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2015年01月22日19:08

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「大いなる沈黙へ グランド・シャトルーズ修道院」

フランスの山奥にひっそりとたたずむ、
カトリックの中でも最も厳格な修道院の記録映画。
フェルメールみたいなスチル写真が気になり、
究極の断捨離映画、秘境映画としても見ておきたかったが、
岩波ホールの椅子に3時間も座るのはどうも気が進まず、
年明けのアップリンクでようやく鑑賞。
薄暗いし何をしているかわからないシーンも多いので、
ときどき気を失いながら(笑)、
でも、退屈というわけではなく、すがすがしい気分になれる。

なにしろこの映画、監督が修道院に撮影を申し込んだら、
「まだ早い」と断られ、
16年後にようやく許可が下りたそうです。
ただし、音楽、ナレーション、照明はNG。
修道院に入れるのは、監督ひとりだけ‥‥。
それでも何とか見所をつくろうと、
かなり苦労しているのがわかる。

もともと日常では会話が禁止されていて、
ただ黙々と祈り、食事をつくり、食べて、寝て、
起きてまた祈る、そんな毎日。
長い僧衣を着た修道士たちが夜中に蝋燭の灯りで
ミサを行っているところなんか見ると、ほとんど中世。
電気もなければ水道もなく、食料は自給自足。
散髪も自分たちでこなすDIY生活。
娯楽らしきものといえば、日曜日の午後の山歩きとおしゃべり。
究極のシンプルライフです。
何もないけど、退屈や倦怠とは無縁の、満ち足りた暮らし。
いいなぁ、美しいなあとほれぼれしました。

でも、修道士の顔は意外と人間臭いのです。
下手すると犯罪者?みたいな険しい顔つきの人もいる。
いろいろな苦難を経てここに居場所を見いだしたのでしょう。
今、何もかも捨てて修道院に入れと言われると困るけれど、
穏やかに死を待つ老師の揺るぎなさを見ると、
人生の最後はこういうところで暮らせるといいなあと
本気で思ってしまった。

DIE GROSSE STILLE/INTO GREAT SILENCE
2005年/フランス・ドイツ・スイス/168分
監督:フィリップ・グレーニング
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