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2014年11月10日19:24

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イタリア旅行記その6 シエナからフィレンツェへ

シエナの二度目の朝を迎えました。連日、いいお天気です。

ダイニングで相席となったのは、フランスから来たというドイツ人女性と、「?人」男性。(白人さんですが聞き損ねた)
昨日の猫好きの女性にうちの猫の写真を見せようと思ってたのに、ちょっと残念かも。
ドイツ人女性に、「日本からいらした?」と言われ、「はい、どうしてわかるんですか」といったら
「なんとなく。日本のどこ?」「東京です」「だと思った」
昨日もこんな感じだった……日本臭い風情ってあるのかな?

彼女も昨日の女性同様はつらつとして明るく、気さくな感じ。今日のお客2人とも、やはりそれぞれひとり旅で40代ぐらい。日本だとこの年齢のひとり旅はわりと珍しい気がするけど、ここで知り合った人は全員がそうなのです。でもオーナーのステファノに言わせると、日本からのお客で3年間ここに泊まっていた人がいるんだって。
って、それ旅じゃなくてもう暮らしてたってことよね?居心地いいから十分わかるんですが……
お客の男性が宿の美しさをほめ、ファニチャーも小物もみな手作り感があっていい、と言うと、どれもみな僕の手作りで、天井の板も一枚一枚ペンキであう色探して手塗りしたんだよと嬉しそうなステファノ。
その朝は、シエナが実に美しい街だという賞賛から始まって、街の自慢、カンポ広場の話題になりました。

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          どこもかしこもななめが命!

カンポ広場で行われるパーリオというお祭りの名前が出ると、ドイツ人女性がこちらを向いて「パーリオはご存知?」
ダンナは「名前だけは」と答えたけれど、わたしは全然知らない、と首を振りました。
すると女性はおほん、と口元に手を当ててもったいぶって「ではわたくしがご説明いたしましょうか?」
「はい、お願いします」と答えると、彼女はわたしたちのためにゆっくりとわかりやすい英語でしゃべってくれました。

「カンポ広場では昔からいろいろな集会や行事、お祭りが行われてきました。その中でも一番盛大なものがパーリオで、馬を使った競技です。
シエーナは昔から、17の地区……コントラーダ……に分かれていました。各コントラーダはとても結束力が高く、古くからの独自の文化や風習を持っています。
パーリオは年に2回、カンポ広場全体に砂をまいて、コースを作って行われます。
17のコントラーダから、その年出場できるのは10。(選出方法は不明というかわからなかった)各地区から名馬が選ばれ、代表選手が乗って広場を3周します。みなそれぞれのコントラーダに古くからある伝統衣装を身に着け、地区の誇りを持って戦います。各コントラーダにはそれぞれ旗があり、優勝した地区の旗がその一年、町中に飾られます。優勝地区が決まると、広場は一週間以上のお祭り状態になります。このパーリオに勝つのは地区にとって最高の名誉なのです。
ええと、これでいいかしら?」
彼女は遠慮がちにステファノのほうを見て聞きました。
「その通り。僕の代わりにありがとう」お髭のステファノが笑顔で答えます。
ご親切にどうもありがとうございました、とお礼を言った後、「でも広場は平らなところがないから、滑ったり転んだりして怪我をする馬も多いでしょう?」と聞くと、「それはよくあるね。ビデオがあるけど見る?」とステファノ。
それからはダイニングに置いてあるモニターで、実際のパーリオの映像を皆で見ることになりました。

思った以上の熱狂ぶりで、まず選ばれた馬は教会の聖母マリア像の前で聖水をかけられ、選手は聖母に優勝を誓う。馬は見たところ鞍のない裸馬だけど、伝統の飾りで重々しく飾り立てられ、騎手はそれぞれコスプレ状態。聞いたとおり伝統の衣装を身に着けて、広場に姿を現すと観客の熱狂に迎えられる。その興奮ぶりはもう、ワールドカップを南米のスタジアムで見ているような∔α。
あの広い空間が競技場になり、人で埋め尽くされ、各地区の旗が揺れている風景はなかなか壮観でした。一周は300メートルなので、馬にとっては走りにくそう。さっそく一頭が滑って騎手を振り落とし、そのまま爆走を続ける。
一等で飛び込んだ馬の地区は飛び上がって大喜び、騎手と馬を取り囲んで狂乱状態。そのまま、彼らの街までパレードして帰るのだそう。
貴重なものを見せていただいて、感激。やはりこれはホテルにはない楽しみですね。
ステファノと彼女にお礼を言い、「ご説明のおかげでよくわかりました。町中に旗があるわけも」というと、ああやれやれ、と大げさに額の汗を拭くふり。それを見て皆笑顔。
名残惜しいけれど、朝食後、立ち上がってこれからフィレンツェへ行きます、というと、いい旅を、と皆声をかけてくれました。
会った人たちみんな、とても感じのいい人たちだったなー。
(ちなみにこの朝もダンナはほとんど会話に参加せず)
壁には去年、各国から来た泊り客の人数が貼ってあり、日本からは8人でした。来年のあの表は、何人になっているかな? とにかく、そのうちの2人が、わたしたちです。
シエナに行かれる際はカサチェンティへどうぞ! お勧めですよ。

