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2016年08月20日09:11

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子供の喧嘩

前日記で書いた、庄川水電と飛州木材の対立なんですが、もうまるで子供の喧嘩です。

そんなところにダム作られたら、こちらは木材を運べなくなるじゃないかと飛州木材がいうので、庄川水電はダムの設計を変更して、ダム湖に流れ着いた木材をエレベータで陸上にあげて、鉄道で下流側に運び、川に戻すというプランを提示。

それで解決したかと思ったら、飛州木材側は「鉄道で木材を運ぶなんて無理だ」というのを世間に知らしめてやろうというので、普段の年の7倍もの木材を伐採して、どんどん川に流した。それでダム湖が木材でいっぱいになってしまう。

水電側は必死になってこれを運搬したものの、今度は飛州木材はダム湖まで送った木材が全て下流側に運ばれておらず、大量の行方不明の木材が出たとして損害賠償を提訴する。水電側の主張では、ダム湖に到着した木材は13万石(30万本)としたが、飛州木材側は28万石送り出したものの8万石が放置され、7万石が行方不明にされたと主張。

しかしそもそもそれまでは年間4万石程度しか川に流していなかったのである。

両者の対立で木材の運搬作業ができなくなってしまうが、陸上運搬ができないにもかかわらず飛州木材は木材を流し続け、ダム湖には20万石もの木材が滞留して、河川工作物を破壊する危険が出てくる。破壊されれば、下流域に恐ろしい被害が出る。

そこで庄川水電側は飛州木材の許可が無いまま独断で溜まっていた木材を陸上運搬しはじめる。ここに飛州木材側が「勝手なことするな」と言って武闘要員30名に率いられた400名の人夫が発電所に押しかける。発電所側も150人の工夫が対抗するも、機関車を奪われ、鉄道施設を破壊され、多数の工事スタッフが川に投げ込まれた。

警察も60名もの警官を出動させたものの、全く制御できず、乱闘は40分間続いた。
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00805311&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1

乱闘に呆れた富山県はとりあえず水電側に陸上運搬をいったん中止するよう命じるととともに、飛州側にもこれ以上木材を流さないよう命じた。その上で両者の代表を県庁に呼び出し、県知事直々に、危険回避のため10日間は無条件で木材を陸上運搬するとともに、今後の運搬方法についてきちんと両者で話し合うよう示達した。

この無条件運搬は結局20日間おこなわれ、ダム湖に滞留していた木材は全て下流に運ばれて、河川工作物破壊の危険は去った。

この事件の直後、飛州側の流木権を確認するための裁判の判決がおり、実質的に飛州側は敗訴した。

(800万円:今のお金に直して120億円くらい:を要求したものの20万円:同3億円程度:しか認められなかった)

そしておりしも富山地方で大干魃が起きたこともあり、ダムの必要性が認識されて、世論は次第に水電側に味方するようになり、一方で、飛州木材側は長年の闘争で経営が悪化していく。

この闘争の歴史についてはこちらも詳しい。
http://tonamino.jp/shiru/post_021.html

ちなみに、当時飛州木材はこの庄川だけでなく、他の川でも似たような闘争をしている。

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