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2017年02月11日22:58

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今朝のコラム「中日春秋」の転載です。   「創」とは、不思議な字である。「つくる、はじめる」との意味を持ちつつ、「きず」という意味もある。創造の創も絆創膏(ばんそうこう)の創も同じ創なのだ

 「創」とは、不思議な字である。「つくる、はじめる」との意味を持ちつつ、「きず」という意味もある。創造の創も絆創膏(ばんそうこう)の創も同じ創なのだ

▼詩人の吉野弘さんは、こう問い掛けた。<創造らしい創造をする精神は、そのいとなみに先立って、何等(なんら)かのきずを負っているのではないか。きずを自らの手で癒そうとすることが創造につながるのではないか>

▼その好例が、植物の挿し木。茎や枝を切って、地中にさし込めば、傷口から初々しい根が生えてくる。このことこそ、きずが創造につながることを示す姿ではないか、と詩人は書いた(『詩のすすめ』)

▼だがそもそも、なぜ挿し木は可能なのだろうか。葉や茎を切ると、傷口に根など何の細胞にもなりうる「幹細胞」が生じる。だから、挿し木で植物は増やせるのだが、どんな遺伝子が働いて、幹細胞ができるのか

▼基礎生物学研究所の長谷部光泰教授らの研究で、意外な事実が浮かんだ。ある種のコケの幹細胞化を起こす遺伝子が、哺乳類の幹細胞化で働く遺伝子と同じ仲間であると分かったのだ。動物と植物が共通の幹細胞化遺伝子を持っていることを突き止めたのは、世界に先駆けての快挙だという

▼きずを自らの手で癒し、そこから根を伸ばして、新たな生をつくりだす。私たちの体の中にも、そういう「創」の遺伝子がある。何とも創造的な発見ではないか。

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