さて、シエナの駅からは列車に乗ってフィレンツェへ。
シエナの駅にはちょっとしたショッピングセンターが併設されていて、そこのオープンカフェでカプチーノをいただきました。
つくりは普通に普通なのに、まあそこのテラス席のきちゃないことといったら。
各テーブルの上に飲み終わったコーヒーカップと皿とゴミがいちいち置きっぱなしで、床もゴミだらけ。壁に、お皿は返却コーナーに戻してくださいと書いてあるのに誰もそんなことしようとせずごちゃくちゃのまま席を立つ。どうもここら辺は理解しがたいものがあります。シエナ自体は綺麗な街なのに……
あちこちで若い人が煙草を吸ってはそこらへんに吸殻をポイ捨てしてるのも見るし、バスでも電車でも、優先席があってもあまり席を譲らないようです。
とりあえず、お年寄りや妊婦に席を譲らないのは日本の特徴、欧米人はみな譲る、などと一概に言ってはいけないのはわかりました。そこらへん、イタリアと日本は、まあ、おなじぐらいかと(笑)

フィレンツェのお宿は、レトレスタンツェ。ドゥオモ(大聖堂)から50メートルのところにある、1400年建築の建物です。

           大聖堂は見るだけで通過。
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レトレスタンツェは、ホテルではなく、B&B。一般住宅が家を間貸ししているという、わたしがこだわったタイプです。
看板もなんもないけど、なにしろGOOGLEMAPのストリートビューで見といたからすぐわかりました(笑)
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建物の外についてある各家の呼び鈴からスタンツェのベルを押し、到着を伝えます。
にこやかに降りてきたオーナーが、握手してくれました。いなせなイタリアーンて感じのオーナー、実は彼は写真家もやっているのです。

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           階段室の天井が綺麗だ!

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           ここがドア。最上階。

重いドアを開けて入ると、そこにはイタリアの古い一般住宅が……
左側に古びたキッチン、(好きに使って!と言われたので冷蔵庫だけ使わせてもらいました)正面に古色蒼然とした素敵な居間があるのです。なんだか、高価そうなトルソや中国のでっかい香炉のようなものも飾ってあって、美術館みたい。
さらに階段を上がって…… わたしたちの部屋は最上階の屋根裏部屋。部屋の中は、こんな風。

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           テーブルコーナー。
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すてきー!テラス付きの部屋を予約していたんだけど、想像より広いわ。
大理石のミニキッチンもある!本物の暖炉もある!

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           窓のノブも凝ったつくり。
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           そして、この出口からは……
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テラスに出られるんです。
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憧れの屋根裏テラス。振り向けば、ドゥオーモ!
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なんてすてき。ここは朝食も何もついてないから、自分たちで調達した食料でここで朝ごはん食べたりお酒飲んだりもできるんだわー。

あちこち覗いてワクワクウキウキしたあと、フィレンツェの街に出ました。
おひるごはんは……
「食事するならここがお勧めだよ」と教えてもらったうちの一つ、近所のレストランOsteria Dei Pazzへ。
大衆食堂といった感じの、気取らないレストランですが、ここはほんとにおいしかった! ポルチーニのタリアテッレが特にいけてました。が。
なにかのパーティーで親戚一同で訪れているイタリアン家族が隣の大テーブルにいて、強いお酒を回しながら、沖縄名物「オトーリ」みたいなことを始めくさった。
次に回す相手の名を全員が机をたたいて呼び、呼ばれたものは口上を述べて酒を一気飲み。そしてまた次に回す。
最初は土地の風物に触れてる感じでにこやかに見てたんだけど、そのうち、子どもは走り回る大人は酔っぱらって大声で歌を歌い出す机をたたく、半端じゃない狂乱状態になったんで、ほうほうの体で店を出ました。昼間から酔っぱらいの大集団に負け戦とは思わなかったわ。
それから、ベッキオ橋を渡り、ミケランジェロの丘に登りました。
ここからはフィレンツェの街が一望できるのです。

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ベネツィアもそうだったけど、イタリアにはこんな風に、何百年も前の名画と変わらないと思われる風景があちこちにあるのです。階段は、夕暮れを見に訪れた観光客でいっぱいでした。
ドゥオーモが夕日に照らされる時刻までそこにいて、それからてくてくお宿まで歩いて帰りました。
毎日いい運動してるなー。

レトレスタンツェの前にいい具合の食料品店があったので、そこで買ったあれこれでそれなりに豊かな夕食を済ませました。
もちろん、赤ワイン付き!

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夜も昼も、そして朝も、ドゥオーモの鐘ががらーんがらーんと鳴り響く、レトレスタンツェ。
この旅一番の、お気に入りの宿となりました。



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