんゆるい男女関係のコンクビナージュに属している。これが日本だったら、世間体的には、かなりヤバイ状況だろうと思う。

一方、私のフランス人の同世代の友達は、結婚している人とコンクビナージュとパックスの人の割合はほぼ同じくらいだ。子どもがいる人の多くはせめてパックスにする。これは都市と田舎でも違うし、社会階級によっても違う。

フランス人が「結婚」を考えるとき

現在、フランスでは結婚を考える人の3割はすでに子どもがいるらしい。ただそれは日本でいう「できちゃった結婚」とは違う。子どもが少し大きくなったタイミングで、未婚の親たちが冷静に考え直し、「自分に事故が起こっても、子どもへの遺産や権利がちゃんと守られている状況を作ってあげたい」とか、「夫婦としてはここまでやって来られたから、結婚して家族に形をつけたい」などの発想から生まれた結婚の決意である。

後者をさらに分析すると、1960年代の自由な時代、フランス人の若者は自発的に結婚しない道を選んだ。その結果、1970年代から2000年代にかけてその副作用のように同時に増えてきたのが離婚率だった。2000年以降は少し安定してきているようだが、自分の親の別れや、新たな親を迎える「ステップファミリー」を経験してきた多くの30、40代のフランス人の心には、離婚に対する不安が大きいというのが事実だ。それもあって、「離婚ブーム」の時代を経験した親たちは、自分の子どもに「結婚しなさい」とは少し言いにくいのかもしれない。

私の場合、親に妊娠のことを告げたときに「結婚はしないの?」と軽く驚かれたが、強く批判はされなかった。もっとも保守的な家庭では、結婚へのプレッシャーはフランスでも強いが、それは少数派だろう。
ここまで聞くと「フランス人女性は結婚のプレッシャーを知らない自由人」と日本人女性はうらやましく思うかもしれないが、フランスもそう簡単にはいかない。フランスには日本とは違うプレッシャーが存在する。

私の親の世代が子どもに対して最も望んでいることがある。それは、結婚という形ではなく、「よい相手を見つけること」「仕事のプロフェッショナルライフを充実させること」「家庭を作ること」そして「よい物件を買うこと」だ。これは重要なポイントだ。

結婚のプレッシャーが存在しなくても、この「完璧な」大人になるための4つの要素「パートナー」「仕事」「子ども」「物件」をうまく組み合わせるプレッシャーがあらゆる方面からかけられる。

フランスで厄介者とみられる女性は?

「孫がいたらいいのにね!」「まだ仕事見つからないの?」「独身生活は寂しいだろうね」「物件探し進んでるの?」。実は、これらの質問は、私が実際に周りから言われたものだ。こんな質問が親や親戚からはバンバン飛んで来るし、同世代同士が家庭事情を比較しうらやんだり、ねたんだりすることは世界共通だ。

たとえば、25歳を過ぎると、親戚で集まるたびに、おじいちゃんたちに「孫はまだか?」としつこく言われた。相手がいればまだましで、もし交際相手がいない場合、フランスでは本気で周りから心配される(これについては別の機会で紹介したい)。また、仕事のことは、特に父親から今でもしょっちゅう言われる。私はフリーランスで働いているのだが、子どもが生まれたばかりのときでも「仕事はどうするの?」「そろそろ働き出さないの?」と言われて、それどころじゃなかったから本当に頭にきた。

あまり知られていないが、日本と違ってフランスでは、「結婚と仕事のどちらかを選ばないといけない」ということは存在しない。逆にリッチな旦那様を見つけたからと言って、玉の輿に乗って仕事をしなくても済むというフランス人女性がいたら、社会的にかなり「厄介者」と見なされてしまう。子どもがいても、子育てに集中するために働かない女性も、あまりよい目で見られていない。「普通」の女性は夫婦関係や仕事、子育てはもちろん、家事も格好良くこなすことが当たり前になっている。しかし、上辺はスーパーウーマンに見えても、ほかに選択肢がなくて無理をしているフランス女性も多い気がする。

私の場合は、自分の母親がまさにそのタイプ。3人の子どもを育て、料理と家事をこなし(今は男女ほぼ平等に分担するようになったが、昔はフランスでは、家事は女性がするものと思われていた)、そのうえにフルタイムの仕事を持ち、それらを全部同時に頑張っていた。母は歯を食いしばって頑張る、典型的なフランスのスーパーウーマンだと今でも感じる。

フランス人にとって「落ち着く」とは

話を結婚に戻すが、フランスでは「結婚しよう」とまで言わなくても、日本で言う結婚と同じ意味で、遊びの時期を経て「まじめな」カップル関係を求めるという人生の段階が存在する。それをフランスでは「落ち着く」とよく言う。若い彼女をコロコロ変え続ける30代後半の男友達がいるけど、彼には「そろそろ落ち着けば?」とか「いい相手を見つけて、落ち着いて家庭を作らないの?」と周りからアドバイスが飛んで来る。結局、「落ち着く」ことは日本の「結婚する」と同じ意味の決意なのではないかと思う。

フランスも日本も結婚にまつわる悩みは尽きないが、日本と比べて、フランスは結婚という制度を一度否定し、そしてカオスを経験し、再構築した歴史を持つだけあって、結婚に対してリアリストのような気がする。

そこでぜひ最後に、日本で結婚を悩んでいるみなさんに、次のことを質問してみたい。結婚をすることで、何をいちばん望んでいますか? 社会的に認められたいのですか? 親の期待に応えたいのですか? 独身生活は寂しいから、長く続く恋愛関係を求めているのですか? 家庭を作りたいのですか? この答えが出せたら、何か見えてくるのではないだろうか。

2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する