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2023年02月01日08:18

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1月の読書記録

二ヶ月連続7千頁超えというのは、初の快挙か。ナイスも2百台後半にまで達したし。ここまで読めたのは、現在職場の夜勤が例外的に楽なのが大きいかな(笑)。今月も頑張って読もう。

2023年1月の読書メーター
読んだ本の数:19冊
読んだページ数:7746ページ
ナイス数:259ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly/2023/1
■両手にトカレフ
いきなり金子文子の自伝が引用されているのに、かなり面食らった。時代も国も遠く隔たっていながら、呼応する二人の少女の生態。主人公ミアの生活は勿論だが、それ以上に理不尽な生活を強いられる金子の境遇にやり場のない怒りにかられる。また、『ぼくはイエロー〜』や他の著作とシンクロする箇所を見つけるのも楽しい。緊縮経済の名の下に福祉の予算が削られている状況下にあっても、決して全てから見放されているわけではないということに心が温まる思いがする。『ぼくは〜』と共に思春期の子供とその親の必読書。続編を望むのは僕だけか?
読了日:01月31日 著者:ブレイディみかこ
https://bookmeter.com/books/19723090

■カート・ヴォネガット全短篇 1 バターより銃
一応、主な収録作のテーマの戦争となっている短編集だが、ややこじつけというと感じる作品も散見される(笑)。それはともかくとして、想像の世界のそれならまだしも、実際の戦争を題材にしても、どこかユーモアやスラップスティック的要素を感じさせるのは、作者自身の性格というだけでなく、国民性と軍隊の性格の気質の違いではないかという気がする。また、冷戦を背景にした作品が目に付くのも印象的。リアルタイムでそれらの作品群がソ連に知られていたら…と想像すると、おかしくもあるし、怖くもある。とりわけ「化石の蟻」が強烈だったか。
読了日:01月31日 著者:カート ヴォネガット
https://bookmeter.com/books/13066431

■武器よさらば (新潮文庫)
タイトルから延々と陰惨な戦闘シーンが続くのかと思いきや、むしろ軸になるのはラブストーリーか。例によって、簡潔で畳み掛けるような文章に惹きつけられ、五百頁以上の大部にも関わらず、ほぼ一気読み。かなり過酷な戦闘状況においても、登場人物達が酒を飲んでいるのが、個人的に気になった(笑)。これ恐らくリアルタイムで日本人帝国軍人が読んだら発狂するのでは?とか。また、フレデリックとキャサリンの逃避行の件と、その成功には思わずホッと胸を撫で下ろすも、その後にまさかのバッドエンド。それは著者の過去のトラウマを葬るためか。
読了日:01月28日 著者:アーネスト ヘミングウェイ
https://bookmeter.com/books/554530

■複雑化の教育論 (越境する教育)
成長とは複雑化することである。一瞬、虚を衝かれたような気になるが、本書を読み進めるうちに、「ああ、なるほど」と膝を打ちたくなる。著者は幾度となくわかりにくい話をしていると述べているが、むしろ、普段殆どの人が気づかないだけで、実はごく真っ当なことを述べているのでは?という気にさせられる。それはそうと、本書を読んでいると、日本人の止まるところを知らない知的劣化ぶりに嘆息せざるをえない。成熟とは複雑化することであるという著者の主張とは真逆の方向へと突き進む日本。この動きに少しでも歯止めをかける方法はないのか。
読了日:01月27日 著者:内田 樹
https://bookmeter.com/books/18993613

■移動祝祭日 (同時代ライブラリー)
自殺する一年前に書き上げられた本が、自分の青春時代の思い出を綴ったもの。しかも、その死と符合するかのように、ラストは妻との間に隙間風が吹き始める様子が描かれているというは、何かの暗示か?それはそうと、ジョイスやパウンドといった著名人との交流、そして時に金銭的には苦しい状況にありながらも、生活を楽しむスタンスを貫いている姿に、少なからず憧憬を覚える。後、個人的にとりわけ気になったのは、フィッツジェラルドとの関係。お互いに認め合いながらも、一方で強く憎み合っている側面も見せる、その複雑な関係は非常に興味深い。
読了日:01月26日 著者:ヘミングウェイ
https://bookmeter.com/books/8079

■彼女の思い出/逆さまの森 (新潮モダン・クラシックス)
サリンジャーってこんな小説も書いていたのか?と驚かされた。訳者解説にもあるように、コールフィールド家ともグラース家も登場しない、でもいかにもアメリカ的という感じの軽妙洒脱な中短編集という感じか。とはいえ、もちろん軽妙洒脱というだけには止まらない、エッジの効き方も見せる。とりわけその傾向が強いのが、巻末の「逆さまの森」。ボーイ・ミーツ・ガールものかと思ったら、読者の意表をつくドンデン返と種明かしが続き、頭の中にはてなマークが駆け巡ること請け合い。これも解説で示唆されているが、改めて読み返す必要があるかも。
読了日:01月25日 著者:J・D・サリンジャー
https://bookmeter.com/books/19918720

