感動して泣いていた時間はどのくらい? - シチズン調べ
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僕はもともと、感情の起伏に乏しい方で、いわゆる感動モノの話や映画、ドラマを観たり聞いたりしても、まず感動して涙を流すなんてことはなかった。
特に、子供の頃親父に、男は人前で泣くときは、自分の両親が死んだ時くらいだ、と教えられたせいか、僕は、嫁の前でさえも、これまで涙を見せたことはなかった。
涙を見せることじたいが、気恥ずかしいのだ。
そんな僕だったが、結婚し、子供ができると涙もろくなった。
これは、歳のせいなのかも知れない。
とかく、子供の成長ぶりや子供のやることに対して、大層感動したり、心を打たれたりする。
この変わりようには、嫁も半ば呆れている。
先日も仕事が終わって家に帰ってくると、3歳の息子、はるちゃんがリビングのテーブル向かって、何やら一生懸命やっている。
画用紙に、マルやら線を描いたり、色を塗ったりしているのだ。
何を描いてるんだろうと、はるちゃんに訊いてみると、はるちゃんは、
「はるちゃんな、しずこ先生にお手紙書いてるねん。」
ということだった。
どうやらはるちゃんは、通っている幼稚園の担任である、しずこ先生にお手紙を書いているらしい。
はるちゃんはまだ、字が書けないから、しずこ先生の似顔絵を描いて、先生に渡すつもりなのだ。
それを聞いて、はるちゃんの成長に心を打たれ、ジーンときていると、嫁が嬉しそうに僕の顔を覗きこんできた。
こんなことで、感動するなよ、と言いたいのだろう。
それから数日経った昨日、家に帰ってくると、はるちゃんが玄関まで、走って出迎えに来てくれた。
「パパ〜!!これ見て!!はるちゃんな、しずこ先生にお手紙貰ってん!!」
はるちゃんが、嬉しそうに僕に紙片を渡してくれる。
紙片は、電車の形に切り取られた模造紙だった。
模造紙を開くと、中には
"はるちゃんへ、おてがみありがとう。たいせつにするからね。 しずこせんせい"
と書いてある。
はるちゃんへ、しずこ先生からの心のこもったお手紙だった。
僕は、しずこ先生のはるちゃんへの思い遣りに、感動して、今度はウルウルしていると、今回は嫁ではなく、はるちゃんの弟、1歳のみのりくんが、嬉しそうに駆けてきた。
みのりくんも、何か手に紙を持っている。
それを僕の方へと渡してきた。
どうやら、『僕もお手紙を貰ったよ、見て、見て』、と言いたいのだろう。
ちなみに、みのりくんは保育園に通っている。
みのりくんに渡された紙を受け取り、中を見てみると、
それは、来週の土曜日に行われる、保育園の運動会の案内のプリントだった。
僕の先ほどの感動は、みのりくんによって、どこかに吹き飛んでしまった。
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