職場で財布盗まれた
状況から言って、落としたとは考えられない
財布の中には出勤途中立ち寄ったコンビニで下ろした今月の給料の残り８４，０００と、健康保険証・運転免許証をはじめ各種免許・資格証が入っていた
取られてから血流がおかしい
多分ショックで血圧が上がっているのだろう
昨日の勤務後警察に届け出を出してきた
何故こんなにショックなのか考えていた
最初は現金の多さだった
次は信頼する仲間と働く中で、盗難の多いロッカーよりも安心だと思っていた詰め所での盗難で、裏切られたという思いだった
でも、警察で話を聞かれる中で、自分にとって一番ショックが大きかった事が見えてきた
資格証だ
他人にとってはどうでも良い、もう年数が経って有効ではないこれら資格証が、盗られた財布の中で一番大切な物だった
一つ一つに思い入れがある
私が資格を取るとき、それぞれに切羽詰まった思い出がある
第4級アマチュア無線技士免許〜
長男がまだ小学生だった頃、学校に行き渋るようになった
自分自身も登校拒否気味だった事もあり、その手の本は読みあさっていたので、原因や本人の気持ちは何となく想像できた
でも親の立場での支援の方法は全く分からなかった
ストロークが足りないと思った私は彼に何か自信を付けられるものを探した
ネットも繋がっていない状況では何処を探したら良いか見当もつかなかったが、自分が小学生の頃、同級生がチャレンジしていた「アマチュア無線免許」は、最年少小学二年生で取った子がいるという話を聞いた事があった
元々機械が好きな息子ならできるかも知れない
と思いたち、当時の息子の友達を誘って取りに行くことにした
当時、どこに取りに行ったら良いのかも分からなかったし、調べる先も分からなかったから、電話帳なんかを片っ端から調べてやっと見つけたのは姫路会場だった
姫路に講義が始まるまでに到着しようと思ったら、最寄り駅の始発に乗っても間に合わない
しかし急を聞きつけた、誘った息子の友達のお祖父さんがターミナル駅まで車を出してくださり、何とか間に合った
奈良から姫路は遠かった
やっと到着した会場は何もないド田舎の食堂の上だった
会場には何故かトラックの運ちゃんが大勢いて、講義の合間にちょっと話したらブースターがどうのこうの････何の事かわからない事を話しかけられた
講義内容は、理科系が得意だった私でも、何とか分かる程度のもので、息子達にはチンプンカンプンだった事だろう
講義内容が全く理解できず、ただ項垂れるばかりの息子に
「わからんでもええから、とにかく座っとけ。講義を受けさえすれば、試験問題例と模範解答をくれるから、理解できんでもとにかくそれを頭にたたき込め。試験というのはそういうもんだ」と厳命した
息子はその後の講義の間中ずっと机に突っ伏していた
帰りに問題例と模範解答のプリントを貰って、電車の中で３人で頭にたたき込んだ
講義は土日でワンセット、次の日長男は案の定行き渋ったが、友達のお祖父さんの手前、やめる訳にはいかなかったので、渋々出発した。
そして、無事３人合格した
後日談〜
それからしばらくは長男も学校へ行ったが、中学の時やっぱり不登校になった
その時はシステムアドミニストレーターの資格を取りに行った
今度は旦那も巻き込んで３人で奈良産業大学へ行ったが合格は長男のみ、私は８００点満点中あと２５点で落ちた････
ま、当初の目的は達成したし、その後長男も通信制の高校の卒業資格が取れる専修学校へ進み、パソコンクラブに入ろうと思ったが先生に「お前に教えられる事は何もない。それより体を鍛えろ」と言われて日本拳法部に入り、ヤツは苦労して黒帯を貰った
そして無事思う大学にも行き、やっとこの春就職した
その間、高い授業料に悩まされながらの長い道のりだった
ＣＡＤ利用技術者２級〜
長男が６年生の夏の終わり、私は近所の回転寿司屋でパートをしていたが、そこで転倒して右手の薬指と小指を酷く脱臼した。
手首から先が腫れ上がり、約１ヶ月間右手が使えなかった
近所の接骨院に通っていた時、そこの先生が「アトムボーイって、あんたのパート先やないか？新聞に倒産したって載ってるで」と言った
パート仲間に電話すると、確かに倒産していた
店はすぐには無くならないようだが･･･
その後、腫れが治まっても手を握る事はなかなかできず、近所の接骨院でリハビリを続けながらパートに通った
働きながら、店が無くなった後の事を思った
パートを始めてから約２年半ずっとバックヤードで魚をさばいていたので、調理師免許でも狙おうと思い立ち、自分の勤務時間を計算したが、子どもの夏休みに合わせて出勤日数を減らした後、怪我で長期療養していたので、勤務時間が足りず、受験資格に少し足りなかった
店の責任者であった当時２０歳そこそこの兄ちゃんに「何とかならんか」と相談したが「世の中そんな甘いもんじゃないって事ですわ」と言われた
お前に言われたくないわ！！！！！
パートなので、職を失っても失業保険は無い
近くにアテが有るわけでも無い
次の職の紹介も無い
パート先は店を閉めた
次の職を考えた時、絶対に正社員で、失業保険の付いた所を望んだ
