mixiユーザー(id:1904053)

2016年12月06日17:20

363 view

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱付き」

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲 交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」

生駒圭子(ソプラノ)
古市尚子(アルト)
青地英幸(テノール)
山口俊彦(バス)
大田区民第九合唱団
クラウン少女合唱団
新西六郷少年少女合唱団
大田区オペラ合唱団
混声合唱団アンネンフリューゲル
フロイデフィルハーモニー合唱団
宇宿允人指揮
フロイデフィルハーモニー


かんち自身の解説

ベートーヴェンの第九に関しては、今更ながら説明をする必要ないと思います。ではなぜ、今回取り上げたのか?この鑑賞会では何か特別なことがない限りいくら私が第九が好きだからといって取り上げることはありません。

今回の鑑賞会の一つのテーマである「追悼」ですが、震災の前年に、一人の指揮者がひっそりと世を去りました。その名は、宇宿允人。

この演奏は、亡くなる10年前に演奏された、大田区で今でも行われている「平和祈念コンサート」で演奏されたものです。その時のメインが、第九だったのです。

これについては、ブログにエントリも上げています。追悼であげたエントリから、裏話をご紹介しましょう。というのもじつは、私は「大田区民第九合唱団」員として、この演奏でテノールパートを歌っているからなのです。

その点も今回、取り上げた理由でもあります。さて、皆様はどう聴かれますでしょうか?宇宿さんの魂の言葉を受け取ってみてください。



今回は第4楽章だけを聴いています。この時は宇宿氏が直前まで風邪をひいていまして、さて本番に間に合うのかとという状況で、さらに8月15日にやるということですから、どうしても練習中に戦後体制に触れるんですね、宇宿さん。実は、それが私にとっては自分の家族を侮辱されたと感じ、私と宇宿さんが一触即発になったということがありました。

仲介役の方が間に入り、私の方が折れることで(というより、相手は指揮者ですから状況的に折れざるを得ませんでした)、ことなきを得ましたが、私の方はもう頭に血が上っているのです、珍しく。練習どころではありませんでした。

そこを、どうにかやったのは、責任感です。彼も決して私を侮辱するつもりはなかったんでしょうが、しかし私の父は大田区のメーカーの技術者だったので、それもあって私は頭に来たのですね。どうやらそれは伝わったらしく、本番の後のうちあげでは、優しく笑っておられました。

いまどき私に向かってくるとは、なんと向う見ずな血の気が多い青年だろう、と・・・・・・

まあ、今考えれば恥ずかしい面もありますが、そういった魂と魂のぶつかり合いというものが、この演奏の根底にあることは間違いないでしょう。私が怒り狂っていたのを、他の団員も聞いていましたから・・・・・

私は怒っていましたが、しかし彼の情熱を否定していたわけではありません。そういった社会への「想い」というものは私も同じでしたし、また私の父も同じでした。のちにこのことを父に話しましたら、俺は彼の言うことは結構わかると。じゃあなんで私は怒らなければならなかったかと言うのはありました。なんと心の広いオヤジでありますこと・・・・・。たぶん、その場にいたら私以上に怒っていたはずですが^^;

まあ、ある意味自分の父親にも似ている人でした。音楽に誠実なんですね。それは事実です。この演奏でも、それが色濃く反映されています。上記のエントリ(註:それ以前にオケの定期で演奏された第九を指します)よりも、少なくとも合唱団は秀逸です。それは今でも私の自慢です。そのテノールパートで歌えたことは、今でも誇りに思っています。

ともに戦後日本を立場は違えども憂いていた二人が、一方は絶対的な立場としての指揮者、一方は合唱団員として出会ったのです。その経験は、今でも素晴らしいものとなっています。

私はそれ以後、一度東京芸術劇場の演奏に足を運んだことがあります。年末の第九です。それもとても素晴らしく、魂が震えるものでしたが、そこでもやはり同じことをやらかしていたようです。やっぱりねえ、と昔とあるMLで話に花が咲いたことがありました。その相手がその演奏会に出ていたものですから。

宇宿さんはその発言から誤解を招きやすい人でもあったと思います。先生、そういわなければそこまで言いませんのに〜と思いましても、相手は絶対的な存在ですからねえ。それが大変ご自身を孤独に追いやっていたと思います。「孤高の指揮者」とはよく言ったものだと思いますが、まあ、自分でまいた種でもあります。ただ立派なのは、それをつらぬいたということです。だからこそ、喧嘩しても私は宇宿氏を評価するのです。

打ち上げ後の笑顔が、すべてを語っていましたから、今では私はもう怒りもわだかまりもありません。もし先生がもう少しだけ生きておられたら、福島第一原発をどうおっしゃるのか、訊いてみたかったです。

先生の魂が無事天国へと昇っておられることを願いまして・・・・・

合掌。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する