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2014年06月16日23:24

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トリックスターと奇蹟

若山教授 STAP「証拠はない」
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=2926642

若山教授の人と為りはよく知らないが、この会見を見る限りでは、きっと真面目で真っ直ぐな研究者なのだろう。

僕は、若山教授の会見を見て、今から約20年前の事件を思い出した。
オウム真理教事件。
そう、今もまだあの事件に関わった信者の裁判が行われている。

オウム真理教には、当時、多くの若い科学者が入信していた。
どの科学者も優秀で真面目な科学者だった。
その中でも一際目立ったのは、村井秀夫氏。
彼は、一連のオウム騒動の半ばで、暴漢に刃物で襲われ、生命を落とした。

村井氏は、事ある毎にメディアに出てきては、オウム真理教の無実を訴えた。
その目は、そう信じ込んでいる目だった。
彼は洗脳されていた。

だが、きっかけは、オウムのヨガ道場で、麻原の空中浮遊を見て、彼は、麻原の奇蹟を信じた。麻原の言う、ハルマゲドンを本気で信じた。

科学者は、疑い深い人間だ。
先日ラジオを聴いていたら、科学ジャーナリストの人がそう言っていた。
確かにそうなのかも知れない。

自分の行なっている実験を何度も何度も検証し、精査する。
実験ノートをつける。
不正を疑われないようにする為もあるが、基本、科学者というのは、真面目にストイックに自分の行なっている実験を追求していくものなんだろう。

科学ジャーナリストのいう疑い深いというのは、実験の不正云々の話ではない。
真面目に実験を行なって、それによって得られる結果に対して、正しいのかどうかを検証し、追求するという意味で疑い深い人間なのだ。

そのもともとの前提である実験がきちんと行われたかどうか、これについては、本当は疑う余地がないのだろう。
若山氏は、だから、真逆と思い、何も信じられなくなったのだ。

目の前で空中浮遊を見せられて、数々の奇蹟を見せられて、それがトリックであると村井氏は、少しでも疑がったのだろうか。
おそらく、入信前は、少しは疑ったんじゃないだろうか。
それでも、麻原やその取り巻きの話術によって、彼は本当の奇蹟であると騙された。

だが、こうなった今でも、村井氏はあの世から、こう叫んでいるかも知れない。
確かに、サリン事件はオウムのやったことだ。
それでも、尊師が見せた数々の奇蹟がなかったという証拠はない、と。

確かに、ないということの証明は難しい。
だが、それは屁理屈だ。
少なくとも、数々の不正が実験に加えられていたら、普通の人間は、その存在を疑う。
ないという証明はできなくても、不正が加えられた実験に対する結果は、どんな結果であろうと信用できるものじゃない。
そして、世間では、信用がなければ、証明ができなくとも無いと見做されても仕様がない。

寧ろ、此の期に及んで、証拠がないと言えるのは、極めて真面目で真っ直ぐな科学者らしい答えだなぁと思う。

だから、騙されたというのもあるかも知れない。
研究者というのは、もしかしたら、世間一般の感覚からは、少しズレているのかも知れない。

オウム事件では、多くの真っ直ぐで真面目な科学者が麻原の奇蹟を信じ、ハルマゲドンを信じ、結果、サリンを開発した。

今回の騒動は、オウム事件とは全然違う。
でも根底にある科学者の真っ直ぐさ真面目さを利用して騙したとしたら、よく似ているような気がする。



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