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2023年10月01日18:02

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落語覚書/よってたかって秋らくご(夜の部)

9月30日(土)18時開演@銀座ブロッサム中央会館

 柳家ひろ馬「浮世根問」
 林家きく麿「童謡作り」
 春風亭一之輔「千早ふる」
 仲入り
 三遊亭白鳥「それゆけ!落語決死隊〜コロナ退治」
 柳家喬太郎「ウルトラ仲蔵」

この会もその時々で差が激しいのだが、今回は当たりかハズレか…。
昼の部と迷ったが、向こうは伯山が出るので夜にした。
ブロッサムでアクセスは悪くなり、キャパは減ったが満席。

●ひろ馬「浮世根問」
小せんの二番弟子。噺はお馴染み、横丁のご隠居にいつものように質問攻めにする八っつぁん。伊勢屋の隠居はもっと丁寧に教えてくれたが、途中で具合が悪くなっちゃって…。
思えば、すでにここが分岐点だったのか?!

●きく麿「童謡作り」
前回聴いたきく麿は確か「ロボット長短」だった。するとマクラで、はん治師匠から「ロボット長短を教えてくれ」と言われた話。「長短」は正統柳家の大事な古典だと、誰かに諭されやめたらしいのだが。みんなはん治師匠いじりが好きだよねー。きく麿はモノマネまで入れて。どっかの学校寄席で、歌を乞われて小林あきらを歌ったと「昔の名前で出ています」を1番をフルで歌って拍手をもらい噺へ。「童謡作り」は初めて聴く新作落語。

楽して金を儲ける方法を、会って2週間目の先輩バイトに相談したところ、小説や歌を作る才能があればヒットを狙って一儲け出来ると教わる。そして「象さん」「お馬はみんな」などの童謡だったらすぐ作れると、即興で歌い出す。きく麿言う通り、童謡の内容って普通のことしか言っていない。そして誰でも作れそう。
♪白鳥師匠は素行が悪い〜面白いね〜どうしてなのか誰も知らない〜だけど白鳥師匠は素行が悪い〜♪…出来上がる歌はどれも馬鹿馬鹿しいが、それぞれに爆笑を生む。確か、ひろ馬の「浮世根問」もいじられていたと思うが、今となっては後のインパクトで忘れてしまった。。

●一之輔「千早ふる」
爆笑をさらって降りてきたきく麿を聴いていて、一之輔に火がついたのか?
普通は似た噺はやらないものだが、マクラの後いきなり「こんちはー隠居いますか?」と始まって客が笑う。「隠居に聞いていいすか?」「嫌だ!」「教えてくださいよ」「そう言われればいつでも教えるような、そんな便利な隠居じゃないのよ!伊勢屋の隠居にでも聞きなさいよ!」…もう様子がおかしい。演目を見るとただ『千早ふる』だが、内容は『ハイパーネオ千早フル』!「隠居も俺も同じ人間(一之輔)なんだから」など落語の構造に関わるシュールな笑いが入ったり。♪お馬はみんなーぱっぱか走るー…の替え歌が入ったり。(裏で練習してたらしい!)そんな『千早ふる』の下げが「“とは”は千早の本名だ」と来るんだろうか?と思っていたら、八っつぁんも「もういいよ、ウチ帰ってネットで調べるから!!」でもって件のサゲとなるのだった!!!

●白鳥「それゆけ!落語決死隊〜コロナ退治」
仲入りあけ「SWA…N」のジャージ着物で登場の白鳥。
柳家三三との二人会『両極端の会』というのをやっていて、お互いが相手にテーマを決めてネタ下しをする会だそう。3年前のコロナ禍の最中、三三からの「この世界を救う噺、または健康に関わる話を!」というお題で作った噺を今夜やると言う。

時は202X年、日本はコロナの変異株によって長期の戒厳令が敷かれていた。寄席も落語会もすっかり無くなったように見えたが、一部の熱狂的なファンと共に地下に潜った落語は見つかれば処罰という「ヤミ落語会」を密かに開催していた。ここに現れた2人の女性落語ファン、戒厳令の街を「三三のヤミ落語会」へ向かう…。
まぁ、いつもの白鳥節なのだが、コロナ禍の落語ファンの共感はいかばかりであったか?
「女52歳独身、金はあるわ!」に対して、白鳥の言うように会場が引いていたかは定かではない。最後は会場一体となって、コロナ撃退のおまじない。恥ずかしがってたら負けとばかりジェスチャーをやってたら、意外とみんなノリノリやないの!

喬太郎の「すみれ荘201号」は落研経験者にとってのツボだが、白鳥の「それゆけ!…」は時代と落語の置かれた境遇で、少なくとも会場に足を運んだ人なら絶対に何らかの共感を得られるはず。みんなが通ってきた道だもの。

聞くところによるとこの噺、続編があるらしく「それゆけ!落語決死隊〜金の亡者」と言う後日談らしい。落語協会会長の座を手に入れた白鳥が金の亡者に取り憑かれ『ブラックスワン』になってしまい…そうですか。

●喬太郎「ウルトラ仲蔵」
「唯一の古典だのみだった一之輔があのざまなんで、自分がちゃんと締めないといけませんな…」「当時底辺だった『稲荷町』からベムラーを倒したことで異例の『名題』に抜擢された仲蔵はキングの…」!ん?今ベムラーって言った?キングって言った?古典じゃなく新作「ウルトラ仲蔵」じゃねえか!なんて後ろの方では文句を言ってる御仁もいたが、筋書き通り演らないのが喬太郎、いいじゃないの♪

相変わらずの見台だったのに、最後の戦闘シーンは立ち上がっての大熱演。大丈夫?アジャラカモクレン…のお題目は、死神、コロナ、そしてバルタンにも効くのか?!


まさに狂演プログラム!
気がつけば、ちゃんと古典落語を演ったのは、前座のひろ馬くんだけだったという乱れっぷり。それにしてもおじさん達、みんな楽しそうでよござんした♪


※写真は夢空間の「X」より転載

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