シューリヒト事件と今回が凄く似ている気がします。
****
ニューヨーク(CNN)
米名門オーケストラ、ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団の
コンサートの最中に観客の携帯電話が鳴り響き、指揮者が演奏を
ストップするハプニングがあった。
観客席で携帯電話が鳴ったのは、10日夜に同オーケストラが
マンハッタンで行った公演でマーラーの交響曲第9番を演奏している
最中だった。
会場にいた観客がツイッターやブログで伝えた話を総合すると、
交響曲は最後のクライマックスを過ぎて「音楽と静寂が入り混じる」
極めて繊細な場面。タイミングは最悪だったという。
鳴っていたのはステージ左型の最前列に座っていた高齢の男性の
携帯電話だったが、この男性は身じろぎもせず、マリンバの音の
着信音は3〜4分あまりも鳴り続けたという。
音に気付いた指揮者のアラン・ギルバート氏は手を止めて演奏を中断。
会場には着信音だけが響き渡った。
ギルバート氏は持ち主に向かって「終わりましたか?」と尋ねたが、
返事がなかったため「結構です、待ちましょう」と言い、指揮棒を
譜面台の上に置いた。
着信音はさらに何度か続いた後、ようやく鳴りやんだという。
苛立った観客からは「1000ドルの罰金だ」「そいつを追い出せ」
と叫ぶ声も上がったが、大半の観客の「シーッ」といさめる声に
制された。
ギルバート氏は
「通常であれば、このような妨害があっても止めない方がいいのですが、
今回はひどすぎました」
と断った後に、オーケストラの方を向き、「118番」と指示して演奏を
再開。
観客からは拍手が上がった。
同氏はニューヨーク・タイムズ紙に
「非常にショッキングな出来事だった。
あの作品の中でも崇高な感情が高ぶる部分で、
乱暴にたたき起こされたようなものだ。
壇上の全員ががく然とした」
とコメントしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120113-00000008-cnn-int&1326421263
*****
シューリヒト事件
カール・シューリヒト指揮
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
マーラー:交響曲「大地の歌」
1939年10月5日 アムステルダム
マーラーの「大地の歌」終曲の「告別」の演奏途中で、
客席の女性が急に立ち上がり
"Deutcheland uber alles, Herr Schuricht !"
と声を掛けます。
この演奏会の録音は現在でもCDで市販されていて、
大きな声でしっかりと聞き取れる程、伝説化しました。
戦時中ナチスドイツは、ドイツ圏内でのマーラーの演奏を
禁止しました。仕方なく指揮者シューリヒトはオランダの
アムステルダムでマーラーの演奏を実現したのです。
その中で見事に演奏会をぶち壊されたのでした。
しかもクライマックス、凄い嫌がらせです。
今回のは、携帯電話を使用したその現代版でしょうか。
4分も鳴らし続け、しかも指揮者からのメッセージを
全く無視したのは、目的があったとしか思えません。
9・11の10年として昨年9月10日に
マーラーの交響曲「復活」を演奏した
アラン・ギルバート&ニューヨーク・フィル
昨年の年間トップニュースがビンラディン氏の暗殺でした。
この2つを捉えて関連付けたるのは余りしたくは無いのですが、
4楽章の終わりの静かな静かな数小節で鳴らしたと云うのは
凄く高度な計画だと思ってしまいます。怒りはごもっとも。
こんな報復が、もう続かないことを願って。
ログインしてコメントを確認・投稿する