「やあ行き倒れだよ。今えらいもんの仕事してるんだよ」
ここに2ミリ厚ステンレス材旅団だった残骸がある
こんな風に毎日、撃破している
こんな感じの丸い製品を切っている
ブランド名が彫られているので一部隠してある
これはとあるブランド店のハンガーなどに取り付けられるものらしい
こういうものがあって店と言うのは全体の雰囲気が出来ている
客に「特別な場所に来た」と思わせる雰囲気を演出する
これも「おもてなし」の形と言えるだろう
こういうものがあると言う事は裏で作っている人がいると言うわけである
で
このブランドのロゴの表記が半年くらい前から変更になった
実は変更になる前のものも私が切っていた
数か月ごとに数百枚は切ってたはず
だからロゴ変更後にちょくちょく来てはいたのだ
しかし、それではいつまでたっても終わらないので
「1か月で」今までのほぼ全部取り替えましょうとなったわけである!
ぐは!
最初、この作業伝票見た時は目が点になった
「何これ?」はまさにそのまま
この伝票を見て、無意識に心情を出力していたようだ
素晴らしいスケジュールだと思わんか?
カレンダーである
薄い赤で塗られている日は休業日
白い日が出勤日である
それぞれの分納日を見るとゆとりがあるように見えるべ?
それは罠だ
休業日を除くと平均4〜5日間しか製作出来る時間がないのだ!
だから頑張った!
1日平均、板を8枚から9枚は切らないと間に合わないからだ
1枚の板からは9枚の製品が取れる
1枚の板にブランドロゴが腐食で彫られてから私のもとにやってくる
この位置からスタートすれば一気に切れるよと言う開始位置と、水平を出すための目印も一緒に腐食で彫られている
その印に加工ノズルの位置を合わせ、水平を出してから切ると一気に9枚製作出来るようになっているわけだ
加工ノズルからはレーザーポインターの赤い光が出ているので、その光を彫られている開始位置に合わせ、実際に加工機に切らせる
他の仕事もあるのでこの仕事の開始は大体午後の3時半から4時になる
3つの小さい穴を綺麗に切るためには最初に下穴と言う小さな穴を加工機に開けさせる前工程もいるので1枚の板から製品を9枚切り出すのには平均で約11分かかる
何?1日あたりに切ってる枚数がところどころおかしい?
そりゃそーだ、ここんところ毎日残業してるんだし
こんだけの数の材料を駆逐した
でもまだある
これ以外にもまだある
で、この仕事をとってきた工場長がにこやかに言ったのだ
「4ミリと5ミリの材料がそろそろ来るから」
・・・・・・・←それを聞いた1秒目
・・・・・・・?←2秒目
!?←3秒目
!!!!!!!!!!←4秒目
はいあるんですよ
4ミリ厚の製品と5ミリ厚の製品も
適度な大きさの四角にカットされた材料が各100枚ほどこれからやってくるそうだ
それまでの私は4ミリ厚の製品と5ミリ厚の製品は7月から始まるだろうと思っていた
認識がまだまだ甘かった
近日中に来ると言う事はそれから3〜4日後には腐食で彫られた物がいっせいにやってきて今やっている2ミリ厚ステンレス製品の製作スケジュールにいっしょに入ってくるということだ
多分、4ミリ厚の製品と5ミリ厚の製品の最終納期は7月の半ばになると予測
私の体はまだまだ工場長と言うモノを理解していなかった・・・!
工場長がまた言い出した
「まだ材料が来ないなー」
普通の人ならまだ作らなくていいと考えるだろう
それも罠だ
製作開始の時期がずれるだけだ
納期は延びない
「よし、投げた」
ってわけにはいかないんだよねー
無条件降伏しようがなんだろうがこの旅団どもは確実に勢力を増やして冷酷に襲ってくる
しかし、高コストのレーザー艦は1隻のみ!
それを操艦出来るのは私だけ!
しかもレーザー艦は古くなってて満身創痍と来た!
「誰か〜!!!!!!!!!!!!!!!!」
続く
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