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2022年11月02日01:15

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【映画日記】『「A」』、『天間荘の三姉妹』

 10月31日、月曜日。

 夜にDVDで森達也監督の『「A」』を観る。恐らく5回目。

 中盤、破産管財人とオウム真理教広報副部長(当時)の荒木浩との会話。

荒木:「教訓になりました」

管財人:「お互いにね」

 これが、直後のTV局による管財人への取材によればこうなる。

リポーター:「どんなお話をされたんですか?」

(中略)

管財人:「『お互いに教訓になりました』、と(言われた) 私にも言ったからね」

 おかしい。「お互いにね」と言ったのは管財人だ。これが情報となってマスコミの報道として全国に流布されたわけだが、これは本当に恐ろしい事だ。

 言っておくが僕はオウム真理教のシンパでは全くないし、無宗教である。
 
 それにしても、観る度に【警察官の<転び公妨>によるでっち上げ逮捕シークエンス】は心を凍り付かせるものがある。私服警察官が信者の喉元を押さえて押し倒しているのは森が捉えた映像から明らかだ。尚、この映像の供託を荒木浩から懇願された森達也は、瞬時に「見せる事は出来ないんです」と拒絶した(←その後、森は数日間悩んだ末に供託する事になる) 「見せたくないんです」が本音だったようだ。

 その他、色々と考えさせられる作品である。森達也を正義の人だなんてサラサラ思わないし、彼が自身をそう思っているわけでも確実に無いだろうが。


 11月1日、火曜日。

 昼間は雨。グンと寒くなった。そのためか、痛風発作を起こした足が痛む。昼過ぎ、鎮痛・消炎特効薬コルヒチンを飲む。

 夜、痛みと腫れが引いたので梅田に出かけた。東映株主優待券が1枚残っている。1枚では『君を愛したひとりの僕へ』と『僕が愛したすべての君へ』の二部作は観られない。『天間荘の三姉妹』にする。

 大阪ステーションシティシネマと梅田ブルク7で新作映画チラシを収集し、後者で映画鑑賞をする事にした。


●『天間荘の三姉妹』

【天界と地上の間に存在する街=三ツ瀬にある旅館<天間荘>。そこは地上で臨死状態となっている人の魂が、天に旅立つか肉体に戻るかを決めるまでの間に過ごす宿だ。切り盛りするのは若女将の天間のぞみ(大島優子)と妹のかなえ(門脇麦)。ある日、2人の前に腹違いの妹・川たまえ(のん)が、案内人のイズコ(柴咲コウ)に連れられてやって来る。地上で天涯孤独だったたまえは交通事故に遭い、臨死状態に陥っていた。そんなたまえは天間荘で働かせてほしいと申し出るのだったが……】というスジ。

 原作は高橋ツトムのマンガ『天間荘の三姉妹−スカイハイ−』(集英社 ヤングジャンプ コミックス DIGITAL:刊)。監督&共同脚本は、TV版『スカイハイ』や『スカイハイ[劇場版]』も手掛けた北村龍平。

 出演は、上記の他に、寺島しのぶ、三田佳子、中村雅俊、高良健吾、柳葉敏郎、永瀬正敏ら。カメオ出演という事で、高橋ジョージや、つのだ☆ひろの姿も。結構に豪華キャストではある。

 しかし、平日のレイトショーとは言え、僕を含めて観客が3人(定員207名)というのは酷い。「盛大にコケるだろう」とは、何度見ても何のこっちゃわからない予告編から予想していたがココまでとは。結構な館数で封切ったが、公開初週末の映画ボックスオフィスのベストテンに顔を出せなかった。予想していた通りだ。今後も浮上する事は無いだろう。

 観る前から151分という長尺に恐れを成していたが、それほどには長いと思わなかった。複数のマイミクさんが「ここで終わりと思った後も続いて長い」という旨を日記等に書いておられたが、僕は、それほどには不自然とも感じなかった。「ココで終わりだろう」と感じられたというシーンがどこかは予想が着いたけれど、その後に続く水族館のシークエンスは不可欠なものだと感じた。アレを描かないと全体がおかしくなるからだ。ただ、水族館の責任者の許可も取らずに、ヒロインがすんなりとイルカショーに臨む事が出来るあたり、相当に出鱈目だと感じたし、特定の観客への呼びかけも、「そんな簡単に信じてくれるかよ……」と訝しく感じたものだ。

 また、「長いなあ……」とは感じなかったものの、出来が良いとは到底思えない。全体的にダラダラしているし、CG表現も概ねチャチなものであった。地震と津波のシークエンスには、「東日本大震災から10年以上経ったとは言え、こんな扱いは無いよなあ」と思ったし、そもそもファンタジー仕立てでなくても良いだろうに、とも(←コレだと原作否定になってしまうが、それでも「普通のドラマで良いだろう」と感じたというわけだ)

 北村龍平監督は、自主製作時代の『DOWN TO HELL ダウン・トゥ・ヘル』と、その後に発表した『VERSUS ヴァーサス』、それから難も沢山あるが、まあ観られたという印象の『ゴジラ FINAL WARS』以外は苦手な作品ばかりだ(『ミッドナイト・ミート・トレイン』等、未見作も多いが) 今回も僕はノレなかった。まあ、そもそも『スカイハイ[劇場版]』にも僕は全く感心しなかったので、当然に予想し得た結果なのだが(でも、実際に観てみないと判らないからね)

 残念な出来映えだった。

 以上である。

<右添付画像使用許諾:(C)2022 高橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会>
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