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2024年02月01日13:09

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1月の読書記録

先月はもう少しで6千頁に達することができたのに、果たせなかったのが、ちと悔しい。後、二日酔いで半日潰れることが結構重なったしな(苦笑)。

2024年1月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:5950ページ
ナイス数:218ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly/2024/1
■賭博者 (光文社古典新訳文庫)
以前、新潮文庫版で読んだものを、新訳にて再読。新潮版では、とにかくおばあさんの常軌を逸した破滅的な賭け方に、度肝を抜かれたというか、半ば嫌気がさしたという印象があるが、そこは今回も変わらなかった(笑)。ただ、今回読み返してみて、印象的だったのは、むしろ主人公アレクセイとポリーナ、及びブランシュとの関係性か。とりわけ前者の複雑な性格と言動は、一読しただけではなかなか理解しがたい。そして、解説にもあるようにマゾヒスト的要素があるアレクセイとの絡みは、読者に様々な想像を喚起させる。詳細な解説が魅力的。要再読。
読了日:01月31日 著者:ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/14942563

■サキの忘れ物
二冊目に読んだ著者の短編集。長編とはかなり違った作風の作品があるのにちょっとびっくり。特に面食らったのが、旅行代理店を舞台にした「ペチュニアフォール〜」ごくごく軟らかい営業トークと、その裏で示唆される多くのブラックな事情のギャップが妙。それと、これまたブラックな展開を秘めた「真夜中を〜」もゲームブックの体裁をとった異色作。いきなり家に入れなくなったという設定が妙にリアル。後、「王国」は幼稚園で展開される女子同士のドロドロの関係性がかなり怖い(笑)。そしてそれから現実逃避しようとする主人公の姿が切ない。
読了日:01月30日 著者:津村 記久子
https://bookmeter.com/books/15995775

■浮遊霊ブラジル
著者の単行本では初めて手に取る短編集。これまで読んできた作品から、こういう作風の作家なんだろうな…と勝手に想像してきたものとは少なからず違うものに出くわすことになり、かなりびっくり。後、印象に残ったのは。著者自身とは縁遠いはずの中高年の視点から綴られるもの。恐らく、著者が接したことのある男性の経験談が多少なりとも影響しているのだう。それでもそのタイトルからは、おおよそその内容が想像しづらい表題作のストーリー展開には、著者の力量に唸らされることに。また、冒頭の作品で描かれる中高年男性の姿に身につまされた。
読了日:01月27日 著者:津村 記久子
https://bookmeter.com/books/11167074

■ドストエフスキーとの旅: 遍歴する魂の記録 (岩波現代文庫 文芸 340)
数頁程のごく短いエッセイを集めたものだが、殆どそのどれもに、ドラマというべき、熱い展開が綴られていて、ぐいぐい引き込まれ、一気読み。とりわけ惹きつけられたのが、著者自ら文学少年と呼んだ、『罪と罰』の読書体験から大学時代までの読書遍歴。とにかくその早熟な読書歴に深い憧憬と嫉妬を覚えてしまう。それともちろん忘れていけないのは、タイトルにもある著者の旅行記。恐らく、今後足を踏み入れることのない、ロシアを中心とするドストエフスキーゆかりの地の描写に、少なからず興奮を覚える。また巻末で触れられるコロナ禍が重たい。
読了日:01月26日 著者:亀山 郁夫
https://bookmeter.com/books/18693228

■中世哲学入門 ――存在の海をめぐる思想史 (ちくま新書 1734)
サブタイトルには「海」とあるが、広大な底なし沼を垣間見た気になった(笑)。一応、これまでに何冊か中世哲学に関する著作を読んできたので、それなりに理解できるかと思いきや、主に扱われているのが、ドゥンス・スコトゥスというややマイナーな哲学者の思想である上、これまで殆ど聞いたことのない哲学用語や哲学者の名前がこれでもか!というくらいに頻出するのに、つい頭がくらくら(苦笑)。それでも、著者の平易な語り口に惹かれて何とか読了できたが、恐ろしいことに、殆ど理解が叶わなかった本書を今後何度も読み返す気になった(苦笑)。
読了日:01月25日 著者:山内 志朗
https://bookmeter.com/books/21265996

