mixiユーザー(id:15951369)

2016年10月01日07:36

306 view

「知日」

 「知日」と言う本が中国で5年前に発刊され、今でも毎号10万部を売り上げているそうです。そのころから中国人の訪日数が増え続け、昨年には「爆買い」現象まで起きました。そのことの示す意味をこの動画は詳しく教えてくれています。

 https://www.youtube.com/watch?v=GPaACzM8lf8

 考えてみれば、しかし日本には「知中」と言う雑誌はないし、もし発刊されても毎月10万部は売れないだろうと思います。貧しかった中国人が、「元高」によってようやく日本に来れるようになり、「ナマの日本」に触れて彼らが驚き、周囲に聞かされた日本、学校で習った日本と自分の眼で見た日本の全く異なる現実に、彼らが畏敬の念を持った衝撃は、今後の日中関係にどのような影響を及ぼすことになるのでしょうか?

 まず、彼らは日本の1980年代の農協さんが旗をなびかせて「海外旅行」に引率したときと同じように、「日本鬼子」の国を警戒しながら、でも「日本製品を使い慣れていた中国人」は、オッカナビックリで第一歩を踏み出しました。経済的に豊かになったので、「爆買い」はできますが、心の内では「日本と言う国」が空恐ろしい危ない国と言うイメージから、精神的には落ち着かない気分は払しょくされませんでした。現実に日本の中に身を置いてみて。これまで染みついた「反日感情」と、目の前にある「憧れの日本に対する好日感情」の交錯する中で、とりあえず「安全安心の高級日本製品を買いまくる」。日本製品を買うのは「親日」だからではなく、「自分の生活を良くしたいだけの理由であった」と言います。

 中国人の中に根強くしみ込んだ「親日は売国奴」と言う観念に対して、「日本人の礼儀を学ぼう」と言う「知日」の記事は大きな波紋を広げ、「反日=愛国心」の人々から批判されながら、「中国人が大国人であるならば、礼儀知らずになるな!」と言う議論が起きて、「知日の主張」は認められたと言います。80年代までは「日中友好全盛」だったのに、1989年から「マルクス主義から民族主義」に置き換わり、マルクスの肖像が消えてから「反日に火が付いた」と言います。それ以降「日中関係の本」の出版は差し止められたり、「国交は政府主導」に置き代わって、好意的な日本の記事を書くことはご法度になったので、世代間で「対日イメージのギャップ」が生まれてしまったと言います。

 今でも、中国共産党の強い「教宣活動」が徹底されながら、しかし訪日経験者の増加や、リピート訪日者の増加によって確実に「本物の日本」を見据えることが出来た中国人が増えつつあります。上記の動画の終わりの方に出てくる作家のお話が、『中国の内側から発信できるギリギリの対日感情』を現しているように思います。それは武漢の大学生に講演する場面で「日本には政府を批判する自由がある。そのことが政治のゴタゴタを引き起こすことにもなるが、人民の幸福の追求には大事なことだ。だから日本の民主主義には成熟してもらいたい。立憲民主主義は後退することは後続のアジア全体が壊れることに繋がる」と言います。

 彼ら中国人にとってこの言説はギリギリの表現であり、今この5年間を通じて盛り上がる「知日効果」は最大にして最後のチャンスだとして認識され、いろんな若者が「爆買い」を卒業して、中国が見失ってしまった「日本の歴史、精神文化」に目を向け、そこから「中国はいかにあるべきか」を改めて自分たちで考える段階に来ています。こんな「中国の内部の事情」を踏まえて、我が国は何をすればよいのか?わかりますね!1回10万円で来れる日本ツアーを卒業して、30万円も出して籠の編み方から着物の柄に至るまで「日本文化」に驚嘆しながら学び、そこから明日の中国の建設に取り組みたい中国の若者を手助けすれば、いくら習近平が「反日」を掲げても、「親日の流れは変わらない」のです。なぜなら、その「親日」は誰に押し付けられたものでもなく、自らが自らに投資して掴んだものだからです。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年10月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     

最近の日記