mixiユーザー(id:23621043)

2012年12月15日22:18

68 view

【文字起こし】2012.12.14 報道するラジオ 小出裕章氏出演分【後編】

後編です。
「使用済み核燃料の処分法が決まっていないのに、核燃料サイクルをやめるなんて無責任だ(キリッ」という原発推進派の詭弁に小出さんが反論してくれました。

と言うか、無責任の権化みたいな原発推進派が責任を語るんじゃねえむかっ(怒り)

前編はこちら→http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=23621043&id=1884786067




【文字起こし・続き】

●使用済み核燃料の処分法と核燃料サイクルについて(13:18〜)

水野:はい。では次のご質問行かせて下さい。今度はラジオネーム「たまねぎちゃん」という方でございます。原発を止めてしまうと、直ちに電気が足りなくなって、経済に影響すると、言っている人もいますが、というメールをいただきました。この原発を止めた場合ですが、使用済み核燃料の処分地や、処分方法が決まらない現状で、核燃料サイクルの計画を断念すれば、使用済み燃料や、高レベルの放射性廃棄物の、行き場がない。だから、核燃料サイクル計画を、今放棄するのは無責任だと、いう考え方もありますよね?どう思われるでしょうか?と。

小出:(笑)

水野:いうことなんです。いかがでしょうか?この、小出さんは、今すぐ原発も核燃料サイクル計画もやめた場合に、使用済み核燃料は、どうするべきだと・・・思われますか?

小出:どうしようもないのです。

水野:どうしようもない?

小出:はい。要するに私たちは原子力というものを、やってしま・・・ったわけですが、やってしまうと、核分裂生成物という放射性物質ができてしまう、のです。もう避けようがなくできてしまうし、それを無毒化する手段というものを私たちは持っていない、のです。そのため、原子力発電というのは、当初から、トイレのないマンションと、呼ばれてきました。リスナーの方々の中にも、結構豪華なマンションにお住まいの方が、いらっしゃるかもしれませんけれども、トイレがなければマンションには住めない、のです。

水野:うーん、そうですねえ。

小出:ですからそんなマンションはつくってはいけない、ということだったはずなのですが、いつか、トイレができる、という風に期待してしまって、今日まで来たのですけれども、

水野:今、仰ったこの、トイレという一つの比喩が、核燃料サイクル。ぐるぐる回していくってそういうものだと思っていいんですか?

小出:えー、核燃料サイクルというのはですね、ん・・・説明をしようと思うと大変な時間がかかると思うのですが(笑)、

水野:(笑)すみませんね本当に。

小出:はい。あのー、生み出した放射性物質のうちの、ごくごく一部のプルトニウムというものを、取り出して、それをまた原子力発電の燃料にしようとする、そういう計画が核燃料サイクル、でした。

水野:はい。

小出:でもそれは、もう全く、夢の夢で、もうできないのです。はい。それはもうあの・・・政府の方も断念していて、高速増殖炉という原子炉、もんじゅという原子炉があって、核燃料サイクルの要だったのですけれども、それがもう、機能しないので、いずれにしてもそれはもうやめるということを政府自身がもう決めている、のです。ですから核燃料サイクルが実現できるなんていうことはもう元々ない、のです。あとは、生み出してしまった放射能を、どうするかということだけ、が今残っていて、え・・・大変申し訳ありませんが私も実は分からない、のです。

水野:ええ・・・。

小出:しかし、もしこれから原子力をやってしまえば、どうしていいか分からないゴミが、どんどんどんどん増えてしまうという、そういうことになってしまうわけですから、一刻も早く、そういう選択はやめて、少なくともこれまでに作ってしまった放射能、それだけを何とかしなければいけないという、その深刻な課題に向き合うべきだと私は思います。

水野:でもこの核のゴミというのは、とにかく・・・今あるわけで、それを何とかしなきゃいけないってことは、いずれにしてもありますよね?

小出:そうなんです。

水野:具体的に、どこに、どう・・・するんですか?

小出:はい。日本の国は、それをどこか、国内・・・で、埋め捨てにしようとして、地方の財政が困窮した所に行って、お前のところに埋め捨てさせろと言って、これまで20年ぐらいに渡って、探してきたのですけれども、どこの自治体も、それだけは嫌だと言って、受け入れることを拒んできました。結局、日本国内に埋め捨てにする場所もないまま、ここまで来てしまいまして、今日本の国は、それをもうモンゴルに持って行って埋め捨てにしようというような、計画まで出してくると、いうことになっています。私は大変恥ずかしい国だと思います。

水野:埋め捨てるって仰いましたが、これは地面の中に、眠らせるって意味ですか?