■日はまた昇る (集英社文庫)
読み始めは『グレート・ギャッツビー』を思わせる、独特の苦味を湛えた小説…という印象で、その印象は概ね間違ってはいなかった。ただし、どこかでテキストと読み手が噛み合わなくなってきた感が否めない。とりわけ語り手ジュークと友人ビルがバイヨウンヌに滞在し出した辺りから一抹の違和感が拭えなくなる。それに加えて、後で合流したマイクとブレッドそれにコーンとの不穏な雰囲気。果てはコーンのストーカー紛いの行動とその顛末には鼻白んだというのが正直ところ。ただ、フェイスタを終えた後の寂寥感とラストの描写にはかなり感じ入ったが。
読了日:01月23日 著者:アーネスト・ヘミングウェイ
https://bookmeter.com/books/576889

■老人と海 (新潮文庫)
約40年ぶりの再読。主人公のモノローグがかなりの部分を占めるのだが、それが自問自答であったり、宿敵であるカジキマグロ相手だったりと、実は重層的な要素を成しているのがミソかも。また、五十路を越えた者として、死期が決して遠い未来のことではない一人者の老人が、自分の倍以上もある獲物と一人っきりで対峙することの緊張感と寂寥感、孤独感をつい思ってしまう。それを証するかのように、幾度となく相棒である少年への思慕を吐露する場面が描かれるのが切ない。その獲物を何とか仕留めた時の栄光から絶望へと至る描写は圧巻の一言。
読了日:01月21日 著者:ヘミングウェイ
https://bookmeter.com/books/573456

■誰がために鐘は鳴る(下) (新潮文庫)
ゲリラ軍内部の微妙な人間関係や主人公とマリアの恋愛が主な軸になっていた上巻に比べると、下巻では実際の戦闘がかなりの部分を占めるが、個人的には上巻が好み。とはいえ、こちらでも一見口は悪いが気のいい女性であるピラールが時折見せる得体の知れなさや、パブロの複雑な性格は健在で、本書の重要なスパイスとなっている。また、敵陣の橋の爆破へと至る過程の描写はまさにドキドキハラハラもの。そして下巻のサイドストーリーとも言えるアンドレスと伝書を巡るストーリーも読み応えあり。戦争がいかに理不尽で、人を傷つけるものかを痛感。
読了日:01月20日 著者:アーネスト ヘミングウェイ
https://bookmeter.com/books/12663151

■誰がために鐘は鳴る(上) (新潮文庫)
これまで何となし敬遠してきたヘミングウエイだが、ひょんなことがきっかけで手に取ることに。想定外に短く畳みかけるような文体と、イキイキとした人物描写に惹かれて意外な程サクサク読み進めることに。大学で教鞭を取るほどのインテリでありながら、あえて異国の戦争に参加する主人公の性格や言動もさることながら、脇を固める登場人物も魅力的。とりわけ一見ただの飲んだくれの腑抜けかのように振る舞うパブロのしたたかさ抜け目なさと複雑さ、そしてその妻であるピラールの善良でありながら時に過剰な言動を見せる強烈な人間臭さが魅力的。
読了日:01月19日 著者:アーネスト ヘミングウェイ
https://bookmeter.com/books/12663150

■徹夜の塊3 世界文学論
本書で幾度となく述べられているとおり、世界文学という途轍もない作品の全てを読むことの不可能性、その豊穣な世界を改めて痛感。そして残り少ない人生でどれだけの文学作品を読めるか?と考えると一秒でも無駄にできないと一抹の焦燥感に駆られてしまう。文学部の弱体化が叫ばれる一方で、優秀な翻訳者が育っており、様々な国の作品が原語からの翻訳で多くのテキストが世に出ているという事実に一縷の望みを見る気になる。それと同時に外国語教育の大切さを改めて認識。また、ロシア、ポーランドを始めとする東欧の国々の複雑な歴史に驚愕した。
読了日:01月19日 著者:沼野 充義
https://bookmeter.com/books/15597536

■小説作法XYZ (新潮選書)
他の人も述べている通り、自分には小説家の資質が欠けているなと痛感(笑)。ただ、各章末に挙げられているエチュードの幾つかは、小説家になるためというのではなく、自らに課す知的訓練として有効ではないかという気がする。また、二十代のうちに本書を読んでいれば、習作的なものでも書いていたかも…と思わされた。小説創作の手引き書である本書は、書き方の実践集であると同時に、古今東西に渡る過去の文学作品の実例にも必然的に触れるわけで、文学入門的な要素も帯びていると言えるかもしれない。終盤の世相批判には、賛否が分かれるか。
読了日:01月12日 著者:島田 雅彦
https://bookmeter.com/books/19672333

