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2013年05月11日17:04

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『サラの鍵』

映画『サラの鍵』を観た。

(2010年 仏 監督:ジル・パケ=プランネール
出演:クリスティン・スコット・トーマス メリュジーヌ・マヤンス ニエル・アレストリュプ 
エイダン・クイン フレデリック・ピエロ ミシェル・デュショーソワ ドミニク・フロ)

劇場で観るのはほぼあきらめてたのに、運よく1週間だけアンコール上映がかかった。
これは是非観に行かねば!ということで劇場へ足を運んだら、完全満席状態…さすが話題作目

【1942年、ナチス占領下のパリ。ユダヤ人一斉検挙によってヴェルディヴに連れてこられた
人々の中に、少女サラはいた。それから60年後。パリに暮らすアメリカ人ジャーナリストの
ジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)は、アウシュヴィッツに送られた家族を取材する
うちに、かつて自分のアパートで起こった悲劇を知ることとなる。(シネマトゥデイより)】

原作はタチアナ・ド・ロネの同名小説。

この感じ…、どこかで感じたことがある映画の臭いだ。何だろう。…そうだ、『灼熱の魂』。
ある人物の足跡をゆかりの人物がたどっていく。全く違う国の話なのに、どちらの作品も
フランス語が飛び交う。『灼熱の魂』の衝撃度は相当なものだったが、さて、こちらはどうよ?

ヨーロッパの国々で描かれる戦争映画は、ハリウッドのそれとは全く違うテイストの作品が多い。
この作品もそうだ。1942年にフランスで実際に起こったパリのユダヤ人迫害事件が描かれて
いる。

パリに暮らすジャーナリストのジュリアは、この事件を取材していた。
そして、自分が住もうとしている新居が、その事件に関わりがあったということを知る。
彼女はそこに住んでいたサラという少女と、その弟の足跡をたどり始める…。

映画は1942年にサラと弟の一家に起こったユダヤ人迫害の事実と、それを追いながら
自らの人生の岐路に立たされる現代のジュリアの姿を交互に描いていく。

ユダヤ人迫害は本当に容赦がない。どの映画を観ても、その悲惨さに目をそむけずには
いられない。1995年のシラク大統領の演説でフランス国家が実際に迫害を行っていたと
いう事実を知ったフランスの若者たちは、どういう想いでこのシーンを観たことだろう。
歴史を直視することは、大切だ。恐らく、私たち日本人にもそれはいえるだろう。
でも、私にはそういう機会は残念ながらなかったなあ。

弟を守るため、納戸に弟をかくまい鍵を閉めたサラ。すぐに助けに来るから、それまで待ってて。
そして彼女は両親とともに、フランス警察に連行されていった。

サラの数奇な運命が、現代に生きるジュリアの心を大きく揺さぶる。サラは、納戸に鍵を
かけたが、やがて自分の心にも鍵をかけてしまう。そのサラの心の扉を、時代の壁を経て
ジュリアが開こうとしているのだ…。同時にそれは、ジュリアの周りの人々にも影響を及ぼして
いく。

『灼熱の魂』ほどの強い衝撃はない。ラストシーンで絶句するということもない。
最後にジュリアが発する一言が、どういうセリフなのかも簡単に想像できた。
分かっているのにその一言を聞いた時、涙がとめどもなく溢れてくるのだ。
まさに、サラの人生が肯定された一瞬だったのかもしれない。

(同じ事件を扱った『黄色い星の子どもたち』というフランス映画があるそうなので、今度は
それも観てみようかな。主役はメラニー・ロラン、ジャン・レノも出てるそうだ。)

哀しい歴史の事実と、それを踏まえて生きていく現代人の姿が等身大に描かれた秀作、かな。



『灼熱の魂』
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