小出:はい。え・・・これまでの計画で言えば、300メートルから1000メートルの深い穴を掘って、そこに埋めてしまおうという案が、日本の国が作った唯一の案として、もう既に法律で決められて、います。

水野:はあ・・・。

小出:ただし、え・・・埋め捨てにして、ずーっとそこに、いて欲しいわけですけれども、そこにいて欲しい時間の長さが、10万年から100万年と、いう長さなのです。

水野:無害になるまで?

小出:はい。無害にはならないのですけれども、

水野:ああ、そうですか。

小出:はい。元々・・・はウランというものを掘り出してきて、今原子力に使ってるわけですけれども、ウランが持っている放射能と、同じレベルに減るまでには10万年から100万年、と言っているのです。でもそんなことできる道理がないわけで、今年の9月に、日本の学術会議という学者の国会のような機関があるのですが、

水野:ええ。

小出:その機関・・・が、それはやはり正しくないと。埋め捨てにしてしまってはもう取り返しがつかないので、何十年何百年か分からないけれども、え・・・私たちの目の黒いところで監視できるような形で、保管をするしかないと、いう提言を出したところです。

水野:どうやって保管するんですか?

小出:えー、これもよく分からないのですが、まあ、建屋を建てる、あるいは、比較的浅い地下に、保管の施設を作って、そこに・・・核分裂生成物、まあ放射能の塊を、とにかく入れて、環境に漏れてこないように、ずーっと監視をし続けると、いうことしかたぶんできないと思います。

平野:これまでも、地震列島を考えれば、非常にこう、危険ですよねえ。

小出:そうです。え・・・日本という国は、世界の1割2割の、地震が起きるという、そういう地震国なわけで、地上に、大丈夫だろうと思う建物を作ったとしても、それすらがやられてしまうという危険はあるわけですから、どんなことをやっても、完璧だというような手段はもうない・・・のです。ですからもう大変困った状況に今、私たちは追い詰められて、いるうわけで、これ以上、毒物を作らないということをまずは決断しなければいけないと思います。

水野:再処理をしない、止めたら、ん・・・なんて言うんですか、再処理してもしなくても、毒物はずっとあるわけですよね?

小出:そうです(笑)

水野:だけど(笑)、再処理を・・・諦めてしまうと余計困ったことになるというのは、やりようが見つからないという意味なんですか?

小出:えー再処理というのはですね、何か皆さん、再処理をすると放射能が消えてくれるか、という風に・・・

水野:うーん、何かそういうイメージがある・・・。

小出:思われているかもしれませんが、

水野:はい。

小出:再処理という作業は、できてしまった放射能の中から、プルトニウムという原爆材料を取り出すという、ただそれだけのためだし、それ以外のことは何もできない、のです。で、プルトニウムという物質を取り出してしまうと、それは今聞いていただいたように原爆材料なのです。で・・・それを日本の国は高速増殖炉という、原子炉で燃やすんだ、燃料にするんだと言ってきたわけですけれども、その高速増殖炉は全然動かないわけですから、取り出すこと自身に全く意味がありませんし、取り出してしまうと原爆材料を抱え込んでしまって、それもまたどうしていいか分からないということで、国際的に非難も受けているわけです。ですからまずは、再処理なんかしてはいけない、のです。再処理なんかすればするだけまた余計な困難を抱えてしまうということになります。


●復興予算が核融合研究費に流用されていた件について(22:14〜)

水野:はい。次はラジオネーム「たねまきさん」という方のご質問なんですけど、復興予算の中から、核融合研究費、っていうものが160億円以上執行済みや、という報道を見ました。この、熱核融合、レーザー核融合推進って、何ですか?

小出:ふふふ(笑)

水野:何なんですか?

小出:ふふっ(笑)。そうですね、えー、今私たちは原子力というものに手を染めています。それはウランを核分裂させて、エネルギーを取り出そうという試みですけれども、ウランを核分裂させたのが、原爆です。ですから原爆・・・に使った技術を、エネルギーを取り出すために使おうとしているのが、現在やっている原子力発電所です。では核融合とは何かというと、水爆です。

水野:ええーっ?

小出:はい。え・・・原爆はウランの核融合だったわけですけれども、

水野:はあ。

小出:水爆というのは、水素、あるいはまあリシウムというような特殊な元素があるのですけれども、そういうものを分裂させるのではなくて、今度は融合させて、エネルギーを取り出すという爆弾が、水爆だったのですけれども、それを、地球・・・の、どこかで実現させて、エネルギーを取り出そうという試みが、核融合というもので、え・・・熱核融合、あるいはレーザー核融合、あるいはまあ常温核融合というような、いろんなことが言われてきましたけれども、え・・・言われてきただけで、全く実現の見通しがありません。

水野:はあ・・・。

小出:少なくとも21世紀中に核融合が、地球上のどこかで実現できると思っている科学者は誰一人いないと、私は思います。

水野:はあ。

小出:え・・・この日本という国で、原子力発電所の事故が起きて、人々が大変困難な・・・状況に突き落とされている中で、そのための復興予算というのはもう本当に必要なお金のはずなんですけれども、そんなお金を核融合研究に使うなんていうことは、私は、犯罪とでも呼ぶべきだと思います。

平野:先生これ、国立大学の、その専門・・・学部でこの核融合の、もうあの・・・専門的に、研究してる所けっこう多いですよね?

