ストリングスのそれぞれのボウがまるでバラバラの方向を向いていながら、静かに勤勉に音の堆積物を積み重ねていくように聞こえるのは
「環礁」というタイトルに捕らわれているからかしら
耳にする現象は自然で自由で、時折り気まぐれに花を咲かすが
あまりに捉え処がなくて(美しくて)
切掛けとなるOナッセンの左手が、花咲爺の仕業のよう
#62
それでも季節は聞こえないリズムに則って進行するのだろう
それまでばらばらと気ままに動いていたボウがザンッと
春一番が吹くように揃う
──【音楽】没後20年武満徹オーケストラコンサート[演奏]東京フィル/オペラシティ
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