怒りの自己完結

　忙しい日々は続いています。
　しばらくお洗濯物が滞っていたのが、今日の晴れ間。すわ、洗濯日和!と動きかけたものの、とにかくものがいっぱいあることにいらいら。
　洗濯物を取り入れる、仕分ける、干す。少し湿っぽいタオルをたたんでソファの上に置いていたものが、そのまま再び選択籠に放り込まれていたことに気がついてため息。

　娘2の白い服に、すぐ干さなかったためについたと思われる青い染色を発見。一回家で着て、もう一回洗濯するときに漂白しようか、と手渡すと、そんなの意味わからん、すぐに洗い直して、と手渡され、いぃーーーーっとなる。意味も何も洗濯ものこれ以上増やしたくないからに決まってるやん、全くもう、当たり前みたいに命令して!!!とかなりいらいら。

　家事をしながらひとり悪態をつき続ける。

　だいたいなんやの。そりゃ日頃の家事がたまって、休日にはそのツケを払わなければならないのはわかってるけど。私は昨日も仕事で帰りが遅かった、なのに、家に一日いたはずの娘らは、洗濯物を畳んでくれているわけでもなく、流しの中のものをせめて洗ってまっていてくれるわけでももなく、私の帰宅の気配にどどーーっと階段を下りてきて、買ってきたものをあさり、ご飯は?というばかり。

　旦那は朝起きれぱそのまま仕事に行き、帰ってくれば自分の仕事場に閉じこもり、出てきたら寝るだけで、家の中のことを顧みるものなんてだあれもいやしない。
　全部ママがやればいい、ママの仕事が足りない、ご飯が遅い、片付けが出来ない、と文句ばかりを言う。

　家族だからって、家族だからって、なにもかも当たり前だと思うなよ!!!

　 家の中を片付けながら、一人胸の中で思い続ける。
　険しい顔の私に、それを察して家族は誰一人、私のいるリビングには近づかない。

　ほら、みんな自分の部屋に逃げ込めばいいと思って。私には自分の部屋もありゃしないのに。

　ぶつぶつ。

　そう、家族だからって甘えていないで、一度、自分がしてもらっていること総べてに感謝の言葉を述べるようにすればいいのよ。
　「ご飯作ってくれてありがとう」「洗濯してくれてありがとう」「起こしてくれてありがとう」
　兄弟だってそうなのよ。姉妹けんかが多いのだけど、私に言わせれば、お互いがお互いに甘えているに過ぎないのよ。他人ならば気を使うでしょう?言葉だって選んで話をするものなのよ。それを黙って人の服やものを借り、ありがとうも言わない。家族だからって言葉を出し惜しみしていいわけはないのだから。「服借りるよ」「貸してくれてありがとうね」その一言があるだけで全然違うのに。
　自分が言う「ありがう」と言われる「ありがとう」の量をいちどどちらが多いものか比べてみればいい。

　そういうからには、私だって。
　
　「ありがとう」と言われるべきことは「洗濯とご飯」「仕事して食費を稼いでいること」「こまごまとした雑用」


　えっと。えっと。他には・・・・・。

　長男は、自分のことしかしやがらないけど、私が時間合わなくてご飯作れないときには、文句一つ言わず、黙々と自分で作ってくれている。車は自分がローンも保険も払っているけど、使わない時は私たちに使わせてくれている。ご飯は気がついたら炊いてくれている。毎月一万円はお金を入れてくれるようにもなった。「ありがとう」

　長女。家にちっとも帰ってきやしないけど。帰ってきたら、すごい勢いで家の片付けをしてくれる。いる間はそれが勤め、というように、私の愚痴を聞いている。「ありがとう」

　次女。まだまだ子どものようなところもある子だけれど、不定期にでも、生活費を入れるようになった。先月はボーナスが入ったから、と三万円渡してくれた。自分の弁当は自分で作っている。「ありがとう」

　三女。自分のことを自分でする習慣は少しずつついてきた。塾に行くようになり、勉強も真面目にしている、と思う。頑張ってくれて「ありがとう」

　そしてなにより、たぶん時が経てば独立して行くだろう子どもたちだが、この子どもたちがいない生活を想像すると、さぞや寂しいだろうな、と思う。
　この子らがいるからこそ、私は働き頑張って生きている。私のエネルギーはこの子らが作っている。「ありがとう」

　旦那。考えたら本当は、私たち家族がいなければ、「外に働きに行く」という選択はなかった、と思う。自分のやりたいことだけやって、その結果がどうでも、ひとりであれば後悔しない人だとわかっている。今は家族のために、したくない仕事をしている。
　そして、時々起こる私のヒステリーにそれなりにつきあっている。「ありがとう」だ。

　
　あ。言われることより、言うことの方が多いのは私だった。