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2024年04月23日15:53

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天才ヴァイオリニストと消えた旋律(The Song of Names)

 「海の上のピアニスト」のティム・ロスと「トゥモロー・ワールド」のクライブ・オーウェンが共演した音楽ミステリー。1938年、ロンドンに住む9歳のマーティンの家に、類まれなバイオリンの才能を持つポーランド系ユダヤ人の少年ドヴィドルがやって来る。マーティンと兄弟のように育ったドヴィドルは、21歳でデビューコンサートの日を迎えるが、当日になってこつ然と姿を消してしまう。35年後、コンサートの審査員をしていたマーティンは、ある青年のバイオリンの音色を聴き、がく然とする。その演奏はドヴィドルにしか教えられないものだったのだ。マーティンは長い沈黙を破ってドヴィドルを捜す旅に出る。監督は「レッド・バイオリン」「シルク」のフランソワ・ジラール。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのハワード・ショアが音楽を手がけ、21世紀を代表するバイオリニストのレイ・チェンがバイオリン演奏を担当。(映画.comより)





<2024年3月28日 録画鑑賞>

 日本では2021年に公開された映画なんですね。知らずに録画で見たけれど、新しい映画だったのですね。お話の最初は「シャイン」みたいな出だし。ヴァイオリンの才能を持つポーランドの少年ドヴィドルが、イギリスの裕福な家庭に英才教育を受けるために預けられます。まだ小さいのに、祖国や両親とも離れて英才教育を受けるのですね。当時はまだ第二次世界大戦前。多分イギリスの上流階級では、文化の発展に貢献することが良しとされていたのでしょう。自腹を切って他人の子を教育するわけですから。

 ここで「シャイン」と違うのは、預かった家庭にも同年代の男児マーティンがいたこと。そして彼にも音楽の才能があったこと。もちろん、自分の家に親の愛情を二分する存在が急に現れるわけですから、マーティンも最初は不服に思います。しかし、そこは子供同士。すぐに仲良しになります。気丈なドヴィドルはすぐに頭角を現し、マーティンの父親も名器を買い与えたりして彼に期待します。もちろん、生活に不自由はありません。

 書き忘れてましたが、冒頭、ドヴィドルのデビューコンサートが描写されます(多分20代)。”若き天才”見たさにたくさんの人たちが詰めかけ、社会的地位の高い人々も臨席していました。しかし、ドヴィドルは現れなかったのです。意を決した父親はコンサートの中止を発表し、チケット代は返金されました。しかし、精神的ダメージは大きく、後にわかることですが、父親は多くの財産を失ったうえ、2か月後には亡くなってしまうのです。

 失踪したドヴィドルの行方はわからないまま、マーティンは別の人生を歩み、今は音楽教師として若い音楽家の審査もしています。ある時、ドヴィドルの演奏を想起させるヴァイオリニストに出会い、そこから彼の”ドヴィドル探しの旅”が始まるのです。映画は、過去の回想を交えながらの彼の捜索がメインストーリーとなります。上に書いた話は、その過程で出て来る回想シーンです。

 しかし、皆さん歴史で習った通り、1939年には第二次世界大戦がはじまり、ポーランドはナチスドイツに侵略されるのでしたね。そんな歴史も重なり、家族の安否もわからないドヴィドル、家族が殺されたことを知って気がおかしくなってしまう同郷の仲間、それでも恩師の期待を裏切るまいとがんばっていたドヴィドルでしたが、ある出来事でコンサートをフイにしてしまっていたのでした。

 結論から言うと、マーティン(ティム・ロス)の捜索は実を結びます。諸事情もお互いに理解し合えます。しかし、だからと言って、何がどうなると言うのでしょう。ましていまさら。悲しすぎます。

 一番ラストで、ティム・ロスが「カディシュ(ユダヤ教の賛美歌)を読む」シーンがあります。ここ、仏教徒の日本人には理解できないので、私も何をしているのかわからなかったのですが、調べるとこんな感じでした。



《ユダヤ教》カディシュ◆1日に3回行 われる礼拝の最後に唱えられる、神をたたえる重要な祈り。 幾つかの変種があり、通例"say kaddish"と言う場合は葬儀や喪服期間 に唱えられるmourners' kaddishを指すことが多い。



 これを知ってて見るほうがラストの理解も深まると思うので、参考にしてください。
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