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2015年02月02日18:48

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『エクソダス 神と王』

前の週の日曜に引き続き2月1日の日曜日に聖書がらみの映画を相方と鑑賞。劇場は郊外のシネコン、3Ⅾ字幕版。
http://www.foxmovies-jp.com/exodus/

モーゼとラムセス2世を義理の兄弟として出エジプトを兄弟相克として読み直すというのは『十戒』(1956)『プリンス・オブ・エジプト』(1998)でも用いられた解釈。ということはそれらの先行作品と当然比較されるわけでリドリー・スコットさん、よく頑張った!

血の川の災い、カエルの災い、アブの災い、雹の災い、イナゴの災い、疫病の災いなどのっ描写はかつてない迫力で聖書の映画化というよりスコット得意のジャンルに聖書を引きづり込んだ感。

モーゼとラムセスをはじめとして登場人物のものの見方・考え方は古代人より近代人に近いけどそれは娯楽時代劇である以上当然のこと(ちなみに撮影には英国時代劇の老舗パインウッドスタジオも用いられている)。

神の正体に関する解釈もいかにも現代的。ただし、なぜモーゼがエジプトを襲う災厄にあらかじめ対策が建てられたか、などはあえて超自然的な(あるいは奇跡としての)解釈なしに説明できないようになっている。

で、その神というのがモーゼから「なぜ私を妻子から引き離した」「エジプトの民への仕打ちはやりすぎだ」「なぜ400年もヘブライの民をほおっておいた」と詰問されて、その度にとぼけるわ、はぐらかすは、逆ギレするは…こんなのに十戒もらってもありがたくないな、と思ったらちゃんとオチがついている。

クライマックスの割れる紅海、先行作品よりも有利だったな、と思われるのは現在では現実の津波を間近で映した参考用映像が大量に入手できること。割れた紅海が元に戻ろうとする時の高波で、波の穂を渡るように多くの海鳥が飛ぶ姿は東日本大震災時の津波の映像なしには描けなかっただろう。そして紅海に呑まれたエジプト兵たちの描写もまた…映画という娯楽は業が深い。

原作にはないモーゼと妻子の再会の場面も丁寧に描かれるあたり、さすがは家庭重視の現代アメリカ映画(しかし息子よ、その父ちゃん一回くらいどついてもいいと思うぞ)

ところでモーゼとラムセス2世を義兄弟とする場合に困るのは史実でのラムセス2世の逝去と聖書でモーゼを追いかけたパロの最期とがまったく異なること。この映画ではその辻褄合わせが先行作品より巧みだったことは特筆しておきたい。
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