職業安定所に行ったが、高校卒業で持ってるものは自動車の運転免許のみでは、正社員の口が無い
何か免許や資格が取れる所は無いものかと相談したが、当時は中高年の失業者に重点が置かれており、相談員に「貴女にしてあげられる事は何も無い」と言われた
求職票には「短大卒業程度」が多い
でも、何とかしなければいけない
旦那は必死で働いているが、生活費には足りない
何か資格を身につけなければいけない
真っ先に思ったのは簿記とＣＡＤ
先ず簿記〜
通信教育は万円単位、本なら千円単位なので、本を買ったがページをめくってみてビックリ･････
漢字が読めない
商業高校出の姉に電話で聞いてみたが、次々と出て来る新用語をいちいち電話で聞いていたら今度は電話代がえらい事になってしまう
当時やっと繋がったネットで通信教育で簿記を検索し、ＬＥＣ１６０００円を見つけた
ＬＥＣ難波校で受講手続きをして何度か通った
ビルの一室の、ブラウン管画面がずら〜っと並んだ中の一つの前に座り、でっかいヘッドホンを付けて先生の講義を視聴し、自習室で練習問題を解く
何度か通う中で、講義をカセットテープに録音して持ち帰っても良い事に気づき、全部の講義を録音してテープで持ち帰った
これなら子供が熱を出しても自宅で勉強できる
「食べる・寝る・トイレに行く」以外は勉強した
そして春の試験日･････
の１週間前、旦那の鹿児島のお母さんが亡くなった！！！！！
実質長男の嫁である私が葬式を取り仕切ってヘトヘトになって、帰宅したのが試験日の前日午後９時過ぎ
下見もできなかったので、翌朝４時に起きて大阪の四天王寺高校へ受験に行ったが、早すぎて門が開いていなかった
やっと門が開き、試験が始まって、解答用紙に名前を書きながら寝てた･････
必死で眠気を抑えてとりあえず解答用紙を埋めたが、諦めた
そしてＣＡＤ
旦那の転勤にくっついて名古屋に住んでいた時、近所の製図事務所でアルバイトをしていたので、製図の知識はあった
息子のシステムアドミニストレーター資格取得にかこつけて勉強していたので、パソコンの知識はあった
実技はできないけど、２級ならペーパーテストだけらしいから、足したら取れるんじゃね？ぐらいの軽いノリだった
資格発行元に直接電話して事情を話し、教科書を送ってもらった
試験対策の講義があるらしいので、簿記の勉強の途中で２回通った
とりあえず教科書を丸覚えした
簿記の試験の後２週間後ぐらいだったか、疲労困憊して勉強などできずそのままとにかく受験料は払ったんだから、と受けに行ったが、内容はサッパリ
当時のＣＡＤはとても難しかったから･････
失意の中でも毎日の生活は続いた
疲労困憊しても毎日ご飯は作らなくちゃいけないし、子供を学校へ行かせなければいけないし、学校が終われば近所のガキを連れてくるし･････
近所のガキが遊びにしていた時、不意に郵便が届いた
ＣＡＤの試験結果だった
なななんと
合格通知だった！
ガキの見てる前で涙がちょちょぎれた
その後夏休みも明け、本格的に就職活動をするにあたって「そういえば簿記の結果はどうだっただろう？せっかく勉強したからもう一回受けてみようか」と思ってＬＥＣに電話したら簿記も合格していたので２度ビックリだった
宅地建物取引主任者証〜
その後、それらの努力が実ったかどうかはわからんけど･････不動産屋に正社員として就職し、全く使えない営業事務員として４年半働き、その間宅建主任を受けまくって落ちまくった後、部署毎人員整理に遭った
やっぱり不景気で職が無いという状況だ
不動産屋に居たならせめて宅建主任でも持っていればと思い、こんどこそという思いで受けた
営業で知り合った本社近所の別の業者のパートのオバチャンに「みきちゃわんならできるよ」と応援されながら、又「寝る・食べる・トイレに行く」以外は勉強した
法律用語は難解だった
日本語で書かれていた
きっと日本語だ
いや･････もしかしたら違うかも知れない
「これ、何語やねん！「」
「もしかしたらスワヒリ語かもすれん」
同じ部屋に寝ている長女と、こんなやりとりをしながら、椅子代わりにマンガ雑誌をお尻に敷いて小さなちゃぶ台の上に教科書や問題集を並べて「あーでもない」「こーでもない」と言いながらの奮闘だった
用語の意味がなかなか頭に入らないので、教科書を何度も音読した
聞いてる方はさぞかしやかましかっただろう
試験は１日仕事で、ずっと机にかじりついていたので、終わったらもうフラフラだ
最寄り駅から自宅までの緩やかな上り坂を自転車を持って登る体力が無く、次男に駅まで迎えに来て貰わなければいけなかった
ヘトヘトになって家に帰り、ネットで試験結果予測を検索した
スゴイ！クリアしていた！
次男もびっくりしただろう、物凄い勢いで号泣していた
後日談〜
その後長女は近畿最後の秘境の高校を経て近所の大学の法学部に入学して現在勉強中だ
頼むから、現金はいらんから、返してくれ
それ、大事な物なんだ
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