小出:はい。あります。

水野:へえー?

小出:あんまりあの、多くはないですね。

平野:多くはないんですか。大阪大学なんかはそうじゃないですか?

小出:はい。あの、大阪大学はレーザー核融合というものをずーっと、研究を続けてきているのですけれども、レーザー核融合というのは、これまでやってきた核融合研究の中ではむしろ異端、なのです。え・・・いわゆる正統派の核融合研究というのは、トカマクという形の核融合反応を実現しようとしていまして、現在はイーターという、え・・・国際的な核融合用の、実験装置を作ろうとして、え・・・EUと、あとは米国、ロシア、日本、韓国、インド、中国というような、EUプラス6カ国が集まって、熱核融合反応炉というものを作ろうと、して・・・いるのです。そのためにまあ、核融合研究・・・の、ほとんどの勢力はそこに集まっていて、何とかしようとしているのですが、それすらが、今聞いていただいたように、21世紀中に実現できるという見込みはほとんど、ありません。で・・・大阪大学のレーザー核融合は、それよりももっと、もっと実現の可能性が低いという、そういうものです。


●海洋汚染とストロンチウムの毒性について(26:11〜)

水野:じゃあ最後に、短くお答え頂きたいんですが、

小出:はい。

水野:ラジオネーム「とんみ」さんという方は、福島第一原発事故においての海洋汚染について教えてください。まあ、海の放射能って希釈されるね、薄くなっていく・・・と言われてますけど、今どうなんでしょうか?

小出:はい。もちろん海も汚れています。まずはその、空気中に大量の放射能が出て、地球全部に、もう福島第一原子力発電所から放出された放射能が、大気中にばら撒かれて広がっています。そして一部の、ばら撒かれた放射能の一部は、陸に落ちて、いわゆる固体として、今大地を汚してしまっていて、それによって福島・・・周辺の人たちが、被曝をし続けているという状況にあるわけです。ですから気体と固体というのはもう、既にもうどうしようもない状態で、あるわけですし、あとは液体として、海に流れていっているのものが、今汚染を広げている、のです。で・・・福島、あるいは宮城、岩手もそうですけれども、瓦礫が、太平洋を流れて、米国にたどり着いた、カナダにたどり着いたと、もう既になっているわけですけれども、放射能も同じように、何ヶ月、あるいは何年という単位を経ながら、太平洋全体に広がっていくわけです。そして、陸上であれば、例えば野菜は、そこで獲れるわけですけれども、海というのは魚が泳いでいるわけで、例えば福島・・・の周辺で汚染された魚も、宮城、岩手、北海道、あるいはまた、茨城、千葉という風に、どんどん泳いでいってしまっているわけで、汚染はこれからどんどんどんどん、広がっていってしまうし、今現在私が、陸上で心配してるのはセシウムという放射性物質だけ、まあ、だけというのは言い過ぎかもしれないけれども、主要にはセシウムだと私は思っていますが、海の汚染の場合には、今度はストロンチウムという、セシウムに比べて、また、毒性の強い放射性物質に対しても、注意が必要になるだろうと思います。ただストロンチウムの測定は・・・

水野:ストロンチウムの毒性って・・・ええ。

小出:大変難しいので、これからどこまで測定して、データが公表されてくるのかという、そのこと自身も心配です。

水野:ストロンチウムの毒性を、一言で教えていただくと、どのようなものでしょう?

小出:はい。えー、ストロンチウムというのはカルシウムと同じような、化学(ばけがく)的な挙動を取りますので、骨に蓄積してしまいます。一度骨に蓄積してしまいますと、もう排泄することもなくて、ずーっと体内に止まってしまうと、いうことになりますので、え・・・生物学的な毒性ということを考えれば、セシウムの何倍も危険が高いという・・・いう、放射性物質です。

水野:あのー、色々と教えていただいて、ありがとうございました。またリスナーの方々からのご質問もまだまだ、お寄せいただいておりますので、このような機会にこの番組で、またお答え頂きたいと思います。本当にどうもありがとうございました。

小出:はい。ありがとうございました。

平野:ありがとうございました。

小出:ありがとうございました。

水野:京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんに伺いました。

【文字起こし終了】
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する