■口訳 古事記
四百数十頁という比較的大部でありながらも、著者の軽妙な文体と、小気味良い河内弁による会話分にぐいぐい引き込まれてほぼ一気読み。これまで、あまり興味を覚えなかった『古事記』との距離がグッと縮まった感がある。無駄に長く感じが連なる個人名に若干ひるんだけれど(笑)、ストーリーそのものが比較的単純なので、そう恐ることはなかった。それはそうと、予備知識として知ってはいたが、こうやって全編を読むと、そこで描かれる神々や皇族のやってることのえげつなさに改めて呆れる(笑)。また地名などに関する注釈が欲しかったかも。
読了日:01月25日 著者:町田 康
https://bookmeter.com/books/21131093

■ドストエフスキー 黒い言葉 (集英社新書)
ドストエフスキーという作家の奥深さ、底知れなさを改めて痛感。既知の情報が少なからずあるのにも関わらず、それでも鮮烈な印象を覚えてしまうのが不思議。また、それと同時にロシアという国が抱えるDVやアルコール依存などの病理についても改めて考えさせられることに。そのような 病理を抱えた土壌だったからこそ。あのような強烈な作品が生み出されたのか…と考えると複雑なものがある。ドストエフスキーとキリスト教(特に異端派)との関係、革命思想や帝政へのスタンスなど、まだまだ考察の余地あり。未消化感が強いので、読み返すかな。
読了日:01月23日 著者:亀山 郁夫
https://bookmeter.com/books/18193010

■全身翻訳家 (ちくま文庫)
図書館で度々背表紙を目にしながら、ずっとスルーしてきたことを深く後悔させられた。翻訳という言葉との限りなき格闘を強いられる作業の困難さが如実に伝わるとともに、著者特有の軽妙な語り口に、ついクスリとさせられることも少なからずある。前も感じていたことだが、鴻巣氏は翻訳だけではなく、創作をさせてもいけるのでは…と思わせるくらい文章が巧み。せめて一度くらいは小説に挑戦してほしいと思うことしきり。また、長らく続く出版業会の不況の最中でも、文章が書かれ、出版され、そして翻訳する(される)という事実に少し安心する。
読了日:01月23日 著者:鴻巣 友季子
https://bookmeter.com/books/3892629

■悪文 伝わる文章の作法 (角川ソフィア文庫)
SNS他、職場でも少なからず文章を書く機会があるため、日頃の自分が書く文章について、考えさせられることしきり。また、その内容の興味深さと面白さにほぼ一気読み。それから、驚かされたのが、引用される文章に新聞雑誌など、公に出回っているものがかなりの割合を占めていること。それら、文章のプロが書き、さらに編集者の目を通して世に出たものが、悪文の参考例として挙げられている…この事実をその方面の関係者はどう受け止めたのか?それに本書が世に出て半世紀を経た今、本書の訓戒は果たして、効果をもたらしかのかが気になる。
読了日:01月19日 著者:岩淵 悦太郎
https://bookmeter.com/books/11191009

■宙返り(下)
後期大江がこれほどの作品をものにしていたとは!前編の『燃え上がる〜』が未読なため、正確な批評が困難なのは否めないが、それでも本作品は今後様々な意味で俎上に上げられ、また評価に値するものだと思う。とりわけ、反キリスト教というスタンスを掲げながら、なおかつキリスト教に寄り添う姿勢を隠さない師匠(パトロン)のあり方には、一キリスト者として大いなる興味を喚起させる。それだけでなく。一読しただけでは理解の及ばない数々の謎を散りばめた一作。再読したいが、まずは一息ついた後のほうが良さそう。とにかく凄まじい読書体験。
読了日:01月18日 著者:大江 健三郎
https://bookmeter.com/books/432007

