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2016年10月14日11:34

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ベルリオーズ、ショパン、そして、ワーグナーが愛したオペラとは?

まあ、こんな少しマニアックな質問があったら、簡単に答えられるでしょうか?

ベルリオーズとショパンとワーグナー、この3人の音楽の共通点を見つけるというのは、かなり難しいですね。幻想交響曲など時代の最先端を走っていたベルリオーズと、ほとんどサロン向けのピアノ音楽しか作曲していなかったショパン、さらに、長大な楽劇を作り上げたワーグナー、どこにも共通したものがないように見えます。せいぜい、当時の文化の中心のパリで、ベルリオーズやショパンが活躍し、ワーグナーもパリを訪問したくらいでしょう

この個性的な3人の作曲家が愛してやまなかったオペラ作曲家がいます。それは、シチリア島のカターニア生まれで、ナポリ、ミラノやパリで活躍したヴィッチェンツォ・ベッリーニ(1801-35)です。わずか33才で亡くなってしまった天才作曲家は、ベルカントオペラの傑作で知られています。
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短い人生のなかで、ベッリーニは10本のオペラを作曲しています。代表作としては、

・「ビアンカとフェルナンド」1826年ナポリ初演
・「海賊」 1827年ミラノ初演
・「カプレーテイとモンテッキ」1830年ヴェネチア初演
・「夢遊病の女」1831年ミラノ初演
・「ノルマ」 1831年ミラノ初演
・「テンダのベアトリーチェ」1833年ナポリ初演
・「清教徒」 1835年パリ初演

ミラノスカラ座に入ると、このイタリアオペラの殿堂には、4人の大作曲家の銅像がホワイエに置かれてあります。それは、ロッシーニ、ベッリーニ、ドニゼッティ、そして、ヴェルディです。

あのワーグナーがベッリーニのオペラが大好きだったというのが、ちょっと意外な感じがします。それほど、二人のオペラには大きな違いがあります。

今年はワーグナーの上演を3つ聴きました。新国立で「ローエングリン」、それから、二期会の「トリスタンとイゾルデ」でした。新国立のリングチクルスだ、「ワルキューレ」と続きました。

そして、来月はベッリーニの「ノルマ」をオーチャードで聴くことになっています。エディッタ・グルベローヴァがノルマを歌うプラハ国立歌劇場の来日公演です。さらに、グルベローヴァのリサイタルが水戸であるので、そちらにもまいります。ベッリーニの「清教徒」から狂乱の場がプログラムにはいっています。

まあ、今年はワーグナーから始まり、そのワーグナーが愛したベッリーニのベルカントオペラで終わる感じがします。

このところ、ベッリーニのオペラを毎日聴いています。昨日はマリア・カラスの「ノルマ」でした。カラスのもっとも得意だったオペラだけにスタジオ録音やライブなど、いくつものCD がありますが、聴いていたのは、1954年のミラノでの録音です。

カラスの声は独特で、歌い出すと強烈な存在感があります。「清らかな女神」は繰り返し聴きました。強い性格という面で、ノルマはカラスにピッタリ重なるのでしょう。

これだけの名アリアは他のソプラノでも聞きたくなるのが自然です。以前何種類かを聞き比べしたのを思い出しました。カラス以外で印象に残っているのは、モンセラット・カバリエでした。キメの細かい美声で、美しいレガート、長いブレス、それがカバリエの魅力でした。また久々に聴いてみたくなりました。

今朝はベッリーニの最後のオペラ「清教徒」を聴いていました。こちらは1953年のミラノスカラ座での録音です。テノールが美しいので、確認すると、ジョゼッペ・ディ・ステファノでした。

そういえば、デュッセルドルフにいたとき、熱烈なカラスファンのドイツ人とお話をする機会がありました。海賊版も含め実に多くのカラスの録音を聴いていて、とても詳しくて、カラスファンは世界中にいると実感しました。その方は、カラスの声は比較的早く衰えてしまったことを嘆くとともに、1953年が絶頂だったと力説されていました。

カラスが歌うベッリーニのオペラを聴きながら、あらためて、ベッリーニのオペラ魅力について考えてみました。やはり、あのベッリーニの叙情的な歌が一番の魅力でしょう。そして、ドラマティクで超絶的なアリアとのコントラストにあると思います。

ワーグナーが惚れ込んだ理由は、若いときはロマンティックなオペラを志向していたからでしょうが、もしかしたら、自分にないものをベッリーニのオペラに感じていたのかも知れません。
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