「ヒアアフター」「ハッシュパピー　バスタブ島の少女」

●ヒアアフター

津波の被害に遭って臨死体験したフランス人女と
双子の兄貴の死がつらくてたまらんイギリス人少年と
霊視能力を持つ自分が嫌でたまらんアメリカ人男が
それぞれの時と場所で死の世界について悩みながら
君は引力を信じるか話し!!

クリちゃん（クリント・イーストウッド）監督おそるべし
大霊界なんてモティーフもってくるとはクリちゃんも
ついに痴呆が始まってしまったのかおいたわしや
なんて杞憂にもほどがあるほど明晰でクールで
あらためて破格の映画力に恐れ入ったです

冒頭に津波があります
ディザスタームービーとかって私は疎いが
これまで見たどんな津波災害映像よりも
激やばぱない
津波被害で親族を亡くされたりトラウマある方には
決してオヌヌメできない
そういうひと以外は是非必見し津波の脅威を
垣間見といてほしいすさまじい映像です

死後の世界や霊が扱われています
心身を乗っ取られて奇声あげて暴れ出したり
魑魅魍魎が出てきたりサイキックバトルしたり
そういう古式ゆかりの子供騙しは一切ないです

世の中にはごくごく当たり前に真摯に
この世にいなくなってしまったひとの声を
どうしても聞きたくてたまらんひとがいて
ほんの少し声を聞けて伝えられるひともいて
その力自体は地味になかなかしんどいもので
迂闊にあの世を体験してしまって
人生がまるっきり狂ってしまうひともいる
そのリアルのぱなさかげんが誠実に
わかる

その幽波紋の能力を活かして
悪いやつと戦うのか社会貢献するのか
儲けるのか未知の世界を究明するのか
そんな暇人どもの道楽なんかじゃない
やるせない心の３人がさすらいながら
最後にはクロスオーバーしてくるのが
激もえ引力の祝福展開です!!

苦節３５年
霊感がひといちばい欠如した私でも
「ポネット」と「ヒアアフター」においてのみ
その片鱗を垣間見ることができた僥倖に
感謝いたします



●ハッシュパピー　バスタブ島の少女

スラムよりやばいようなあばら家原始人生活の
少女ハッシュパピーが住むバスタブ島に嵐が来て
島は水没し一人親のパパは病気でピンチ
さらに温暖化かなんかで溶けた氷河から
なぜか生き返ったもののけ姫のオッコトヌシ様
みたいな巨大猪が永の眠りから覚め突撃してきて
さあたいへん話し!!

ハッシュパピーはペットの鳥やら何やらの
動物たちの胸に耳をあてて心臓の音をきき
宇宙観を詩作する哲学少女
動物映画でもないのにこんなに動物が
うじゃうじゃ出てくる映画も地味に珍しいかも
水没後のサバイバルでは臓物や死骸も
うじゃうじゃですが汗

島民のひとたちも島の風景も展開もいちいち
フリーダムワイルドカオスボンバーです笑
とりあえずパピーの親父が今どき梶原一騎以上
レベルの理不尽親父で少女パピーへの仕打ちは
なにか松本人志コントにも出てきそうな勢いの
ネジの外れ具合です笑

水没した島で食料ゲットのために魚獲りを
パピーに教える親父
いいかこうして片手を水に突っ込み魚を待ち
もう片方の手で拳を作っといて魚を捕まえたら
思いっきりパンチするんだやってみい!!
…嵐の時ショットガンぶっ放してたけど容赦なき
サバイバルに文明の利器は反則ってことか汗笑
蟹味噌の食べ方をおっさんが丁寧にパピーに
教えていると親父は突如激怒して
ちげえよ!!蟹味噌はこうやって腹かっさばいて
じゅるじゅる豪快にむさぼるんだよ!!むさぼれい!!
…便乗してむさぼれ連呼する周囲もすごい汗

そんなクソ元気だった親父が病に倒れた一方
念願だったママの温もりの刹那にも別れを告げ
バスタブ島で生きる決意をあらたにするパピー

どんなに不便でも前時代的でも
水没しようが放射能で汚染されようが
その土地で産まれ生きて死にたいという
郷土愛なんて生易しい理では計り知れぬ
帰巣本能つうか地縁魂というのは
地味に強靭な心を象るものなのかもしれない
ことがわかる