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2016年10月02日12:39

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聲の形(こえのかたち)を観た!

 いつもの映画感想です。ネタバレ避けるけど、気になる人毎度の事ながらスルーしてさっさと映画館行きなさいよー!


●聲の形(こえのかたち)


 聴覚障害者の少女と、少女をいじめていた少年が高校生になって再会して……というお話。TVCMだと時間も時間だし、aikoの主題歌もあって切ない系恋愛映画っぽい売り出し方で、実際に恋愛要素やら胸キュンもあるんだけど、本題としては「障害者とそれを取り巻く環境」「元いじめられっ子といじめっ子の関係」とか、思ったよりヘビーな展開でした。二人はカップルになれるの!? ってよりは、「頼むからこれ以上事件が起きませんように……」って具合で道中のハラハラ感がハンパなかったです。

 オープニングにあたる冒頭の小学校時代のシーン、主人公はクラスに一人はいる元気いっぱいのガキ大将で、多少乱暴なところはあるがクラスの人気者として中心にいる。それを取り巻く友人達や、好意的に接してくれる女子生徒、楽しくて仕方がない学校生活が、障害者の転校生によって少しずつ変わっていく……というのがことのあらまし。

 学校時代に同級生、あるいは同学年で障害者のいた人ならわかるが、子どもが障害者を正しく理解する事は難しい。自分達ができて当たり前の事ができない、常識が通じない、それが「よくわからないけどヘンなやつ」に映ってしまい、どうしても下に見てしまう。もちろん中には「ちゃんと理解してあげよう」と同調を試みる人もいるが、子どもはどうしても短絡的な考えに流れてしまう。つまりヘンなやつは滑稽に映り、滑稽なものは表立って侮辱したがるのが子どもというものだ。

 だから、ガキ大将の主人公も深く考えず、次第に少女に辛く当たるようになり、意識しないうちにいじめっ子へとなってしまう(この「乱暴が過ぎる子」と「いじめっ子」の境目が本当に絶妙)。やがてそれがクラスで問題となり、担任やクラスメイト一同の前で主人公はつるし上げられる。こうしてクラスの人気者から転落し、高校生まで孤立した学校生活を送るようになる(中学生の大半が小学校からの付き合いもあり、良くも悪くも小学校までの人間関係が反映されるのもリアル)。

 と、開幕からズドンと落とし、見てるこっちもズドンとやられるのだが、あとはじょじょに上がったり下がったりするので心を落ち着けてみてほしい。問題児への罪と罰からの更生、健常者と障害者のラブストーリー(ヒロインがやや聖母過ぎるのは気になったけど)、2つのテーマが織りなすドラマは厳しくも優しさに溢れていて、観終えたあとは人との接し方とか色々考えさせられると思う。

 ちなみにヒロイン役は早見沙織さん(ユーフォの部長さんや甘々のJKの人)。役を演じるにあたって講習会やボランティアに参加されていたようだが、演技はリアルの一言。聴覚障害は文字通り音が聞こえにくく、自分の発する声も正確にとらえられないので、発音もあいまいでイントネーションや声量がどうしても独特のものになってしまうのだが、それがよく再現できていたと思う。

 というのも自分が小学校のとき、同級生で聴覚障害者がいて、話し方とか周りの接し方とか、映画を見ていて色々共感できるシーンが多かったからだ(さすがに大々的ないじめはなく、むしろ女子達が積極的に接してうまくやっていたが、どうしてもなじめなかった人もいたと思う)。自分が本作をより楽しめたのは、そんな実体験もあっての事だろう。

 とはいえ、いじめは学園生活の永遠の課題。精神未熟な子どもが数年間、同じメンツと同じ場所で生活を共にする中で、軋轢や衝突は起きてしまいがちなもの。そうなると加害者側・被害者側・傍観者側のどれかになってしまうわけで、そういう経験が微塵もなかったという幸せな人は多分そんなにいないと思うので誰かしらの心にグサリとくる映画なんだけど、良薬口に苦しというかビターあっての感動のラストなので、いろいろ長ったらしく書いたがみんな観よう。


●3本はどういう映画なんだっけ?


「君の名は。」「プラネタリアン」「聲の形」と、奇しくも面白いアニメ映画が3本も間隔開けず集まってしまったものだから、ツイッターなんかだと結構比較感想とか出てきているのだが、とりあえず3本コンプした身としては……。

◆「君の名は。」
3本の中では一番大衆向けのエンタメ作品。一般層も楽しめて恋愛〜SF要素までぎっしり詰まった傑作だけど、アナ雪よろしくそろそろブームが加熱しすぎて逆にアンチが出る作品。ブームに乗って観に行くのもアリだが、ほとぼりが冷めた時に落ち着いてみるのもアリだぞ!

総評…「面白い」映画


◆「プラネタリアン」
オタクの涙腺だけをピンポイントで破壊してくる重爆撃機。客層によっては「大泣きするオタクと、それを唖然と見つめるパンピー」みたいな面白い構図が見られるぞ(池袋で見たときはギャル系の女性客が眠そうに退席してた)。題材的にはオッサンホイホイなんだけど、多分声優目当て(小野大輔さん)で来てたっぽい若い女性客が泣いてるのを見た時はほっこりしました。個人的には「この歳でkeyに泣かされるなんて……くやしい」と軽くクリムゾン。3回見て3回泣いたから本物だよ。

総評…「泣ける」映画


◆「聲の形」
一般向けとオタク向けの中間的な作品。切ない系恋愛モノと思いきや、結構シビアな話なのでデートムービーのスイーツなノリでいくのは難しいぞ! 鬱要素あるけど癒しと再生の物語でもあるので、最後は「ああ、見て良かった」と思える作品。あと最初から最後まで手のひらクルクルランド。なんだかんだでみんないい人。マンガもそのうち読みます。

総評…「良い」映画




 プラネタリアンは上映館少ないわ(地元だとそろそろ終了圏内)時間もまばらだけど、残り二本はまだまだ絶賛上映中なので、なにかしら気になる人は観に行こう!
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