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2017年02月19日01:52

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胞衣納めと日本人の歴史

胞衣(えな)とは赤ん坊の「へその緒」の事である、このへその緒を埋葬してあげる儀式を「胞衣納め」と言う。

古くは縄文時代からあったと考古学によって証明されている。

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発掘調査で出土した胞衣壺

その後も『日本書紀』や『医心方」(宮中の最古の医学書)により存在が確認されており日本人と切っても切り離せない古い歴史をもっているのだ。平安から安土桃山まで武家や貴族で行われたいたこの儀式は江戸時代になると庶民にも広がり庶民の信仰の一部になっていった。


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(神社にある胞衣塚とかが歴史の名残)


しかし、人口の増加にともなう過密化により江戸末期から、コレラが流行るようになる。
それに伴い明治維新後、医療制度の改革に着手する。これにより伝統的医療から西洋医学的な産婆や助産婦が主になっていく。

明治20年に「胞衣及産穢物取締規則」が施行。
これにより、胞衣の廃棄方法が定められ許可なく投棄ができなくなっていった。これにより従来してきた埋葬方法である敷地内や床下、川、山から一定区画の墓地や火葬場において焼却・埋却と改定されたのだ。

これ以降、子供の一部として大切に埋葬されていた胞衣は病原菌の感染源や有害物という認識になり胞衣納めの習俗は急速に薄れていった。


処理業者として1885年「日本胞衣株式会社」が登場し胞衣の処理会社が徐々に増えていく一方で、伝統的習俗を喪失した人々のために「胞衣神社」も創建されていた。

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胞衣神社『東京近郊名所図会』より

さらに第二次世界大戦後の1948年(昭和23年)に「胞衣及び産穢物取扱業取締条例」が施行

病院は医療廃棄物と一緒に胞衣や産汚(わい)物を捨ててはいけない。
胞衣や産汚物はわざわざ他の医療廃棄物と分けて専門の業者に依頼し廃棄しなくてはいけないのだ。
つまり、自宅で出産しても専門の業者に依頼して、そこで処理してもらわないと、罪になる。

胞衣と人々の関係が断絶してしまったのだ。
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