■生き抜くためのドストエフスキー入門 (新潮文庫)
一般的には知名度も評価も低い『未成年』に高い評価を与えているのが印象的。それだけでなく、通俗的なドストエフスキー読解では到底辿り着けない解釈には目から鱗。特に、『カラマーゾフ』におけるゾシマの反キリスト教的側面を喝破する件は、これまでの読みの甘さを痛感。ただ、個人的に残念なのは、新潮文庫から出ている以上、仕方のないことだけれど、佐藤氏が評価している光文社訳への言及がないこと。あれはあれで何かと問題が指摘されてはいるが。後。個人的に思入れが深い高橋和巳の『日本の悪霊」への言及がなされているのが嬉しい。
読了日:01月12日 著者:佐藤 優
https://bookmeter.com/books/18776156

■世界の果てまで連れてって! … (ちくま文庫)
老女版『ザジ』…というのは、ちと極論か?80前にして、精力旺盛な女優が主人公というのも驚愕だが、それを70代の作家が描いたというのも更に驚き。また主人公の破天荒的キャラもさることながら、脇を占める登場人物も捨て難いのも独特の魅力になっているか。とりわけぐっときたのが、下半身のない「女議長」。なぜか何とも言えないエロティックさを覚えるのは、実は僕だけではない気がする。それと、文末で独特の文体を用いるのも印象的。読者に何とも言えない余韻を与える。この辺り原文と比較してみたい。混沌の美学の極北というべきか。
読了日:01月10日 著者:ブレーズ・サンドラール
https://bookmeter.com/books/19210354

■極楽鳥とカタツムリ (河出文庫)
異色な蘊蓄集とでも言えばいいのか(笑)。古の博物学に関する膨大な知識を駆使しながら、様々な生物について虚実ない混ぜに縦横無尽に語っていく。解説でも示唆されている通り、その内容について是非を問うてもあまり意味がない。ただ、そこで語られている荒唐無稽な生物の生態や、著者独自の視点で語られる動物の魅力について、ひたすら面白がっていればいいのだと思う。そして古の博物学に関する文献を紐解くことによって、いかにこれまで夥しいまでの動物が人間のエゴのために滅亡に至ったという非常に重たい事実に読者は直面することになる。
読了日:01月09日 著者:澁澤 龍彦
https://bookmeter.com/books/12025134

■トータル・リコール (ディック短篇傑作選)
収録作品中3作が既読。それでもそれなりに楽しめたし、再読することによって新たな味わいがあったか。既読作である表題作も「マイノリティ〜」も読者の度肝を抜くような展開。真と偽との関係の曖昧さ、危うさをこの上なく絶妙な筆致で描くその力業に脱帽。またやや異色作というか、微妙な出来に思える「ミスター〜」はある意味ベタなオチなのだけれど、作者としては比較的珍しいほのぼのとした味わいで、それが故に妙に許せるものがある。それに比べて「吊るされた〜」は実に救いのない結末で読む者の心を深く抉ること必至。捨て作なしの作品集。
読了日:01月08日 著者:フィリップ・K・ディック
https://bookmeter.com/books/5193123

■高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)
枢軸国が勝利した世界。実際の戦勝国にとってはある意味ディストピア小説かも?また、他の人も述べている通り、魅力的な作品ではあるのだが、かなり複雑な内容。とりわけドイツの政治事情と日本との絡みが今一つはっきりしない。偽名を使っている人物も複数いるし、数人の登場人物の行動が並行して語られているため、筋を追いにくいというのもある。逆にそうやって読者を煙に巻くような書き方が著者の醍醐味なのかも知れないが。個人的には短いタイムスパンで態度が変わるジョーの描写が印象的。それと、終盤で描かれるアベンゼンの実像にびっくり。
読了日:01月06日 著者:フィリップ・K・ディック
https://bookmeter.com/books/524236

■火の娘たち (岩波文庫)
それなりに興味深く読めたけど、今一つはまらなかった…というのが正直なところ。とりわけ、冒頭のデュマへの手紙と続く「アンジェリック」がきつかったか。ただ、解説を読んで改めて気付かされたことも少なからずあり、それを踏まえて読み返すとまた新たな味わいがあるかも…という気にさせられた。特にプルーストへの影響が気になるところ。一見、単純な恋物語と思えるような作品にも、読者を煙に巻くような仕掛けが施してあるとのことで、侮れない。恥ずかしながら、その辺りのことは、殆ど読み落としていた。イシスについての考察が出色か。
読了日:01月05日 著者:ネルヴァル
https://bookmeter.com/books/15366038

■ラ・ボエーム (光文社古典新訳文庫)
時代も国も違うのに強烈に既視感を覚えるエピソードの数々。夢、希望、芸術や創作への憧れ、男女の出会いと別れ…そのまんまの思い出があるわけでは決してないが、「ああ、この感じ」と幾度となく思わされた。ラブレーを思わせる駄洒落や言葉遊びを交えた軽妙洒脱な会話に惹かれて、六百頁超の大部でありながら、ほぼ一気読み。また、こうした男の友情が基底にある作品は往々にして、ホモソ、ミソジニー的な要素を孕みがちだが、本書は比較的そういう要素は薄いと思われるのだがどうか。それと、哲学者コリーヌの出番が極端に少ないのが気になる。
読了日:01月03日 著者:アンリ ミュルジェール
https://bookmeter.com/books/14942560


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