■自由対談
とにかく内容の濃い、読み応えのある対談集で、2百数十字で乾燥を述べるのは無理。とりわけ、興味深く読めたのは、最も対談数の多い亀山郁夫とのものか。改めてドストエフスキーの魅力や底知れなさを痛感させられると共に、自分の読みの甘さも思い知らされることに。また、ドストエフスキーだけでなく、作家という人達が、常人には到底及ばないレベルで深い読み込みをしているということ、また、小説を書くにはある種の憑依が必要という事実に、やはり自分には小説家になれないと再認識(笑)。また、再三指摘されている日本の劣化に深く嘆息…
読了日:01月17日 著者:中村文則
https://bookmeter.com/books/19810816

■宙返り(上)
後期大江作品の中でもこれは傑作といえるのではないか?という気にさせられた。主人公に対する大江自身の投影が比較的希薄なのが、個人的に好感が持てる。また、オウムをかなり意識し、また実際にオウムの名前も引き合いに出される、新興宗教団体の教祖、およびその信徒達の姿に、真摯という言葉では片付けられない、人間の在り方を如実に抉り取ったという感さえ覚える。その団体と奇妙な関わり方を持つに至った木津とその若い恋人郁夫の関わりには、一抹のどぎつさを感じないわけではないが、それでも一つの愛の形として読む者の心をうつはず。
読了日:01月13日 著者:大江 健三郎
https://bookmeter.com/books/310335

■ダブリン市民 (新潮文庫 シ 3-1)
約二十年ぶりに読んだが、全くといっていいほど、内容を覚えていなかった(笑)。恐らく、その当時、キリスト教やアイルランドの事情に疎かったため、内容が頭に入ってこなかったのだろう。アイルランドという複雑な歴史を持つ国に生きる市井の人々の悲哀が何とも心に染みた…というと、あまりにありきたりか?ただ、この作品集が後の『フェネガンズ』にどうつながっていくのかは、個人的に謎だけれど。ただ、解説によると、後の「意識の流れ」を描く作風にも通ずる箇所があるとのこと。とにかく、収められた作品のどれもが味わい深い。要再読。
読了日:01月11日 著者:ジョイス
https://bookmeter.com/books/532461

■倫理学入門-アリストテレスから生殖技術、AIまで (中公新書)
おおむね興味深く読めたものの、倫理と道徳の違いや、各種の倫理学の立場の違いなど、理解があやふやな要素が少なくないため、再読が必要か。ただ、何が究極の倫理かという、おそらく究極の答えが出ない問題について、あえて考察を重ねる意味について改めて考えさせられた。いみじくも、先に安易に答えを知ろうとする動きを告発した『ファスト教養』を読んだだけになおさら。また、巻末近くに記されたSF仕立ての寸劇「星界からの客人との対話」は、かなり風刺が効いたものでこれだけでも読んでおくべきかも。人間という存在の罪深さを痛感。
読了日:01月08日 著者:品川 哲彦
https://bookmeter.com/books/16111553

■記号論講義 ――日常生活批判のためのレッスン (ちくま学芸文庫)
六百頁を超える大部でありながら、平易な語り口に惹かれて、ほぼ一気読み。これだけの多岐に渉る内容を、殆どだれずに読ませるというのは、相当の力技と言えるのでは?ただ、理解の程はやや心許ないというのも事実。しかし、著者が後書きで示唆しているように、本書は今の我々を取り巻く世界について考えるためのメソッドというべきもので、一回読んで終わりというものではなく、事あるごとに立ち返るべき指南書だとも言えるのかもしれない。個人的にとりわけ刺さったのは、政治について語った9章だろう。これは教育に関わる人全てが読むべき。
読了日:01月06日 著者:石田 英敬
https://bookmeter.com/books/16049259

■「嵐が丘」の謎を解く
こういう文学作品の解説書とは、それを読んで、読者に作品の全てを解った気にさせるものではなく、新たな発見を呈示すると共に、更なる謎を読者に示唆し、次なる興味を喚起させるものだということを改めて痛感。著者後書きにもあるように、これまで夥しいまでの『嵐が丘』の研究書が出ているが、それでもそれらの書物だけではあかすことができない謎と魅力が『嵐が丘』に潜んでおり、いみじくもその事実が、古典たる証拠となっているということだろう。一見、生前には結ばれることのなかった二人の悲恋物語に思える作品が孕む複雑な構造に驚嘆。
読了日:01月03日 著者:廣野 由美子
https://bookmeter.com/books/24132


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