あまり気乗りがしないし気持ちが晴れない事件なので書きたくはなかったのですが、嫌な予感がするので、以前総括したことも含めて書いてみようと思います。
野球賭博という言葉はたびたび聞きます。一番大きく球界を揺るがしたのが1969年から1971年にかけて発覚した『黒い霧事件』です。最近では2010年に角界を震撼させた野球賭博事件。それから、たった５年しか経っていない今の時期に又しても発覚した野球賭博事件。賭博に関与したという巨人の選手は、福田聡志・笠原将生・松本竜也の３人。いずれも投手というのが、かつての黒い霧の広がりを思い出させて気持ち悪さを感じているのは私だけでしょうか？
【黒い霧事件処分選手】
永易将之(西鉄･投手) 「敗退行為の実行」⇒永久追放処分
池永正明(西鉄･投手) 「敗退行為の依頼を受け現金受理」⇒永久追放処分
与田順欣(西鉄･投手) 「敗退行為の実行と勧誘」⇒永久追放処分
益田昭雄(西鉄･投手) 「敗退行為の実行と勧誘」⇒永久追放処分
小川健太郎(中日･投手) 「オートレース八百長に参加」⇒永久追放処分
森安敏明(東映･投手) 「敗退行為の依頼を受け現金受理」⇒永久追放処分
村上公康(西鉄･捕手) 「敗退行為の勧誘を受け報告せず」⇒１年間の野球活動禁止
船田和英(西鉄･内野手) 「敗退行為の勧誘を受け報告せず」⇒１年間の野球活動禁止
葛城隆雄(阪神･内野手) 「オートレース八百長に参加」⇒３ヶ月の期限付失格選手に指名
桑田 武(ﾔｸﾙﾄ･内野手) 「オートレース八百長に参加」⇒３ヶ月の期限付失格選手に指名
成田文男(ﾛｯﾃ･投手) 「野球賭博疑惑のある暴力団と交流」⇒１ヶ月の謹慎処分
坂井勝二(大洋･投手) 「暴力団と交流」⇒無期限出場停止と減給処分
江夏 豊(阪神･投手) 「野球賭博疑惑のある暴力団と交流」⇒戒告処分
三浦清弘(南海･投手) 「敗退行為の勧誘を受け報告せず」⇒戒告処分
田中 調(東映･投手) 「敗退行為の勧誘を受け報告せず」⇒厳重戒告処分
基 満男(西鉄･内野手) 「敗退行為の勧誘を受け報告せず」⇒厳重戒告処分
高山 勲(大洋･投手) 「オートレース八百長に参加･勧誘」⇒事実上の永久追放処分
田中 勉(中日･投手) 「オートレース八百長に参加･勧誘」⇒事実上の永久追放処分
佐藤公博(南海･投手) 「オートレース八百長に参加･勧誘」⇒事実上の永久追放処分
※ことの経緯は以前にも書いたことですので省略しますが、かつて森安が語っていた「八百長はしていない。金を受け取りながら、その後も球界に生き残ったやつもいる。落ち目の球団にいたからやられたんだ」というのもあながち絵空事ではないように感じる処分内容ではないでしょうか？ 森安が述べた真実とは「永易将之さんからある投手に渡してほしいと現金を預かったが、僕は渡せなかった。返そうと思っていた矢先に永易さんが捕まった。返すに返せなくなり、僕が使ってしまったというのが事実。」ということのようですが、池永にしても同様で金銭授受が物的証拠となって永久追放されており、脇の甘さが命取りになったと言えそうです。池永は2005年4月25日に復権しましたが、これに関しては「本人からの申告」が必要であったことから既に鬼籍に入っていた森安に復権の道はありませんでした。
もしも、江夏が阪神にいなかったら戒告処分だけで終わったかどうかも何とも言えません。当時の処分が、法的に問題がないかといえばかなり問題があったと思います。池永の場合は特に事件の幕引きのためとマスコミのトップスクープ「球界のエースの永久追放」を際立たせることで、これ以上の拡大を防ぎたいという意図が見て取れます。「見せしめの為に永久追放になった悲運のエース」と地元で声高に抗議の声が上がり、益田昭雄や与田順欣が「池永が自分たちと同じ処分なんて球界の損失だ。あのような投手はもう出てこない」と涙ながらの訴えを棄却した日本野球機構の姿勢はそれを如実に表していると言えそうです。
※今回の野球賭博に関しては、巨人だけでなく１２球団全てが徹底的に調査を行うべきだと思っています。もし、賭博行為に参加していながらうやむやにして生き延びた選手がいたとしたら、それをネタに恐喝されることがあるかも知れません。そうして裏組織との腐れ縁が続いてしまうのであれば、自軍の主力選手であろうと球界を代表する選手であろうと関係なく公平に対処すべきであると思います。膿は出し切らないと将来に禍根を残すというのは、かつての黒い霧事件が今に鳴らす警鐘だと感じています。
*写真� �池永正明投手
*写真�◆Т慇捷盥仕�時の森安敏明投手。岡山東商の平松政次、倉敷商の松岡弘とともに“岡山三羽烏”と呼ばれていた
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