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2015年05月03日06:06

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議会演説で失うかもしれないこと。

■「痛切な反省」表明、謝罪触れず=安保法制、夏の成立明言―安倍首相、米議会演説
(時事通信社 - 04月30日 01:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=3395962

演説を全て聞いたり、全文を確認したわけではありませんが、
率直な感想としては、「うまく作られた文章だった」というものでした。
「歴代総理の談話を踏襲」することで、事前に反発が強かった「歴史認識」は妥協する一方、
個人的に入れたくなかったであろう「謝罪」の文言を削ることには成功しました。
アメリカ議会という場所を考えても、無難な形に着地させたように思います。
ただ「自分の言葉で話す姿勢」の方が、アメリカでは好まれると聞いた記憶があるので、
「原稿を手に持って熱弁する姿」は、あまり良い印象は与えなかったのではと思いました。

また、アメリカでは激しい議論をした直後でも笑いあって話せると聞いた記憶もあります。
それならば、思想や考え方が違おうと、発言に賛成ならば賛意を惜しまないはずです。
観劇のように最後にのみ評価を下すようなものならばともかく、
スタンディングオベーションがそのまま演説全体の評価が高いと考えるのには疑問が残ります。


安倍総理はこれまで、「未来志向でいくためには謝罪はもう不要」と発言をしてきました。
しかし、未来のために現在をどうするかは考える必要があるように思います。
現在において中国や韓国との軋轢が残っている最中であるにもかかわらず、
軋轢を深めかねない「謝罪しない」という選択は、必ずしも未来に資するものとは思えません。
「謝罪が必須」ではないものの、謝罪の代わりの軋轢を解消する手段が存在しなければ、
謝罪をしたくないだけの言い訳という批判を免れるものではないように思います。

今回の演説では、「夏までに安保関連法案を成立させる」との宣言も行いました。
ただ、この発言はアメリカにとって余計な一言となってしまった可能性があると思いました。
たしかに、アメリカは国益として安保関連法案の成立を歓迎するとは思います。
しかし、アメリカは「民主主義こそが正義である」ともしていたはずです。
にもかかわらず、これまでのように少ない議論で政府都合による決定が優先された場合、
つまり「総理が絶対」であり「国民からの疑問が相当数ある国会運営」が行われた場合には、
「アメリカの正義」に対して一石を投じる結果となる可能性があると考えるからです。
仮にその状態を、安倍総理への反発が強い中国などが「独裁政治」と批判した場合、
イラク戦争で揺らぎ始めている「アメリカの正義に対する信用」を傷つける可能性があります。
国会でも国民の間でも議論が十分に深まっていない段階で「夏まで」と明言したことが、
アメリカの信用を賭けることに繋がりかねない、リスクある発言だったとも考えています。


日本の総理によるアメリカに対する発言には、失望を買った「トラストミー」がありました。
しかし、安倍総理による「バイマイアベノミクス」の演説が概ね好評とされた割には、
この演説直後から「日本買い」が加速したという印象は、ありませんでした。
そして「辺野古への移設」については、移設を履行しようとする姿勢は評価される一方、
地元との対話や理解が不足していることについては、釘を刺されているように感じます。
そもそも「トラストミー」以前の「辺野古への移設」を放置した自民党政権の一人でもありますし、
プライマリーバランスについて国際公約はしたものの、実現困難な現状であったりと考えると、
今回の議会演説が、アメリカから全面的な信頼を得た結果であったと考えてしまうと、
賛成や反対が入り混じることが珍しくないアメリカの姿勢を見誤る可能性があるように思います。

個人的には、日本はキリスト教国ともイスラム教国とも世界には認識されてない一方、
キリスト教圏からもイスラム教圏からも概ね好意的な印象を持たれていると考えています。
以前のままならば、他国では実質不可能な中立な立場からの外交が展開できたと思いますが、
アメリカとより緊密にしていこうとするが故に、キリスト教圏に組み込まれたとみなされ、
「普通の国」に成り下がってしまうであろうことを残念に思っています。
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