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2013年05月16日18:00

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女性にとっての乳房とは?

アンジェリーナ・ジョリー、がん予防のため次は卵巣摘出
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=98&from=diary&id=2430579

1999年8月2日。

僕はいつも通り職場に行き、いつも通り仕事をしていた。
実はこの日、僕がいつも通り仕事をしていたこの日、母親はある手術を受けていた。



この年のGW、実家の母親から電話があった。
"1週間くらい前、風呂から上がって、何の気なしに自分の乳房を触ってみたら、左の乳房にしこりがあった。"

と、心配そうに母親は話した。

しこりは硬く石のようで、母親は気になって、気になって仕方なかったのだが、怖いので放っておいたのだそうだ。
誰にも話せず、どうしようかと悩んでいたのだが、思い切って今日僕に電話をしてきた。
僕が医療関係の仕事をしているから、何か知っているかと思ったらしい。

だが、おそらく母親は、しこりに気付いた時から、解っていたはずだ。
それが乳ガンであることを。
解っていたから、怖くて放っておいたのだし、僕に電話をしてきた。
僕に否定してほしかったのだろう。

癌の名前の由来は、実は乳ガンから来ている。
はるか昔、中国では癌を岩と書いた。
つまり、乳房に岩のように硬いしこりが出来、それによって亡くなる人がいた。
乳ガンだ。
乳ガンのしこりから、岩と呼び、今は癌と名称が変わり、悪性腫瘍の総称となっている。

僕は、電話でGW明けにもすぐ、病院に行ってちゃんと検査してもらうよう、母親に言った。
母親は、それで決心が着いたのだろう。
病院に行き、検査を受けた。

母親の乳房のしこりは、やはり腫瘍で、すぐに生検に回された。
細胞を採取され、調べることとなった。

検査結果の日、僕は仕事を休んで、母親の病院に付き添いに行った。
父親が仕事をどうしても休めなかったからだ。

結果は、初期であったが、やはり乳ガンだった。
母親は、医者と僕がいる目の前で、「死にたくない、死にたくない。」と泣いた。

病院の先生の話では、今の段階では左の乳房を切除さえすれば、命に関わる危険は少ないと言う。
つまり、左の乳房を全摘すれば。

命には代えられないので、僕は母親に代わり、病院の入院手続きにサインをした。
母親は、茫然自失していて、それどころじゃなかった。

女性にとっての乳房とは、僕らが思っているよりも大切なものだ。
僕がそう痛感したのは、それからしばらくしてだ。

実は、あの日の後、母親と父親は話し合いをして、手術を受ける病院を変えたのだ。
父親は、あの日の後、京都じゅうの病院で、乳ガン専門の病院がないかを調べて、見つけてきたのだ。
その病院は、乳ガン治療の権威だけでなく、如何にして手術をしても乳房を残せるかを治療の目標にしている病院であるらしかった。

母親はその病院で、診てもらったところ、全摘をせずとも、手術後に放射線治療を受けることで、4分の1の切除で済むことを説明してもらったのだ。
母親は、その説明を聞いて、転院することを選んだ。
もちろん、命は大切だが、女性にとって乳房というのは、本当に大切なものなのだということを僕は、その時に痛感した。
そして、それを知った上で、母親にとって一番納得のできる病院を探してきた父親に感服した。


1999年8月2日は、そんな母親が乳ガンの手術を受けた日だ。

あれから、14年が経とうとしている。
お蔭さまで、母親は今も乳ガンが再発することもなく、元気に暮らしている。

聞いた話によると、米国では乳ガンになると全摘手術はおろか、ついでにもう一方の乳房も全摘してしまうこともよくあるらしい。
つまり、ついでに切除しておいたほうが、再発のリスクも少ないということだろう。

そして、今回のアンジェリーナ・ジョリー。
彼女のように、将来的にガンになるリスクが高いからと、予めガンになる前に両方の乳房を切除してしまうケース。

これは、大変合理的と言われれば、合理的な考え方なんだろう。
だが、はたしてそれが総ての女性に受け入れられる考え方かといわれれば、決してそうじゃないと思う。

僕は男だから、女性の乳房に対する思いは、本当のところはわからない。
貴女はどうだろうか?
貴女にとっての乳房とは?

僕の母親は、64歳になった今でも銭湯に行けば、自然と左の乳房を隠しているという。
4分の1の切除で済んだとはいえ、その乳房は右の乳房と比べると歪で、それがいつまでも恥ずかしいという。

僕は、この母親の気持ちこそが答えなんじゃないだろうか、と思うのだ。

女性にとっての乳房とは?
そして、貴女にとっての乳房とは?
どうでしょうか?
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